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雇用情勢はいよいよ崩壊寸前?|迷想日誌

2月の一般職業紹介状況が判明しました。
やはり1月に引き続き雇用情勢の悪化が顕著となってきました。警鐘を鳴らしたいと考えます。
有効求人倍率(季節調整値)は、令和元年11月、12月ともに1.57倍でしたが、2年1月に1.49倍、最新2月は1.45倍まで下がりました。失業率は2.4%でなんとか踏み留まっています。

安倍政権の最後の防波堤は良好な雇用情勢にあります。デフレ脱却やGDP(国内総生産)の拡大、さらに言えば憲法改正などの多くの公約が達成不可能となった現在、雇用情勢だけが唯一といっていい光明です。1.5倍程度ならまだ良好な状態といえます。

国が経済政策を実行する最大の目的は、雇用情勢の改善にあると思います。
仮に、デフレ脱却などが達成できなくても、良好な雇用情勢が維持できれば、なんとか合格点は与えられます。とくに、若者に対して明るい未来を示せます。

アメリカFRB(連邦準備制度理事会)の最も重要な指標も失業率などの雇用統計です。
アメリカでは、失業率を抑え、国民の所得を高めることを最大の狙いとして金融緩和を行い、実際につい最近まで歴史的な低失業率を達成し、空前の好景気に沸きました。

日本も平成22年の年間有効求人倍率0.47倍から30年に1.61倍までV字回復しました。
日銀による異次元の量的緩和が効きだすと、一気に雇用情勢改善が進んだのです。
バブル崩壊からリーマン・ショック後そして東日本大震災まで、ほとんど必要な対策が打たれなかった一時期(いわゆる「失われた20年」)から考えれば、安倍政権はよくやっているのではないかと思います。
東日本大震災で大ダメージを受けた国民から復興税を新たに徴収(つまり増税)した逆噴射政権もありました。

雇用情勢の維持・改善は、経済政策の最重要課題です。
ここが崩壊すると、社会不安が増して政情不安となります。
現状は、消費税増税による景気の大幅後退と新型コロナウイルス感染が相まって、いよいよ雇用情勢が崩壊寸前となっています。
まだ、間に合います。金融緩和とともに、強力な財政出動で雇用へのダメージを最小限に留めるべきです。
国債発行により1人数十万円規模の一律現金給付を望みますが、そうではなさそうです。

労働新聞編集長 箱田 尊文

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