なにもない

集合時間は8：15、起きたのは7：45、口に入れたのは歯磨き粉だけ。

家を出るや否や、始まるのは信号との駆け引き、そして肺活量との勝負だ。見事勝利し、やっとこさ目的地に着いたと思ったらゴミ出しを忘れたことに気づき、とりあえずその場がどうでもよくなる。
回らない頭をそのままに、教授の前で少し恥をかき、午前が終わる。

いったん帰宅し、米と納豆と卵とを腹の中に入れたら、なんか眠くなってきたから寝る。おかげさまで午後の実習に30秒遅れた。もちろん、息は切れてるし頭は回らない。
上級医の前で少し恥をかき、気づけば午後も終わった。この後予定などない。

予定を作るのがへたくそになった自分に刺した嫌気はいったんおいておき、とりあえず家にいたら気が狂いそうなので、カフェに勉強するつもりで自転車で家を飛び出す。風で髪型が崩れるのが気になる。

同い年くらいの女の子が俺と同じように一人で勉強している。なぜかその子のことが気になりだし、勉強が手につかなくなる。かと思ったら彼氏が迎えに来たようだ。なぜか落ち込む。

俺はここに来て何をしていたんだと、「有意義」からはかけ離れた時間を送ったカフェを出る。

気づけば世界は暗くなっていた。家に帰っても何もないがスーパーに寄るのも憂鬱だ。かといって外食をするほど自分は頑張っていない。まあとりあえず、家に帰る。

玄関にある鏡に写る自分を見て、髪型なんか気にする意味なかったじゃねえかと、行きの自転車での自分にツッコミを入れる。

腹が減った。仕方ないから米だけ炊く。米炊いてたらやる気出てきたから胸肉でいつものを作り、食う。己の咀嚼音だけが響く。その状況がみじめに感じ、やけに寂しくなり、YouTubeを開く。

だらだらしてたら風呂がめんどくさくなった。「これで寝たら後悔するぞ」とつぶやいてみたら気合が入ったらしく、風呂に入ることに成功する。

髪を乾かし、化粧水と乳液を塗り、ほぼ治ったにきびを見てニヤリとする。まあでも、医者からもらった薬を塗る。

ハンドクリームを歯磨き前に付けてしまったことに、付けた瞬間に気づき、「もー」と一声発してから歯磨きをする。明日は今日の半分の量で済むようにしようと謎の決意をしながらもう一度ハンドクリームを塗る。

電気を消して、追いYouTubeを見る。

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ゴソノギ__国立医学生の日常