その後の暮らし

 謎が明かされた。
 断崖絶壁の辺りに集合して密になった人々は不安を募らせたり危機感を露わにしながら事の行く末を見届けようとネジで固定されたようにその場に動かず、どこかに気のつく人がいて椅子を差し出したりお茶やお菓子をすすめたりという場面はなく、真相を突かれた人物が幼少からの記憶を振り返って感情を込めながらゆっくりとした口調で語るところを、「今ここで言うことか」などと厳しいツッコミを入れたりもせず、むしろうっとりとして聞き届ける人々の姿勢に、集まった人々の深い絆が感じられ、聞く人の存在あればこそ長々と停滞した時間に人生の機微をみつけることが、夜の深まりにサスペンスとして刻まれていくということは事実だ。
 いずれにしろ事件が解決すればめでたしめでたしエンドロールが流れたらあとは我に返るばかりで、がっちりと握手をかわした犯人と名探偵にも花束が贈られている。



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#日記 #エッセイ

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