またも直前で大ブレーキ――20賃上げ交渉開始へ|迷想日誌
3月より春季労使交渉が本格化しますので、今季情勢の一端をご紹介したいと思います。
ご承知の通り、直前に大変な事態が次々発生し、賃上げ交渉にとって大きなダメージとなりそうです。
新型コロナウイルスの感染拡大に加え、昨秋の消費税増税などによる国内総生産(GDP)の予想以上の大幅ダウン、大手企業の業績不振、そして世界同時の株暴落などです。
今年1月当初の予想では、賃上げ率2%(前年実績2.18%)に乗るか否かといったところでしたが、直近の環境悪化がどこまでこれを押し下げるかに関心が集まっています。
平成26年から6年連続で2%台を維持してきましたが、これを維持できない可能性が高まってきました。
2%を大きく下回るようだと、消費はさらに後退し、再びデフレスパイラルに戻ってしまいかねません。
今回の環境悪化は月例賃金には大きく影響しないとする見方もあるようです。
影響が大きいとすれば、一時金交渉ではないかとする意見ですが、そう甘くはないような気がします。
環境悪化による先行き不透明感の拡大は、月例賃金にも影響が及ぶはずです。
では、連合と主要産別の要求を確認します。連合は、賃上げ率2%と定昇分2%を含め4%程度となっています。
中小組合では、6000円を賃上げ目標とし、これに賃金カーブ維持分4500円を加え、総額1万500円以上を目安としました。この要求基準は、前年とまったく同じです。
金属労協は、定昇など賃金構造維持分を確保したうえで、3000円以上の賃上げに取り組むとしています。
基幹労働者(技術職35歳相当)の目標基準は33万8000円以上、到達基準は31万円以上としています。これも、前年要求基準と全く同じです。
UAゼンセンではどうでしょう。賃金体系維持分に加え、2%基準で引き上げるとし、賃金体系維持分が不明な場合は9500円または4%を基準とするとしています。これも前年と同じです。
今季の特徴としては、経年、地域最賃の引上げが進んでいることを反映して、企業内最賃要求に力が入っています。
金属労協では、企業内最賃協定17万7000円(時給1100円程度)を中期目標に据えました。
UAゼンセンでは16万9000円(時給1030円)、自動車総連では16万4000円などと要求増額傾向にあります。
なお、今季交渉の山場は、金属労協の集中回答日3月11日となります。
労働新聞編集長 箱田 尊文
――――――――――――――――――――
〈労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内〉
労働にまつわる最新の情報など、充実したコンテンツを配信中の『労働新聞・安全スタッフ電子版』は、下記よりご覧ください。
――――――――――――――――――――
Copyright(C)(株)労働新聞社 許可なく転載することを禁じます
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?