無謀と挑戦の間にあるモノ 浅いオタクによる浅いシャニアニネタバレ感想

 こんにちわ、梶原一郎です。色々とお世話になっております。

 もしかしたらこの記事が初めましての方もいらっしゃるかもしれませんので、一応 軽いシャニマス遍歴を書くと……初めて触れたのは配信ライブでのMUSIC DAWNからで、ゲームを始めたのは大体ノクチルが加入する直前位、まぁ大体3年目くらいのライトユーザーです……。それなりにライブもゲームも追ってはいますがまだ分からない事ばかりな位の浅い人間という感じなんですけど、そんな人間でも5thで大々的に発表されたアニメ化にはめっちゃ喜びました。

 なのでムビチケは勿論先んず購入したし、第一幕、第二幕も嬉々として足を運びました。その際の長文ふせったーの感想はこちらです。ご興味ある人いるかは分からないけど置いておきます。

 そうして最近、とうとう終わりとなる第三幕を見てきました。まぁ……凄かったですね。ちょっと、見た直後はすぐに感想というか、言葉が浮かんでこなかったです。まぁこれには良い意味も悪い意味も含めて……。それでXで評判を見てみたら思ってたより……というかもうビックリするくらい賛否両論で……。

 ずっと自分の中で感想をどう書こうか迷っていたんですけど、やっぱりここは自分自身のシャニアニへのスタンスを固める意味でもきちんとした文章で残しておこうと思い、この記事を書いております。最初に言うと、僕自身はこんな事書いておいてなんですが賛でいたいけど否が若干勝る……という感じです。好きな気持ちはあるんですけどね……。

 ただ、猛烈に怒りが湧くとか不快感がある、とかでなく凄く、凄くやりたい事は分かるんだが……! って奥歯に物が何か挟まってんの? って感じの文章がずっと続く感じになります。すみません。

(注意)
 この記事にはアニメ版シャイニーカラーズの最終話までの大っぴらなネタバレ、シンデレラガールズU149、アニメ版ミリオンライブとの比較、やんわりとしたネガティブな意見としょうもない自分語りが含まれます。予めご了承ください。

雑感


 率直に言えば面白かったですよ。鑑賞料金を損したとかは全然思わないくらいに。

 そこはマジなんです。ただ、これはアニメーションとして純粋に、ってよりこの方向性に決めた制作者の方の胆力だとか、図らずも自分にとってシャイニーカラーズとは? を見つめる事になるきっかけになってしまう事とかの考え込んでしまう要因から来る類の面白かった、なので割と複雑なんです。

 じゃあ、シャニアニをシャニマスを知らない人に、アイマスをぼんやりとしか知らない人にすぐ勧めたくなるくらいに好きか? と聞かれたら正直……いやあ、僕は良かったですけどかなり人を選ぶとは思います……。となってしまうんですよね……。

 良い意味でも悪い意味でも、このアニメは独自性の塊だったと思います。あくまで僕から見たらですが、ちょっと類似する作品が浮かばない位に独特な風味の作品でした。始まりから終わり方まで驚きっぱなしの。

 では、どうして僕がシャニアニに驚かされたのかを自分なりに解説しつつ最後にこの作品に対する総評を纏めていきます。恐らく結構な長文になりますが、最後まで読んで頂けると嬉しいです。

長所

 まず、シャニアニってとにかく演出もアイドルの描き方も、話の展開自体も徹底的に抑制的、内省的なのが僕には結構な衝撃でした。まず誰もが驚かされる、1話の真乃がアイドルとなるまでを抒情的に……それこそ、気候の変化や真乃の目の変化で心情を表現しようとするその手法がまず凄かったんですよね。

 ある種この時点でこのアニメはこういう路線でやる! という大胆な宣言だった気がします。そこからの各ユニットの魅力を伝える2~4話も、アンティーカが雨天を逆に利用して迫力あるMVを撮ったり、アルストロメリアがお子さんに笑顔の花を咲かせたり放クラがヒーローショーをしたり……と、各々巧くユニットの特性を活かした活躍を見せてくれますが、それでも描かれる演出や展開自体は素朴というか、地に足が付いています(アンティーカ雨天MVは色んな意味でハラハラしたけど

 で、ここが私的にシャニアニの路線に対して結構唸った点で。アイマス自体の大きなムーブメントとして、先輩であるシンデレラガールズがU149、ミリオンライブがMILLIONLIVE! と立て続けにアニメを輩出しましたが、この二作が要所要所でアイドルの内面や心情をファンタジックに表現する展開があったのに対し(小春が森の仲間たちとミュージカルを繰り広げたり、ありすが迷いの末に自分自身の心に触れたり、中村Pがミリオンシアターの光景を幻視したり、静香が歌を父親に届けようと翼を広げたり。どちらも凄かったな……)シャニアニは徹底して現実的な出来事がさらりと提示され続ける、異様な位にリアルであろうとします。ここが面白い。前に挙げた二作も滅茶苦茶面白いんですが、シャニアニならではの独自路線としてしっかりここは印象強かったです。

