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Rettyの理想のプロダクトマネージャーとはを言語化してみた

Rettyプロダクト部門担当執行役員の野口です。Rettyでプロダクトマネージャー(PM)という職種役割とスキル定義、評価への組み込みを行った話を何回かに渡って書いていきます。

プロダクトマネージャーという肩書がいない組織だった

Rettyでは開発職種としてエンジニア、デザイナー、アナリスト、そしてプランナーの大きく4つが存在しました。
プランナーの中にはコミュニティマネージャーやオペレーターも含まれます。これに倣い、私の職種もプランナー。

昨年辺りから対外的に自分もプロダクトマネージャーと名乗っていましたが、実は正式な職種名ではありませんでしたw

2015年以前はプランナーはディレクターという職種でしたが、「ディレクションは開発メンバー各々自走して、我々は企画のスペシャリストを目指そう」という理由でプランナーという職種名ができました。
当時はフィットしていましたが、プランナーという職種名は開発組織全体の課題と相まって様々な問題を孕んでいました。

・オペレーターや進行管理中心の人材など様々な職能が一つの職種にまとめられており、期待役割や成長のためのフィードバックが曖昧だった

・期待役割が曖昧なので、学びの機会も少なかった

・組織的に工数調整、スケジュール進行ができることが、プロジェクト成功に必須のような形になっていたため、「何を」「なぜ」作るかプロダクトマネージャー業務よりも「いつまでに」実行できるかプロジェクトマネージャー業務に皆終始していた

事業的な開発優先度にエンジニア人員計画がダイレクトに反映されていたことも問題だったため、その辺りは2019年のLeSS(大規模スクラム)の導入を行い、徐々に解消していきました。

LeSS導入により、プロダクトとして重要な開発=UserHappyな開発をシンプルに開発組織としてやるべきかという基準でシンプルに判断し、スピーディーに実行できるようになりました。開発の生産性は幾分か上がった実感があります。

一方で「何を」「なぜ」開発すべきかをプランナー・デザイナーで担っていきましたが、ここに関してはさらに精度を上げるべきタイミングに差し掛かっていました。

プロダクトマネージャーロール導入とスキル要素の定義がきっかけ

そのタイミングが全社組織の評価制度見直し時期と重なりました。2020年4月の評価制度改変に合わせて2019年11月〜2020年3月で以下を行うことにしました。

・プロダクトマネージャー職種の導入
・プロダクトマネージャー職種の役割定義
・プロダクトマネージャー職種のスキル定義

プランナーの中でも上級レイヤーをプロダクトマネージャーと定義し、役割及びそこに到達するためのスキル要素と基準を明確化しました。プロダクトマネージャーというプロダクトに責任を持つ役割を明確化し、そこに到達するためのスキル要件を明確化することでプロダクト開発の組織力強化を図ることが主な目的です。同時に①PM・プランナー②オペレーター③コミュニティマネージャーは各々別の職能であることの定義と期待役割の棲み分けも行っております。

これについては話が長くなるので、次回のnoteで書きますw

前置きが長くなりましたが、プロダクトマネージャーの職種導入とスキル定義をしようと方針を掲げたものの、当時プロダクトマネージャーとして想定していたメンバー間でスキルに関して議論したところ、非常にまとまりがなくふわふわした、着地が見えないような感触がありました。

議論していたメンバーの大半が中途かつ別職種出身であり、実際に行っている業務も異なる(管理画面開発、グロース系チーム、アプリチーム等)ため、個々人の強みやあるべき像がやや異なっていた印象です。

またスキルありきで、プロダクトマネージャーを定義することにも抵抗がありました。スキル>成果、スキル>Rettyのプロダクトの成長と曲解されることが今後無きにしもあらずなのではないかと懸念していました。あくまでRettyというプロダクトを前進させるためのプロダクトマネージャーであることが重要だと認識していました。

一度立ち止まって組織の中を見渡してみると、Rettyでは先行してエンジニア評価制度のアップデートを行っていました。エンジニア間でもエンジニアの理想像の言語化を行い、それを踏まえて必要とされるスキル要素や基準に落とすことをやっており、非常に目指すべき方向性が擦り合ってきた印象がありました。

