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路上園芸はしたたかな行為の積み重ね

路上園芸はわがまま。

植木鉢の中の植栽は当然毎日のように水をやらなければ枯れるし、植木鉢の底は平面なので、倒れてないように置く場所も平面である必要がある。

わがまま。

そしてボーダレス。路上で行われるからには管理者の敷地内、または敷地内”風”に見える場所で行わなきゃればいけない。それは例えば路地のような空間であればなおさら、狭い空間でいかに自分の敷地の中で園芸を完結させるかが勝負。

はみ出し過ぎたら公共空間への侵害になるとはいえ、はみ出さないように真面目にルールを守っていると自分が使える園芸スペースはかなり限定的になる。

まあ、だいたいはみだしてるけどね。

ボーダレス。

ただ、路上園芸はその管理者による4つのしたたかな(そして愛らしい)行為によって自分たちの領域を拡大しながら支えられている。今回はそんな僕が勝手に見つけて命名した行為を紹介する。

均す

冒頭でも触れたように、植木鉢は転倒を防ぐために水平な環境で行われる必要があり、水平面の確保は路上園芸を行う上での基礎中の基礎。この水平面を作り出す行為のことを「均す(ならす)」と呼んでる。

家の前にちょっとした傾斜があってもプラスチックの破片や小さい板を挟むことで簡単に水平面が生まれる。

この微調整のために色んなものが植木鉢のしたにはめ込まれているので、それを観察するのは楽しい。上の写真はナメクジ除けが使われている。ナメクジ対策をしつつ、植木鉢のバランスも取ってるんだからすごい。

支える

「支える」は園芸空間を拡張したい時に行われる行為。大きな植木鉢の一辺を敷地の境界線に置き、反対側はコンクリートブロックを置くなどして、水平面を保ちつつ家の敷地外にはみ出るように置く。

植木鉢をたくさん置きたい気持ちが抑えられず、敷地外のスペースに強引に置かれるときに取られる手法。一部だけ敷地内に残しているのが可愛い。

広げる

「広げる」は「支える」の進化版。「支える」は一つの植木鉢が敷地をまたぐが、「広げる」は板やコンクリートの塊を活用した領土拡大。領土侵犯。

これによって「支える」では置けなかった小さな植木鉢がたくさん置けるようになる。とても大胆で好き。

乗せる

「乗せる」は園芸空間を縦に拡張したパターン。室外機やビール入れを活用して、3次元的に園芸をしている。3段階に分けて所狭しと植物が置かれているのがマンションみたい。

高いところに置けば園芸の天敵であるナメクジが寄り付かないのもいいよね。

したたかな管理者たち

路上園芸一つとってもこんなにたくさんの種類の工夫がある。これらは植物を愛してやまなく、「いっぱい育てたい!!」という管理者の熱い思いから生まれたしたたか行為によって生まれる(と思っている)。少しでも多くの植木鉢を置くために彼らは手段を選ばない。そんな風景が愛らしい。

みんなも散歩しながら見つけてみてね。

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