【エッセイ】 ホップ

「ホップが好きだ!」というと、ビール好きのように思われる。

私が好きなのは、ホップということばの響き。
ホップということばを発するときの軽さだったりする。

ホッピーも良い。下町のレトロな居酒屋や海沿いに佇む店先で「ホッピーおいてます」という揺れたのぼりを見ると、なんだかそれだけで嬉しくなる。
だって、想像してみて欲しい。

すごく、すごく重い悩みを抱えてる人が、お店に入って
「ホッピーください!」という場面を。きっと想像できないのではないだろうか。

逆に、今ちょっと気分が落ちこんでいたとして「ホップ」と唱えてみたらどうだろう。ほんの少しだけ前に向けるのではないかと考えたりする。

そしてホップに続く言葉は、ホップ・ステップ・ジャンプだったり・・・。

それはホップであって、ジップでもリップでもラップでもなく、やっぱり軽さはホップの言葉にある。

先日、「富良野ホップ炭酸水」という飲料を飲んだ。
爽やかでフルティーな香りとほろ苦いあと味がとても美味しい。

北海道の上富良野のホップを使用しているそうだ。
広大な空のもとで育った松かさ状の緑のホップを想像する。

私はシュワシュワと弾ける炭酸を口にしながら、「ホップ」とつぶやく。

それはほんの少し、気持ちを軽くしてくれる。


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