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ロングセラーブランドの「イメージの空洞化」を乗り越え、共感ブランドへ。メーカーのPRが行ったこと

ロート製薬株式会社

ロートのスキンケア事業を牽引するブランド「肌ラボ」。

若手社員のお客さま視点での発見から多くの社員が携わり、たった半年でスキンケアのトップブランドを開発したお話をこちらのnoteでお伝えしました。

肌ラボは、TVCMなど商品をできるだけ多くの方に知っていただくために、特長である肌へのこだわりを"肌にいいこと"として、マス広告を通じて統一のメッセージをお届けし、多くの方から認知をいただいています。

現在も多くのお客様に支持いただいている人気商品ですが、長年愛されるなかにも課題がありました。肌ラボをまだお使いでない方に、魅力やこだわりをお伝えしきれていない、との感覚を抱くようになったのです。肌ラボの独自価値やイメージが希薄化していました。

そして、近年力を入れ始めたのは"PR"。世の中の時流をいち早くとらえられているメディアの方々を通じて、ブランドの価値を文脈に落とし込んでお届けできる、共感を呼ぶ手段です。

トップブランドである肌ラボのブランドストーリーを一から整理し、メディアの方々と丁寧にコミュニケーションを重ねることで、美容誌でのベストコスメを多数受賞するなど、定番商品をトレンドに乗せることができました。

研究開発や技術にこだわりを持つ製薬会社から生まれた「肌ラボ」の魅力を伝えるためにどんな試行錯誤があったのか、PR担当の戸部に聞きました。

「商談しにくいブランド」

ーーーいま現在、ロート製薬の主力商品のひとつである肌ラボですが、ずっと順調でしたか?

戸部「実は2018年の冬頃、営業から、肌ラボは取引先のテンションが上がらず、商談しにくいブランドだという話を聴いてしまったのです。

じっくり聴いてみると、定番商品だからこそ起きがちな"イメージの空洞化"を営業側で課題に感じていたようです。

​​ずっと売り場を賑わせてきた商品だからこそ、商品は知られているが、それゆえのマンネリ化もある。他社含め数々の商品が生まれる中で、肌ラボの価値をあらためて言葉にしてこなかったので、小売りの現場からすると、お客さんに推したいブランドでは無くなってしまっていたとのことです。順調に成長してきたロングセラーブランドに起こりがちな課題かもしれません。」

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戸部由紀子 / 2001年入社。広報・CSV推進部PRグループにて、メディアに向けたブランドPR活動を行うチームのマネージャーを務める。

戸部「私はオバジ・エピステームという百貨店ブランドのPRを担当してきて、取引先との会話のなかで『製薬会社ならではのシャープな切り口がある』という言葉をいただいていました。ロートとして会社全体の評価が高まっていることを感じていたんです。だから営業現場の話を聞いて、これはチャンスかも!と思いました。

つまりロートが評価いただく、強みとも言える点を、1,000円前後の価格帯のブランドに繋げることで、社外も社内までも、イメージが変わっていくのではないか?肌ラボについてもPRで何かできないか?そして、肌ラボも、"目利きの人が推薦するブランド”にしたい、との想いで、他のメンバーと考え始めたのが3年前の冬頃、2018年のことです。

元々のコンセプトを広く理解していただくことで、もっと手にとっていただく機会が増えたらいいし、販売店にとっても、肌ラボは新たなお客さまが来店するきっかけになる…など、互いにとって夢のあるブランドにならないかなと思っていました。」

イメージの空洞化が課題だった

ーーー肌ラボのブランドストーリーを伝えるために、具体的にどんな取組を行ましたか?

戸部「これまでの肌ラボはTVCMでの広告がほとんどで、メディアの方々に向けたPR活動はほぼ行っていませんでした。TVCMで認知は拡大し、ブランドが誕生してすぐに多くのお客さまに受け入れていただくことができて、ぐんぐんとブランド規模も大きくなっていました。

それに対して"イメージの空洞化"は営業側でも課題に感じていたようです。『ヒアルロン酸で』『安くて』『売れている』などキーワードはありますが、製薬会社としてのこだわりがつまった肌ラボはもっと骨太なブランドなはず。その魅力を最大限に、社内外へ伝えていこうという話になりました。

