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60s UK Rock #1

Al Stewart - Orange (1972)

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 ロックでもバンドサウンドが好きなので、ソロプレイヤーの作品だとバンドのケミストリー的なのは大して期待していないから聴く時の心持ちもちょいと異なるのはある。実際どうかな、とも思うけど昔はそういうイメージもあって、もちろん普通にバンドの音がかっこ良かったから、ソロ名義やシンガーの作品の方が自分の中では全然弱かった。ロッドとかボウイとかはやっぱりツェッペリンやストーンズにはロックさでは勝てないだろ、ってのあったし、それは今でもそう。バンドの化学反応が好きなんだろう。でも、音楽を聴くという意味ではそうではなく、ソロシンガーのワンマンぶりの歌やアレンジも良いものは良いし、と思うが今回はあまり得意でない方を…。

 Al Stewartの1972年4枚目の作品「Orange」。昔からどこでもジャケットを見るし名盤ともアチコチで言われているし、それでもどうなのかなとずっと手を出さなかった人の一人。理由は上記のような話だけどそれに加えてジャケットの本人像が好きじゃなかったという至って普通の理由だった。案外見てくれが気に入らないと聴かないのもあるからアルバムジャケットは重要だ。これが裏ジャケだとまったく気にならないが、表ジャケットでど真ん中で好きくない顔が見えるのはやっぱ許せん。そんな子供みたいな理由もあるが、それで聴くのが遅くなったアルバム。しょうがないとは言わないけど、聞く機会があって聴いてた。そしたらさすがに英国人らしく、これだけ軽やかにやってても湿ってる。

 ゲスト陣営はブリンズレー・シュワルツとリック・ウェイクマンの参加が話題な「The News from Spain」もあるが、なるほど…とは思うもののちょいと甘すぎる。詰めが甘いの甘いではなくて、甘ったるい歌が多い意味で、この辺のバランスは難しいけど、良い曲だな、とは思うものの好みではない。終盤のリック・ウェイクマンのピアノプレイはかなり迫力あって素晴らしいが。とは言え、アルバム最初から聴けるカントリータッチ豊富な英国風カントリー作品としてはかなり軽快で聞きやすくて良いアルバムで、キンクスの「Muswell Hillbillies」に通じる作風なので、そのヘンが好きなら大丈夫かも。意外や意外に聴いてみればなるほどな作品で、そりゃ名盤と言われるだろう。

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