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The Who: Solo works: Pete Townshend & John Entwistle

Pete Townshend - Who Came First (1972)

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 久々にピート・タウンジェンドのザクザクで快活なギターを聞いたら実に気持ち良かったので、The Whoとはちょいと違うトコロのピート・タウンジェンドに挑戦。1972年リリースながらも70年前後のデモ作品の寄せ集めとも言える実質的ファーストソロアルバムとなった「Who Came First」。基本デモテープ=ピート・タウンジェンドが全てを演奏している作品がベースになっている。この人の場合はThe Whoの作品も全て自宅で全部自分で演奏して多重録音してメンバーにそれをやらせるスタイルなので、大多数の完璧なデモテープがあり、そんなアルバムも出てることで知られているが、その最初のリリースがこのアルバムかも。一曲ロニー・レインが参加しているので、普通にこの頃には友人だったのだろう。それ以外は基本ピート・タウンジェンド一人モノ。それでこの出来映えですが、と疑うくらいに見事。ドラムも自分で叩いてベースも、ピアノも自分で演奏しての独演で、機械使ってのデモではない。だからアレンジも完全にほぼそのままだし、歌までそのまま。画期的なアルバムリリースとも言えるが、興味は更にThe Whoで未使用となった楽曲の多数収録とその後にThe Whoでリリースした作品の差を楽しめるあたり。

 ステージ上ではあれだけワイルド感ありながらもここで聴けるように繊細で丁寧な音作り、天才が故に一人で篭っての緻密な一音一音を作り上げて積み重ねていく作業が垣間見れるのはマイク・オールドフィールドと共通するオタク感。凄いと思うのは出来上がる音が全部見えていてそれを着実に積み上げていく作業が出来る事。曲だけなら誰でも浮かぶと思うけど、それをそのまま再現するのが難しくて、頭の中にフラッシュした音がそのまま出てきたらどれだけ素人でも凄い事になるが、そうはならないのが現実。そこを積み重ねられるのが努力部分で、それを超えて初めて天才。その意味でピート・タウンジェンドはやっぱり天才的だった。作品の善し悪しとは別にアーティストとしての試みを測る最初のアルバムだったようにも思える。

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