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誠実に
冬の空気が陽の光であたためられていたその日、息子と公園に出かけました。
いつもどおり念入りに芝の点検をした息子は、今度はベンチにのぼりたいと主張しましたが、わたしは鼻水を出している様子が気になって帰りたい。結局息子に納得してもらうことはできず、騒いで主張する彼をかつぐようにして公園を出ました。
それはまるで漫画に描かれるような典型的行動で、母になる前はこんな風にしたくないと思っていたのにな、なんて考えていました。
そしてふと、息子に帰ろうという理由も伝えていなかったことに気がついたのです。
彼の身になってみれば、ただ帰ろうとばかり言われ、訳もわからず力づくで押さえこまれるような時間だったでしょう。そんなの大人だって嫌ですね。深く考えなくてもわかります。
あのやりたくなかった典型的な母親像は、わたしが彼を子供とみくびり対応した結果だったのです。
そのすこし前のこと。うたが好きな息子がCDを変えてくれと持ってきたのですが、プレーヤーに入っているCDはつい先ほど変えたばかりのものだったので、変えるふりをしました。
でもそのあとのもやもやと言ったら。うたが流れたときの息子の顔ががっかりしているようにさえ見えてしまいました。
こんな思いをするくらいなら、しないほうがいい。わたしにとっては、息子に誠実に接することが大切だ、と身をもって感じたできごとたちでした。
公園でのことは、その日のお風呂で理由と説明しなかった謝罪とこれからの心づもりを話したら、一歳ながら真剣な表情で聞いてくれていました。
それでもかついで帰るときはきっとあるけれど。
そう、わたしたちはこれでいい。
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