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雇用・労働問題の比重低下?――菅総理所信表明|迷想日誌

アメリカ大統領選が終結に向かっています。バイデン新大統領で、日本にどのような影響が生じてくるか、とくに安全保障問題で心配なところがあります。トランプ現大統領の訴訟闘争も結果がどうなるか、注視したいと思います。
一方で、日本では、臨時国会の論戦が火ぶたを切りました。モリ・カケ・サクラに続いて、ガクジュツ問題に終始するのは何とか勘弁してもらいたいところです。

冒頭の菅義偉総理の所信表明は、少々不満が残りました。
雇用・労働関係の比重が低下し、もしかすると軽視されているのではないかと感じられたためです。
日本人の働き方をどのような方向に変革していくかは、国の形そのもののあり方を決定付けるといっていいでしょう。
労働生産性にも影響してくるとなれば、日本の経済力にも大きくかかわってきます。

所信表明では、女性の活躍、多様人材、同一労働同一賃金、テレワークなどについて一応触れていますが、表面的でボリュームに欠けます。これに対して、昨年1月の安倍晋三前総理の施政方針は、労働・雇用関係がいたる所で述べられていました。

とくに、一億総活躍社会の実現が、重要課題となっていたため、「女性も男性も若者もお年寄りも、障害や難病のある方も、一度失敗した方も、誰もが多様性を認め合いその個性を活かすことができる社会、思う存分その能力を発揮できる社会を創る。一億総活躍社会の実現こそが、まさに少子高齢化を克服する鍵であります」と紙幅を割いていました。

安倍前総理と比べると、雇用・労働問題の割合が格段と下がったことは、否めないと思います。
当分の間は、前政権における働き方改革の果実が収穫されていく時期で、これも重要ですが、菅政権の下で、新たな働き方改革を打ち出していくことが求められます。
労働生産性を向上するには、資本投資が最も重要ですが、働き方改革も大切です。

経団連も指摘している通り、これまでの働き方改革はどちらかといえば労働条件向上に向けた規制強化が中心でしたが、今後は、労働生産向上に向けてどのような働き方改革が必要かを探ることが重要です。日本の労働事情の最適化に向け、間断のない制度改正、慣行見直しを進めていくべきです。改革に終わりはないはずです。

菅総理のリーダーシップの下で、どのような新しい雇用・労働問題が提起され、実現されていくか、楽しみに待ちたいと思います。

労働新聞編集長 箱田 尊文

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