そこでエンジニア組織をモデルケースとし、これから作っていくプロダクトマネージャー組織でも、まずはプロダクトマネージャーの理想像の言語化から進めることにしました。

プロダクトマネージャーの定義を引用しておく

もちろんプロダクトマネージャーのそもそもの定義についてが議論の土台となっております。

職種としての期待役割の抽象度の高さから会社によって役割や権限が異なるプロダクトマネージャー。

プロダクトマネージャーの定義については既に丁寧に記述している記事がたくさんあるので、ここでは引用に留めるのみとします。

プロダクトマネージャーの教科書的な書籍であるInspiredでは

プロダクトマネージャーの主な任務は二つある。製品の市場性を評価することと、開発すべき製品を定義することである。

と書かれています。市場が求める製品を描き、開発の要件や仕様を決めるプランニング・ディレクション要素について明示しています。

ただ実際、企画や仕様を決めただけでWebの製品が動かないのは皆さんご存知でしょう。企画・仕様決め、コードを書く、デザインをする以外にもQAやリリース準備、社内外の渉外等やることはたくさんあります。その辺りを踏まえ、

Help your team (and company) ship the right product to your users

ユーザーに適切なプロダクトを届けるために、チーム(や会社)を手助けすること

という定義もされています。企画や仕様を考える以外に、エンジニアとデザイナーを助けて手段を問わずプロダクトを成長させることが求められると思います。

さらに噛み砕いた言及として、delyの奥原さんは

「プロダクトの成長に責任を持つ人」

と記されています。何が何でもプロダクトを成長させる執念のようなスタンスを持つことが重要です。

またAirbnbやAmazonでプロダクトマネージャーを務めたIan McAllister

Product managers own "What" and "Why".
Project managers own "How" and "When".

「何を」、「なぜ」作るのかに責任を持つことは重要な要素だと、思っています。特に「なぜ」作るかが研ぎ澄まされないと、刺さるプロダクトは生まれないでしょう。

プロダクトマネージャーは「なぜ」、「何を」作るかを考え、プロダクトの成長に責任を持つ仕事とここでは定義します。

食ドメインの重視、企画するだけでなく、発見した課題を突破できる人物

上記のプロダクトマネージャーの定義も踏まえつつ、組織面・事業面両面で議論していきました。当時の議事録から抜粋していきます。

組織面

・社員120名のうちプランナー16名、20代〜30代前半が多い若い組織
・営業とエンジニアは今後拡大していくが、プランナー・PMは急激に増やす計画はなく、厳選された強者が必要

事業面

・国内サービスの今後の展開
・Global展開
・食関連の新規事業展開

上記を踏まえた必要とされる人物として上がった例

・自走するアジャイルな開発組織を標榜しているため、PjM、ディレクターのスキルのみ持つ人材は不要
・一方で自走する開発組織と伴走できる能力の一つとしてPjM、ディレクターのスキルも持つことは必須
・社内外のビジネス折衝できる人材
・スキルだけでなく食のドメイン知識や想いも必要
・大きな絵を描いて課題解決ができる人定め・定められた期日に、大きな成果を、周りと協調し、何が何でも達成する
・mini CEOとして時に自ら未来を描き、その未来を自ら推進出来ること

業界の強い企業や事業家、PMの先人の方々の記事や言葉についても議論の過程で話し合いました。特にLayerX福島さんの「なんとかする」力、思考するだけでは意味がなくて、しっかりと未来を実現する力が必要だという話が我々の中でも重要だよねということで一致しました。

「Rettyの未来に向かって、突破できる人」が理想のプロダクトマネージャー

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Rettyの未来に向かって、突破できる人
食というドメインに精通し、Rettyのビジョン『食を通じて世界中の人々をHappyに』を自分事化できている。
Rettyの未来を描いた上で、現状との差分を埋めるために、当事者意識を持って突破できる人物。

という言語化をするに至りました。未来を思考するだけではなく、差分を埋めに行く。Rettyのビジョン・課題を自分事化し、主体的に解決できる。未来に向けて突破力があるプロダクトマネージャーを組織として目指していきたいですね。

ちなみに実際にRettyのプロダクトマネージャーがどのような業務を行っているかはこちらの記事が参考になるかと。

「Retty理想のプロダクトマネージャー像」は今後どうなるのか

こうして理想のプロダクトマネージャー像を定義することができました。しかし事業とプロダクトの成長に責任を持つのがプロダクトマネージャーが故に、今後も事業の状態や目指すべきところに合わせてアップデートしていくことが重要です。

今後我々はどのレベルを目指すべきなのか、数年後のRettyを思い描きながら考えていく日々このプロダクトマネージャー理想像をメンバー同士で話し合い、業務に落としていくことと共に、運用をしっかりやっていきたいですね。

次回のnoteはRettyのプロダクトマネージャースキル定義と評価への組み込みをどのように行ったか、具体的にどんな内容なのかを公開しますよ!!お楽しみに!




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