 いや、真乃が変なウユニ塩湖に招かれてただろとかモリサゲ―ルはリアルじゃないだろと言われたら首を垂れるんですけど……でもイルミネがやっと纏まる5話や283プロ総出でWINGに挑み、そして苦い涙を飲むまでをドキュメントにした6~7話にしろ、そこには生々しい位に己の感情に向き合って泣いたり悔しがったりしながらもアイドルでいようとするアイドル達の姿があって。僕はここら辺の描写、一瞬見逃しそうになる位地味な演出なんですけどすっごい好きなんですよね。

 5話のヒカリのdestinationを踊ってる時の一瞬だけ回想で出てくる、手を繋ぎあうイルミネとか、7話の感情が抑えきれずに泣き出す果穂に真っ先に寄り添う智代子とか、ランニングの途中で密着ドキュメントを眺めて、何かを決意した様な顔をする咲耶とか。こういう、細部で感情が、気持ちが動く瞬間が出てくるとあ、シャニマスを見ている……! と個人的になったんで。その上で、9話からのあの合宿合同ライブ編ですよ。

 凄くなかったですか、アレ。

 何となくぼんやりとあれ、輝きの向こう側へ! の夏合宿オマージュとかなんかな(気のせいだとは思う と思う位にはもう真っ向な合宿回。それでもこの作品はプールとかを用意しても水着ではしゃいだりはしません。

 しっかりと283ジャージを着て、アイドル達が泥臭く新曲(劇中時系列的に)であるSpread the Wings!!  を反復練習し続ける姿を映し、センターに抜擢された真乃は一人心地でプールに足元を浸しつつ、輝く夜空を見上げて決意を秘める。見てるだけでハラハラする甜花ちゃんとか物理的に火傷しそうな距離で花火キメるイルミネとかのほのぼのギャグっぽい描写は挟みつつ、もうドストレートにド真面目な合宿回をした上で、11話~12話の1stライブ。超真面目。

 アンコール後の挨拶までもしっかりとやり切るその姿勢に僕はもうなんというか、兎に角圧倒されましたね……。と同時に最後まで見終わってからしばらく放心状態だったんですけど、結構な時間が経ってから思ったんですよ。これ作ってる人達、すげえギャンブラーだなって。

 勿論、こういう超生真面目というか、こう、ファンタジックな演出や展開に依らずに現実的な路線でいこう、というのはシャイニーカラーズという原作をアニメ化するにあたって一つの正解だとは思うんですけど、最後を飾るライブに至るまでここまでリアリズム……? いや、というか何だろう、僕自身上手く言葉が浮かばないんですけど、良くシャニマスを語るのに言われる実存性ともまた違っていて。どう表現すればいいか悩んだ末に僕はこれを連続ドラマと呼ぶことにしました。

 このシャニアニを作ってる人達はアイドル達の人間ドラマを最後まで描こうとする賭けに出たんだなぁ……と。実際、11話の各ユニットのダンスパフォーマンスはどれも素晴らしかった(ハピリリのサビの小ジャンプとか幻惑SILHOUETTEの各々の体の動き方とか)んですけど、最終的に印象深かったのがやりきった……って顔のアイドル達と最後の挨拶だったので……。

 だから、シャニアニって煌びやかなアイドルアニメでもシャイニーカラーズの忠実なアニメ化でも僕の中ではなくて。もしかしたらこんな事書くと全然違うよ! って怒られちゃうかもしれませんがシャイニーカラーズを換骨奪胎した(アニメだけど)アイドルという夢を見た、でもゲームとは違う世界の女の子達の背中を追い続けた連続ドラマ版シャイニーカラーズだったかもしれないと思ったりします。こういう世界線もある、という。

 そう考えると存在は仄かにありつつも(エンツォとモンドやピーちゃんはサラッと出たりしたけど)マメ丸やカトレアとかがオミットされていたのも無理やり納得できなくもない……かも? まぁ話数とCGの余裕の無さかもしれませんが……。

 一つの考え方として、もしかしたらこれは283プロのアイドルが自分自身を演じる、現実でもよくある史実物(パッと作品が浮かばないんですけど、芸能人を演じる芸能人的な……。ビートたけしを柳楽優弥が演じた浅草キッドみたいな)かもしれないとも。まぁそうなるとwing落ちたの正規ルートなのか、みたいな疑問が浮かんだりするけど……。

