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高齢労働者の安全対策|「ちょっと言わせて」

厚生労働省は、高齢労働者の災害を防止するため、ガイドライン策定の検討に着手しました。
少子高齢化時代に若い労働力を補う役割や人生100年時代となってまだまだ働く意欲の高い高齢者が増えています。今後、これまで以上に高齢労働者が増えていくことから、ガイドラインの策定は時代の要請といえるでしょう。
今後、これまで以上に高齢労働者が増えていくことから、ガイドラインの策定は時代の要請といえるでしょう。

高齢労働者の安全対策の難しいところは、ハード面の職場環境改善だけでは終わらないところです。
例えば、高齢者の転倒防止のために段差のあった通路をスロープのような形にして、転ばないための対策を行ったとします。
つまずき防止のためには結構な処置といえ、とくに改善を否定するわけではありませんが、高齢者は何もない平らな場所でも転倒することがあり得るのです。
主な原因は視力や平衡感覚など身体能力の低下によるものですが、そのためには災害に至る前の段階として、健康診断はもとより、日常からの健康測定や健康づくりなどの施策を実施する必要があります。
さらには、高齢労働者に身体機能が低下している自覚を促す教育なども求められることになるでしょう。
ソフトの面も併せて考える必要があるといえます。

また、第3回「人生100年時代に向けた高年齢労働者の安全と健康に関する有識者会議」の資料にある「第1回及び第2回 有識者会議における主な意見」でも指摘していますが、労働災害防止以外の視点も重要でしょう。災害に至るまでの背景や日常の健康管理はもちろん、就労環境や働き方のルールづくりなどさまざまな問題に対し、議論が必要といえそうです。

例えば、高齢者は若年者に比べれば、病気になるリスクが高いといわざるを得ません。
高齢労働者が就業中に脳・心臓疾患が起きてしまった場合の対応はもちろん、その後の「治療と仕事の両立」も大きく関わってきます。企業としては、休職が可能な制度や短時間労働ができる制度など労務管理上のルールを整備しておく必要があります。

企業にとってはなかなかハードルの高い問題を突きつけられているような感じもありますが、高齢者が安心・安全で働ける職場は、女性や新人を含め皆が快適に働くことのできる環境づくりにつながります。
もう、すでに高齢社会です。議論は待ったなしです。

(安全スタッフ編集長 高野健一)

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