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物語る無言歌

 今日は、メンデルスゾーンについて書いてみようと思う。メンデルスゾーンの名前は聞いたことはあるけど、どんな曲を書いたのかピンとこない人も多いかもしれないが、誰でも1度は聴いたことのある「結婚行進曲」を作った作曲家でもある。
 あと、メンデルスゾーンは、ブラームス・ベートーベンと並び、3大バイオリン協奏曲(バイオリン協奏曲4番/Violin Coscerto,Op.64)の1つを担っていたりもする。チャイコフスキーのバイオリン協奏曲を入れて4大バイオリン協奏曲と言われているらしい。私はブラームスのだけ、オケで聴いていないのだと思う。私は、もちろんメンデルスゾーンのバイオリン協奏曲、特に第1楽章が大好きなのであるが、チャイコフスキーのバイオリン協奏曲の第3楽章も大好きである。


4月16


 さて、余談はこの辺りにして、私の中でのメンデルスゾーンは、ダントツで「無言歌集」なのである。これは、ピアノを習ったことがある人にとっては、ピアノピースという楽譜に『狩りの歌』と『春の歌』があるので、知っている人が多いかもしれない。
ちなみにこの2曲は、ピアノを習っていた私には思い出の曲でもある。中学のピアノの発表会で、同い年で同じ先生に習ってたえりちゃんが『狩りの歌』を弾き、1年後に私が『春の歌』を弾いたのだけれど、私の中では、性格的には私が『狩りの歌』でえりちゃんが『春の歌』だったのだけれど、まぁ今となて考えてみると、演奏の仕方とか、内面とか、ピアノの先生がちゃんと見ていたんだなぁと思ったりする。『春の歌』みたいだ、なんて自分のことを言うのは、とても恥ずかしいところもあるのだけれど・・。
私が、この「無言歌集」と出会ったのは、たまたま中学の時の夏休みの宿題で音楽感想文というのがあって、ピアノの先生に何を聴いたらいいか尋ねたら、貸してくれたCDの1つが「無言歌集」の全曲入りだった。私はこのCDがすごく好きで、実は借りたまま返せずに今でも持っている。というのも、CDを借りた後に、ピアノの先生が妊娠・出産で休業されて、高校に進んだ私は、継続してピアノを習わなかったから、会えなかったという訳だ。
 どれくらい「無言歌集」が好きかというと、メールアドレスに使っているくらいなので、その思い入れは相当なのであるが、なかなかこれを好きという気持ちを、共有できたことは今までに1度としてないと言っていいかもしれない。

 「無言歌集」もCDで全曲入りなのは、なかなかないし、日本語のタイトルがついているものもあるけれど、知名度が先程あげた2曲と『ベネチアの舟歌』と、讃美歌を歌う人にとっては、『慰め』という曲くらいだし、私自身もタイトル書いてもピンとはこないけれど、わかりやすいので、それも書きつつ自分の好きな曲を紹介したいと思う。
まず、1番好きなのが、『瞑想』(Op.30 No.1)で、この曲を聴くと、本当にどんな時でも包まれるようで、目を閉じると、どんな気持ちでいても、救われるような、そんな曲である。その次によく聴いていたのが『情熱』(Op.38 No.5)で、この曲は、すごく速いのだけど、メンデルスゾー特有の流れるようなレガートばっかなのに装飾音符や複雑な和音入れてくるのに、軽やかさ求めてくるいいとこ取りみたいな曲。弾いてみたい曲ではあるけれど、すごい難しいだろうなと思う。鍵盤の端から端まで使います、みたいな曲ではある。だけど、左手に安定感のある自分ならば弾けるんじゃないか、なんて思ったりもする(ピアノの利き手は何故か左、ブレない)。あとは、『甘い思い出』(Op.19 No.1)かな。この曲も、気持ちがどんな状態であろうと、心にすっと溶け込んでくるような、そんな1曲ではある。
 全体的に、「無言歌集」は、少し懐かしいようなせつないような、そんな感情をどことなく宿しているのだけれど、どこが無言なんだというくらいに、雄弁に音が何かを紡ぎ、物語が曲ごとにある。逆に、言葉がないからこそ、その音がたくさんの景色を連れてくる。
 あんまりクラシック興味ないなって人でも、興味持ってもらえたら、嬉しい限りである。私は、最近はSpotifyで、Christoph Eschenbachが弾いている2017年に出た作品をよく聴いているので、よければ聴いてみてほしいな、なんて思ったり。

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