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忘れた

僕は1人ある場所へと向かっていた。
鼓動の速さに情けないと感じながら
車を60キロで走らせる。
夜遅く
街にはコンビニの灯りのほかに、
牛丼屋の灯りが見えた。
客と店員合わせて2人
牛丼屋はこんな遅くまでやる必要があるのか?
といった疑問を抱きながら、
僕は1人夜道を走る。
流れてくるラジオの声に耳を傾け
持ってきていたペットボトルの水を一口飲んだ。


辺りは段々と暗くなってきた。
信号の数も、車の数も減った。
目的地まではあと数キロ。
こんな夜中になにをしているのかと思いながらも
車を走らせる。
300メートル先左方向です。
Googleマップが親切に教えてくれた。
左方向です。
もっと早く言ってはくれないものかと思いながらも
僕はギリギリで左に曲がる。
200メートル先右方向目的地周辺です。
右方向です。
しまった、通り過ぎた。
なぜもっと早く言ってくれないのだと思いながらも
僕はUターンする。
左に曲がった僕は目的地まで案内されることなく、
目的地周辺で車を止めた。
iPhone11 Pro Maxをおやすみモードにし、
ファイトモードになった僕は、
一線を越えた。
コトが終わると、
そそくさと部屋を追い出された僕は、
タバコに火をつけ夜空を見上げると
そこには満天の星空が広がっていた。
自分の小ささに情けなくなり、うつむいた。
吸い殻を片手にもう一度上を向くと、
流れ星が流れた。
願い事を3回唱えて
エンジンをかけた。
人差し指と中指が臭かった。
初めはなんとなくハンドルを中指以外の手で持っていたが、途中でそんなこと忘れた。
あれ?
そーいえば流れ星になんて願い事したっけ?
人間は結局忘れる生き物なんだよなぁと思いながら
ラジオをつけ、今日が終わった。

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