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アメリカのドラマの凄さをあらためて感じたHBO制作の傑作ドラマ「ウォッチメン」

どうもシンジです。緊急事態宣言が出て間もないくらいに私がどハマりした「ウォッチメン」についてご紹介します。

「ゲーム・オブ・スローンズ」などを手掛けたアメリカのケーブルテレビ曲・HBOで、2019年10月から12月にかけて全9話で放送されたもので、2020年5月現在Amazonプライム経由のスターチャンネルEXで配信中です。MCU作品や「JOKER」なんかもそうですが、ダークナイト以降のアメコミ作品の映像表現って社会性を見事に反映させたエンターテイメントが続々発表されてますが、これ、、なかなかの決定打です。このドラマが放送されてる同時期に映画ではJOKERも公開されてるし、年初には「エンドゲーム 」もあったりで、2019年はアメコミ作品が普通のドラマ作品を凌駕した年っていっても過言じゃないですね。映画のJOKERにひきこまれた人なら、絶対好きになるであろう社会性を思いっきり反映した作品なので、両方ともアメコミ原作というのがノイズになって見ない人がいるのであれば「不幸」としか言いようのないくらい素晴らしい作品です。いろいろ言われてますが、ザック・スナイダーが監督した2009年公開の映画版「ウォッチメン」はこのドラマを見る予備知識として先に見ることをおすすめします。映画でもおおまかな世界観は体感できますし、ハマる要素は十分あると思います。私も映画でまずハマってドラマでよりハマって原作まで取り寄せたクチですので。。

今回はこのドラマ版の魅力について、初心者ウォッチメンなりに伝えたいと思います。ではざっとプロットから...

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1985年にオジマンディアスの陰謀によって、強制的な平和がもたらされたその後の世界。ロバート・レッドフォードが長年、大統領を務めるアメリカでは、「レッドフォード基金」と呼ばれる、1921年に起きたタルサでの大虐殺のあやまちを国として認め、犠牲者や遺族に賠償金を支払っていた。しかしこれを、「憎むべきもの」と位置付けていた、KKKの流れを汲む「第7機兵隊」と呼ばれる白人至上主義者たちの組織があった。彼らは虐殺の舞台であったタルサの町で、ロールシャッハのマスクを被り、少数民族や人種差別被害者を守る警察へ反発し、2016年のクリスマスイブに、40人の警官および家族を殺害・負傷させる「ホワイトナイト事件」を引き起こす。その事件で生き残ったジャッド・クロフォード署長を中心としたタルサ警察と第7機兵隊との戦いを軸にストーリーは展開していきます。

まず、度肝を抜かれるのが第一話の冒頭5分で描かれる、1921年のタルサの大虐殺の再現シーンですね。

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ほんとこのシーンだけでもとりあえず見てください!って感じのとこで、映画のデトロイトなんかもそうですが、こんな凄惨な事件があったのかって衝撃を受けること必至です。少年が映画館で見る黒人保安官が主人公のトーキー映画と対照的な、圧倒的な現実を見せつけられるシーンですが、1921年に空爆までしてひとつの町を破壊するって、、異常すぎますね。。これが現実に行われたってのを想像するとやるせないですし、当時の、、というか今も根深くいるであろう一部の白人たちの妄想にはほんとヘドが出ます。。

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そして何より凄いのが、これをトランプ政権下のアメリカの放送局がつくっちゃえるアメリカって国の凄さですね。2020年4月現在、コロナウィルスの対応によって、ようやく本格的に政権を批判する意見がおおやけに言っても良くなってきた国に住むものにとって、この器のでかさはなんなんだって思いますよね。良くも悪くも冒頭部分だけで「アメリカ」って国が表現されてます。日本の映画やテレビが当事者として南京大虐殺を描いたようなものですからね。。

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このドラマの原案と脚本を担当したデイモン・リンデロフは、原作のウォッチメンで描かれているような「東西冷戦の緊張状態」に相当するテーマを模索した結果、人種間の対立っていう構造に着眼したのは見事ですし、トランプが大統領になって一気に吹き出したアメリカ人の本音、とりわけ白人の高齢者や貧民層の不満が爆発してる現代のアメリカを、うまくテーマにとりこんでいる点が素晴らしいです。

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とにかく、ストーリー展開だけでもわくわくさせられますが、それに関連した事件やサブストーリー的なものもかなり興味深く描かれていて、映画好きな人ほどハマるんじゃないでしょうか。

個人的に一番好きなエピソードは圧倒的に第6話です。アメリカで最初にマスクをつけたヒーローであるフーデッド・ジャスティスの誕生をめぐる話で、このエピソードには詰め込めるられるだけ詰め込んだってくらいのメッセージが入っていて、製作者サイドの熱意が最も感じられたエピソードです。

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原作ウォッチメンでも描かれてますが、ヒーローによって考え方は全然バラバラだし、ヒーローになった過程が悲惨な人ほど正義感が強いんだけど、利害を求めるヒーローには共感を得ない、、という辛い現実をつきつめられてるし、この回の闇はハンパなかったです!

