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音無しとなった「解雇無効時の金銭救済」|迷想日誌

解雇無効時の金銭救済制度の検討スケジュールが、なぜか全面ストップしているので、このへんでプッシュしておきたいと思います。
専門の検討会が終盤の法技術的検討に移ったのが、ほぼ2年前の2018年6月です。
それ以前においても長年にわたり様ざまな検討がなされてきました。

しかし、この検討の流れが2019年12月でプツンと切れてしまいました。
厚労省事務局が「次回の日程につきましては、現在調整中でございますので、確定次第、開催場所とあわせて御連絡をさせていただきます」と話して、音沙汰がなくなりました。

政府の規制改革実施計画(平成27年6月閣議決定)には、「『労使双方が納得する雇用終了の在り方』に関する意見」(平成27年3月)に掲げられた課題について、論点を整理した上で検討を進めるとしています。この「意見」とは、「解雇無効時において、金銭解決の選択肢を労働者に明示的に付与し(解決金制度の導入)、選択肢の多様化を図ること」です。

同計画では、「平成27年中、可能な限り速やかに検討開始」と明記されているだけで、確かに検討終了期限は曖昧となっています。ですから、当局においても急いで結論を出す必要はないと考えているのでしょう。

しかし、平成27年からもう既に5年ほどが経過しています。余りにものんびりし過ぎです。
のんびり構えているうちに、経済財政諮問会議では、働き方改革がフェーズ2に入ろうとしていると指摘しています。
パートナーシップ型の年功、終身雇用システムから欧米型・ジョブ型の成果重視、多様就労システムへの移行を加速させるといっています。

日本の解雇制度も何らかの形で一段飛躍させる必要があります。
このまま、何もしないとすれば、反対を恐れているとしか考えようがありません。
実際にも、労働組合側からは強い反対意見があり、十分に調整がつかないのかもしれません。

しかし、解雇無効時の金銭救済制度は、安倍首相も当時の国会で言及したはずです。
決断さえすれば、それほど難しいことではないとの見方もあります。ひとえに、労働基準局長のお考え次第といったところでしょうか?

労働新聞編集長 箱田 尊文

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