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デリバリーサービスの労災に注目を…|迷想日誌

バイクなどを利用したデリバリーサービスの交通事故が、厚生労働省内で問題視され始めました。
2019年に飲食店において発生した休業4日以上の労働災害のうち、デリバリーサービス中の交通事故と思われる114件の事故を分析した結果、原動機付自転車によるものが多数を占めていました。
当然にして、若者の被災が多く、10歳代が2割、20歳代が4割、30歳代が1割です。
ただし、40歳代も2割となっています。

一般報道によりますと、配達代行サービスA社の運営会社と宅配契約を交わしている店舗は、今年2月中旬の1万7000店舗から、新型コロナウイルス感染症拡大が始まったその後1カ月で3000店舗増え、3月末に2万店舗に増えたとしています。

A社労働組合には配達員が事故に遭ったという報告が、1~3月にかけて全国でおよそ30件あり、死亡事故も起きていたということです。
東京都内交差点で、配達員の21歳の大学生が自転車で走っていたところ、左から来た軽乗用車と衝突し死亡しました。

厚労省が注意を呼び掛けているのは、スマホ見ながら運転の禁止です。
注文客への経路を確認しながら運転している配達員の姿をよく目の当たりにしますが、いつ事故に遭っても不思議ではない状況といえるでしょう。

とくに、上記統計のように被災者は10~20歳代で約6割という若者が中心となっているため、深刻といえます。
事故防止のための注意点としては、スマホ見ながら運転禁止のほか、信号遵守と交差点での一時停止・安全確認、左側通行厳守、ヘルメットをかぶりあごひもを締める、運行前および定期的な点検・整備の実施を呼び掛けています。

そもそも、ここのところ自転車関連事故割合が増加傾向にあります。
警察庁の統計では、令和元年中の自転車関連事故の件数は、8万473件で前年より5168件減少しましたが、全交通事故に占める構成比は約20%で少しずつ上昇しています。

新型コロナウイルス感染症の拡大に沿って、また新たな課題が浮上してきたようです。
このままデリバリーサービス配達員の労災が増加していくと、若者を守るという視点からも、
もっと厳しい対策が必要となっていくのではないでしょうか。

労働新聞編集長 箱田 尊文

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