【日記】宇宙アンテナ

　今日は雨でした。突然の雨で傘を開きました。傘を開いて雨を防ぎながら街を歩きました。雨は強く風はもっと強いようでした。雨の街を歩く内にどんどん風は強くなっていき、ついに傘がひっくり返ってしまいました。ひっくり返った傘は雨を受け流す形ではなく、宇宙を掴むような形になりました。振ったとしても、元に戻ることはありません。戻そうとするほど、余計雨に濡れてしまうだけでした。

　ひっくり返った傘をさしながら、雨の街を歩きました。雨は上がる気配はありませんでした。すれ違うほとんどの人が傘をさしていました。透明な傘、大きな傘、色の傘、新しい傘……。人の数ほど傘はあるけれど、ひっくり返った傘をさしている人は、誰もいませんでした。風は衰えを見せず吹き続け、ひっくり返った傘を持ち上げようとするばかりでした。傘は今この瞬間に宇宙をキャッチしているのだ。

「こちら地球。聞こえますか。
高度な文明を有する希有な惑星。
こちら地球。
この信号をキャッチしたら、CDを送ってください。
こちら地球。
雨にも負けず呼びかけています。
共感点を見出した同志は、
CDを送ってください。
ハロー。こちら地球」

　広く宇宙に呼びかけながら、雨の街を歩きました。

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