 ……とクッソ長々長々とよく分からない事を書きましたが、要はゲームとは違う事をしようという意気込みを貫いたスタッフと細やかな感情の機敏を描いた演出は長所だと思いました。で……次からははっきりとネガティブな意見です。本当にネガいので飛ばして貰っても大丈夫です。

短所

 まず、このキービジュアルを改めて見てください。

 このビジュアルで派手なアイドルアニメとかを期待する人は多分そんなにいないと思います。し、きっとこう、シャニマスってこんな感じだよな……を端的に示した名ビジュアルだと思います。真乃も可愛いし。

 ……で、ですよ。唐突に自分語りすると僕は映画鑑賞が趣味なんですが、作品への感想で時折作品を料理に例えたりする(娯楽要素が強い作品をポップコーンムービーとか) んですがシャニアニ、派手さとか控えめでもこう、じんわりと効いてくる様なドラマ性とかが高いオーガニック料理なんかな……とか期待したらめちゃくちゃストイックな精進料理だったからまたビックリしたんですよね……。

こういうイメージ

 長所の方でこのリアルさというか、生真面目さは美点とは書きつつこの全体的な作り方……初見でもめっちゃハマる人もいるはいるとは思うんですけどアイドルの活躍をじっと見つめ続ける、淡々と見つめ続けるみたいな作風と、能動的にキャラクターや展開が動く放クラの4話とドキュメント回の7話はまだともかく、他の回はシャニマスをあまり知らない人が見て楽しめるんだろうか……と余計な心配をしてしまいます。

 いや、本当に余計な心配なのはわかってはいるんですけど、この基本的に淡々、敢えてのアンビエント音楽みたいな展開はU149やミリア二から続けて見よう! となった人は結構面食らう気はします。でもこれも裏を返すと多分、多分なんですけど制作者の方達はこれくらい抑えた演出でも見てる人はアイドルの事を理解・共感してくれるだろうと信頼しての演出だと思うんですよね。信じすぎてると思う。

 擁護する意見みたいになっちゃうんですけど、他の見られた方が言及されている真乃の心情の変化が分からない、アイドル達のドラマ性が薄い、ってのも作ってる人達はこれくらいの濃度がシャニマス……! って多分思いながら作ってます。これジエピの最終話? まぁその割に意図が分からんアイドル連続目瞑りとか目瞑りリミックスとか垂れ流し思い出ボムとか何にも考えてない気もするからわかんないんだけど。

 あ、後これはアニメ外への文句にもなっちゃうからあんまり良くないんだけど……生配信とかで、本作のプロデューサーである池田さんが事あるごとにアイドルの瞳の動かし方とか、細かいそれぞれ影の付け方が魅力、と語ってはいるんですけど……その前に。

 その前に全体的に、ドラマの構成とか演出とか全体的に何とかならなかったのか……とちょっと思ったりは……します! 物凄く細部の詰めにこだわる、こだわるのはわかる……けども! 小ネタとかもさ、僕自身初期からシャニマスを知る人間ではないからそこらへんの愛着は初期から知る人には及ばないけれど、それでもアプリコット! とか銀曜日の構図とか一瞬揃うチームピーちゃんとか何故か話を分けて二回も私は甘くないぞアピールする努とか作られてる方のゲームに対するリスペクトはひしひしと感じます、感じるからこそ、やっぱり、もう少し……はっきり言っちゃうけど純粋に奥歯に物挟まないで純粋に面白くて、かつ贅沢かもしれないけどシャニマスを知らない人にも気軽に薦められる、そんなアニメだったらもっと嬉しかったですね……。

 ちょっと強い言葉を使ってしまったのでフォローすると……シャニアニ、アイドルアニメとしては物凄く意欲的で挑戦的な事をしていると思います。少なくとも記憶には強く残る(僕の中では)アニメだったので。

 ただ、やはりこれがとうとう地上波へと放送される4月は正直な事を言うとかなり怖いです。まだ、先行上映はシャニマスをある程度周知してる、か取りあえずアイマスのアニメなら劇場に足を運ぶか……という猛者な方が見に行ってるからやんわりとした? 雰囲気なんですけど、誰もが(ニコ動とかでの配信も含め)見れる様になったら反応がよりダイレクトにネットに流れるから本当どうなるか……いやぁ、僕はちゃんと地上波も見るし応援もしていきますが……。……頑張れ! と毒も吐き切ったのでようやっとシャニアニ全体に対する結論を出します。

