見出し画像

知らない世界を見てみたい。

 意識していたわけではないが、怪しい場所(ディープスポット)が結構好きで、機会があれば足を運んでしまう。
そして、訪れたディープな場所について友人知人に話をすると、どこかの誰かがふと新しいディープスポットを教えてくれたりする。
気が付くと数はそれほど多くないが、ディープスポット沼に20年以上はまっているのである。
 仕事で知り合ったぶっきらぼうな初老の知人が「あんたにこれやるわ」と、1枚のチラシをくれた。ミートセンターの見学会の案内であった。
ミートセンターとは、昔でいう屠畜場である。
貴重な機会なのでドナドナの歌を口ずさみながら喜んで参加した。
結果、大量の血肉には圧倒されたが、それよりも素晴らしい職人さん達の尊い仕事ぶりや、今なお根深い差別の問題を学び、感動と興奮と大きな学びしかない見学会となった。
 しばらくして今度は別の知人がこれまた「あんた、好きそうだから」別のチラシを持ってきた。大阪のあいりん地区のフィールドワークの案内であった。若いころからこの辺りは時々通っていたが、昔は「女の子は足を踏み入れてはいけない」と言われていた場所である。
案の定、泥酔しているおっちゃん達に絡まれたが、どうやらこのおっちゃん曰く自分の肝臓がダメになったのは私のせいらしく、何度も怒鳴りつけてきたが「ちゃうわおっさん」と軽く返事してかわしておいた。こんなカオスが日常にあふれている町なのである。
 一緒に参加した真面目そうな紳士も、事もあろうにあちこちで写真を撮りまくり、案の定怖いお兄さんに低い声で怒られていた。彼はこの世の中に写真でとってはいけない場所があることと、50円のジュースが売っている自販機があることをこの日初めて知ったらしい。
 自分の知らない世界を知ることは、とても楽しい。冷やかしではなく、その世界とそこに生きる人々からの学びは何物にも代えがたいと真剣に思っている。
 先日、友達からマッチョなお兄さんのビキニパンツにおひねりをねじ込んでいるショーパブ写真がスマホに送られてきた。「面白い場所発見した!ここ、パンツの前部分にもおひねりがねじ込めるんだよ!」と。
場所がアメリカだからよかった。近所だったら行っていたかもしれない。
知らない世界はまだまだたくさんある。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?