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2017年に放送された「ツインピークス・リターンズ」も第8話で大爆発してましたが、そういう衝撃的なエピソードがあるドラマって印象残りますね。この第6話だけでも見てほしいくらいのレベルです。

もちろん、ドラマ版にもオリジナルのウォッチメンに登場したヒーローたちもでてきて、「ウォッチメンといえば...」って言うDr.マンハッタンもやはりキーとなるキャラクターとして登場しますし、シルク・スペクターもFBIとなって出てきます。みんな大好きロールシャッハはもちろん出てきませんが、二つの異なるアイコンとして登場します。一つはレイシスト集団「第7機兵隊」の覆面です。これはロールシャッハ好きには大不評らしいです、、当然ですよね。

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もう一つのアイコンは、タルサ警察に所属する「ルッキングラス」という警官がロールシャッハの精神的な部分を引き継ぐキャラクターとして登場してるのですが、今回のドラマでは一番おいしい役...というか、愛されキャラになってる気がしますね。

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ナイトオウルだけ出てきませんが、ナイトオウルがつくった乗り物は警察が使ってたから、それで納得してってことなのかな?

Dr.マンハッタンとともにウォッチメンの最重要キャラのひとりであるオジマンディアスが今回、結構なメインキャラで登場してます。 最初は、意味不明で「コーヒーブレイク?」ってくらいコメディリリーフ的な登場なのですが、物語後半でストーリーとがっつりリンクしていく展開となってます。演じるのが名優ジェレミー・アイアンズなので、ひとくせも、ふたくせもあるオジマンディアスのキャラを、さらに濃〜いキャラにしていて、まさに狂気の天才を絵に描いたようなキャラクターにしてるのはサスガです。個人的にこのドラマで一番好きなキャラがオジマンディアスでしたね。。

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メインキャストについてもふれておきましょう。主役を演じるのは「ビール・ストリートの恋人たち」でオスカーを受賞したレジーナ・キングです。彼女が演技がうまいのはわかっていますが、やっぱ今時の役者さんて、アクションもそれなりにできないとダメなんだろうなーってのがわかります。マスク姿のシスター・ナイトに変身したキャラはなかなカッコいいです。

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そしてこの物語の重要人物のひとり、警察署長を演じるのがドン・ジョンソンです。われらが「マイアミ・バイス」です!老いてもなおセクシーですね。

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そしてロールシャッハの精神性を継ぐキャラ、ルッキングラスを演じるティム・ブレイク・ネルソンが素晴らしいです。一見しょぼくれた感じですが、主役のシスター・ナイトの相棒役としてカッコいいって感じではないのですが味のある演技で、共感できるキャラクターをうまく演じています。

そして音楽もいいんですよね。音楽を担当したのはナイン・インチ・ネイルズトレント・レズナーと、映画音楽における彼の右腕的存在であるアッティカス・ロスが担当してます。個人的に「地獄の黙示録」におけるカーマイン・コッポラの当時の電子楽器を駆使した音像に共通する部分をかなり感じられました。確かに原作ウォッチメンのエゴイスト的な究極の選択のような思想って、地獄の黙示録のカーツ大佐に通じるものがあるし、そういった点で音楽を近づけたんじゃないかなーって印象を持ちました。。ま、もともとナインインチネイルズの音楽性自体「地獄の黙示録」的っていえば、そうなんですが。。

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また、各ストーリーに挿入される音楽も、映画版のような大味な選曲ではなく、ストーリーにシンクロしながらもすごくセンスを感じられる選曲で好感がもてます。ベストヒットUSA世代としては、ビースティーズホール&オーツが使われたり、ケアレス・ウィスパーライフ・オン・マーズなどが効果的に登場するのが嬉しかったですね。

今回はドラマ版のウォッチメンについてざっくりと語ってみました。ドラマ版のネタバレ感想と映画版についての動画はコチラから見れますので、興味があればきいてみてください。

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またnoteの方では、鑑賞した映画で動画にあげなかった作品の感想や、音楽ではマイナーなアーティストの新作レビューなど、YouTubeとはひと味違う展開をしていきますので、こちらもチェックしてみてください。よろしくお願いします。

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