結論

 と、いう感じでシャニアニの長所も短所も思いつく限りバーッとダラダラ書き連ねました。相当読み辛かったと思います、すみません。なので箇条書
きにして纏めると(最初からそうすればよかったかも
・長所
 じっくりと丹念にゲームを見倣いつつアニメ独自のシャニマスを描いてる
 アイドルの心理描写が繊細で抒情的
 ライブシーンの迫力は間違いなく最高
・短所
 言い換えるとドラマが地味で淡白
 観客に解釈を委ねすぎていて初見の人には恐らく厳しい
 終盤にかけて演出の意図が不明瞭で怖い
 新曲一曲だけ(実質)がストロングすぎる

 楽曲とかについて短所で触れなかったのはまぁ、他の方もめっちゃ触れてるので……。何か結果的に短所の方が多いんですけど、その上で。

 その上で、僕はシャニアニ、確かに出来がいいとは言えないし、これでシャニマスを知ろうとする人に対する窓口として機能するかもちょっと……ではあるけど、ただ、自分が安直に考えつく様な、283プロが(あるいはユニットのどれかが)wing優勝!私たちのアイドルロードはこれからだ!な方向ではなく、例えその時に思いや願いが届かなかったとしても、彼女達の人生は大河の様に続いていく、それこそセブンスのはづきさんの言葉の様に……。それがアイドルマスター・シャイニーカラーズのアニメ版なんですね。

 まぁこれ自体は当てつけというかいちゃもんなんですけど、多分これに近しい考えの元で作られたシャニアニ、それを曲げずにやり切ったまんきゅうさんらスタッフの皆さんの無謀なのか挑戦なのかは分からないけど、その心意気は格好良かったぜ……! というスタンスになってます。なんかストレイとノクチル出したって事はモデルわざわざ作って二期やらない……って事もモデルもったいないし既定路線的にやるんじゃないかな……と思ってはいるんで二期やるならやるでまんきゅうさんと加藤さんが続投するかは分からないけど、応援はしてます。……やるならですが。

自分語り(後書き)

 と……いう訳で本当に気づいたら6000字くらい行ってました。最初どうやって書こうかな……って悩んでたんですけど、気づいたらこれだけシャニアニ、思う事があったんだなぁって自分でもびっくりしてます。何だかんだこれだけ書きたい事、褒めも文句も含めて出るのは僕シャニアニの事が好きだからですね。本当にアレな作品はもう何にも出ないんで……具体名はあげませんが。

 本当にこんな取り留めのない、支離滅裂な感想文を最後まで読んでくださりありがとうございました。正直自分が急速に嵌って、かつ2年以上継続して追いかけている作品のアニメ化でこんなに気が揉んで、かつ見終わってからホッとした体験もあんまなかったので新鮮でした。ある意味今とても晴れやかな気持ちです。4月からはまたじっくりと腰据えて見ていこうかなと……。また違う感触を抱きそうだし、それはそれで楽しみなので。

 最後に本当にめっちゃ、凄いどうでもいい自分語りなんですけどいまだに僕、チェンソーマンのアニメ見れてないんですよね……。原作の1部がめっちゃ好きでリアルタイムでジャンプ本誌も追ってた(銃の悪魔編とかアキの動向が気になって毎週生きた気しなかった)位なんですけど、その……ネットの評判が諸々……。だから凄い変なきっかけなんですけど、今見ようかなってなってます。リゼ編も映画化されるみたいだし。マジで何の話してるか分からなくなってきたので終わります。梶原一郎でした。最後の最後に巻末付録としてシャニアニに関してのnote記事で面白いなと思ったものを紹介して、この記事を終わります。

おすすめの感想記事

・ダ・ヴィンチ・恐山さんの記事

 第一幕のパンフレットにも寄稿されているダ・ヴィンチ・恐山さんによるシャニアニの統括記事。分かりやすく、それでいてシャープな言葉づかいでシャニアニの両面について解説しており読んだ後成程……と頷いてしまう。流石の筆力……。尊敬してます。

・バシリスクこなみさんの記事

 シャニアニの構造について事細やかに解体、考察しながらどこが問題点だったかを鮮やかに紐解く知的かつ冷静な解説記事。どちらかに焦点を絞るべきだった、というのは自分もめっちゃ同意です……。

・ツナ缶食べたいさんの記事


 僕にとってシャニマスに関するnoteを書くきっかけとなった先輩であるツナ缶さんによる、純粋にアニメーション作品としてみたシャニアニに対する筆が冴え渡る批評記事。あらゆる点に共感してます。

 という感じでホントに終わりです、改めて最後まで読んで頂きありがとうございました。次回の更新は未定です。

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