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有識者検討会が勤務間インターバルで議論|気ままに労働雑感

厚生労働省が5月18日に開催した第13回「これからの労働時間制度に関する検討会」(座長=荒木尚志東京大学大学院教授)で、勤務間インターバル制度が議題に上ったので、その様子を少し紹介します。

勤務間インターバル制度とは、終業時刻から次の始業時刻の間に一定時間以上の休息時間(インターバル時間)を確保する仕組みです。
平成31年4月施行の改正労働時間等設定改善法によって、制度導入が事業主の努力義務になりました。
労働者の十分な生活時間や睡眠時間を確保することを目的としており、昨年7月に閣議決定された過労死防止対策大綱では、令和7年度までに導入企業割合を15%以上とすることを目標に掲げています。

導入状況を毎年集計している厚労省の就労条件総合調査によると、努力義務化直前の30年度に1.8%だった導入率は少しずつ上昇しているものの、直近の令和3年度は前年度比0.4ポイント増の4.6%と、依然として5%にも届いていない状況です。

検討会では、こうした現状などを踏まえつつ、構成員である有識者が制度の方向性について意見を交わしました。
事業場それぞれの実情に配慮した制度設計を求める声が多く上っています。

川田琢之筑波大学教授は、インターバルを一律何時間と設定し、それを下回ったら違反とするのではなく、「事業場の実情に合わせた、ある程度柔軟な制度設計が望ましい」と話しました。
原則的なインターバルと最低基準となるインターバルの時間数を定め、1週間のうち一定日数は原則的な時間を下回ることを許容するといった制度が考えられるとしています。

座長の荒木教授は、特定の日についてインターバルを確保することができないといった企業の実情に合わせた制度設計として、「平均して11時間を確保する」、「11時間の確保を原則とするが、労使協定を締結すれば月に1回は例外を認める」、「例外を適用した場合、代替となる十分な休息を確保する」などの工夫を講じる余地があると指摘しました。
小畑史子京都大学大学院教授も、「企業の事情を考慮した制度設計が必要」としています。

同制度については、企業にとって実際に運用が可能であることに加え、労働者の健康維持につながる制度であることが重要と考えます。
制度設計に関する今後の議論を注視したいと思います。

労働新聞編集長 金井 朗仁

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