そのためにまず、社内で肌ラボについてのみならず、根幹であるロートの研究開発力を伝えるためのヒアリングを始めました。

当時の開発のトップに『ロートの開発が大切にしていること』『ロートがどんなアイデンティティで研究してきたか』などの話を改めて聞き、ロートのユニークさを洗い出すことに時間をかけていきました。

そして商品企画・開発メンバー中心に取材も行い、肌ラボに関わってきたたくさんの人の、想いを聞いていきました。

肌ラボは、やっぱり、テンションが上がる、すごい子(笑)でした。なぜなら、皆が肌ラボに対する熱意がすごいんです!(笑)

ヒアリングすると、次から次に、『違うよこうだよ!』と教えてくれる人がいっぱいいたので『この魅力を早く皆さんにお伝えしたい』とPRとしてワクワクしました。

その話のなかで、商品企画担当者が議論のふとした時に『たくさんの人の皮膚の健康を預かっている、その使命感でやっている』と話をしてくれました。PRとして、これだ、と思いました(笑)し、同時に、すごくロートらしい思想だと思いましたね。」

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メディアへの文脈提示、トレンドへ

ーーー社内でのヒアリングを重ね、ブランドの理念や、背景となった担当者の志や、未来に向けた想いなどを言語化し、創り上げた肌ラボのブランドストーリー。ここから実際に広報・PR担当としてメディアの方々とどんなリレーションを行いましたか?

戸部「ロートの研究姿勢やこだわり、そして肌ラボの魅力を伝える発表会を約300人のメディアの方々に向けて実施しました。2020年7月、自粛期間明けという時期だったので、できるだけ社会に前向きなニュースをお届けしたいという想いもありました。

ただし、ブランドの想いを一方的に発信するのではなく、肌の健康に真剣に向き合う姿勢を真摯にお伝えすることから始めることにこだわりました。実際に、会の冒頭で開発のトップに登場してもらい、ロートのモノづくりの姿勢を語ってもらいました。

すると直後、メディアの方々から反応が多くありました。発表会後の反応が速いことは、手応えがある何よりの証拠です。肌ラボでこういう取り組みをしたのは初めてだったのでどれもとても新鮮な声でしたね。

さらに、記事のなかで『プチプラ(低価格)の概念を変えた』と発信してくださる方々も複数名いらしたんです。"安かろう悪かろう"というこれまでのプチプラブランドのイメージをアップデートしてくれたという声もありました。

品質が確かで、企業努力で手頃な価格を実現している、真摯なブランドと評価いただいたのです。ほかのプチプラのブランドで、こういった文脈を持つものがなかったというのもユニークに映ったようです。」

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戸部「みなさんが、健康・免疫などの意識が高まり始めた時だったこともあり、ロート製薬がずっと大事にしている"恒常性の維持"という考えや、"肌の健康"のための提案を、よりスッと受け入れていただけた感覚もありました。

さまざまな相乗効果で、“目利きの人も推薦する肌ラボ"として注目され、トレンドに敏感な人がSNSにあげたくなるようなブランドになっている変化が見られたことを、その時は本当にうれしく感じました。

肌ラボが『今っぽい』って言われた日が来た時は、PRメンバーで感動をおぼえました(笑)。

トレンドを創るメディアの方に『今っぽい』と評価されるのは、PRとしては最高の褒め言葉。新鮮に映ったんだ…と。イメージの空洞化をくいとめ、時代に沿った印象を残せたと思います。肌ラボの魅力がしっかり伝わり、よかったですね。」

たくさんの人が、スキンケアの時間が楽しくなるように

ーーーこれからの肌ラボはどうなっていくと思いますか?

戸部「肌ラボに、たくさんの人の"肌の健康"をお預かりしているという使命感があることは変わりません。

それに加えて最近、メディアの方々に肌ラボブランドのスタンスが好き、共感できるというお声をいただくようになりました。『今のままで良い。今の自分で、無理せず心地良く、楽しく健やかに』という"肯定感"が伝わってくるし、そこが今っぽくて好きだし、共感できる、ということです。」

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戸部「肌ラボによって、みなさんのスキンケアの時間がもっと楽しくなること、自分の肌を慈しむことで前向きな気持ちになったり、自分の肌を更に好きになるような、そんなお手伝いができるブランドになっていけたら嬉しいです。」


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