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「創作大賞2024」応募作

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期間限定マガジン。「創作大賞2024」の「オールカテゴリ部門」に応募した詩です。
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記事一覧

【詩】 ごはんとみそ汁、パンとみそ汁

四半世紀よりずっと前
朝のテーブルを七人が囲んだ
ごはんとみそ汁、海苔又はふりかけ付き
パンとみそ汁、マーガリン付き
早くからパンを好んだのは誰だったか
思い出は抱きしめようとして空を切る
時を経て三人になり
黒かった髪に白髪が交じって
朝の時間はばらばら
ごはんとみそ汁、海苔又は納豆付き
パンとみそ汁、マーマレード付き
時にフレンチトースト、みそ汁付き
当たり前だけど有限な
無限大に愛おしい時間

【詩】 空と海がひとつになる場所

波打ち際で裸足になる
潮風に向かい見晴るかす
ふたつのあおが出会う
空と海がひとつになる場所
旅はあおに満ちた日がいい
赤ちゃんの笑いのような空
白い帆のヨットが眠っている海
空のひとは海へ一歩踏み出す
海のひとは空へ一歩踏み出す
アイコンタクトは「良い旅を」
その時その場所でわたしは何をするの
フレアスカートで体育座りをして
心が水彩絵の具のようにあおにとけて
「行ってらっしゃい」と手を振るわ

【詩】 大樹がくれる木陰にて

大樹がくれる木陰にて
そういえばこの樹は、といつかの日を思い出す
保育園の子どもたちがお弁当を食べていた樹
日差しの下は暑かったけれど
子どもたちには大きな樹があった
木陰がちょうど全員に行き渡って
木漏れ日のゆらめきだけではない、光の中にあった
その樹に今日はわたしひとり
春の陽がぬくめた空気と
散歩中の北風
葉のくすくす笑いが手を組めば
それはもう睡魔
思わず姿を探したくなる鳥の声も
まぶたを

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