ものづくり系コンサルが薦める本 Vol.2 「トヨタ生産方式 大野耐一著」
✔ トヨタ生産方式がどのような背景で誕生したのか?
✔ トヨタ生産方式の本質とは何か?
✔ フォード・システムとの違いは何か?
などを学ぶことができます
✅トヨタ生産方式は様々な制約のなかで生まれた
戦後、トヨタ自工社長の豊田喜一郎は「三年でアメリカに追いつけ。そうでないと日本の自動車産業は成り立たんぞ。」と言うくらい危機感があった
当時の日米の生産性には約10倍のひらきがあった
ちなみに、当時(1950年頃)の日本の自動車生産台数は約1,000台、一方アメリカは約663万台
アメリカではフォード・システムに代表される大量生産が進んでいた
日本では「少量」多品種で、かつ利益を生み出す生産システムを構築しないといけない
アメリカは職能別組合、つまり旋盤工は旋盤しかやらない(単能工)。い必然的に、作業者の単純作業をベースとした生産ライン構成となる
一方、日本はそのような縛りはない。一人の作業者が複数台の機械をうけもつことができる(多能工)、これが大野耐一氏が最初に挑戦したこと、トヨタ生産方式への入り口であった
✅トヨタ生産方式の本質とは何か?
トヨタ生産方式の基本思想は「徹底したムダの排除」である
徹底したムダの排除により原価を低減させ、低成長時代でもしっかりと利益を生み出せるようにすること
1973年のオイルショックの不況のなかでもトヨタは減益になるも利益を確保した
このことがトヨタ生産方式が世間に注目されるきっかけとなった
工場における「ムダ」とは何か? 大野耐一氏は7つの「ムダ」を挙げている
①つくりすぎのムダ
②手待ちのムダ
③運搬のムダ
④加工そのもののムダ
⑤在庫のムダ
⑥動作のムダ
⑦不良をつくるムダ
※それぞれのムダの解説は↓をご参照ください
これらのムダの徹底排除の具体策が有名な「JIT(ジャストインタイム)」と「自働化」である
よく「トヨタ生産方式はJITと自働化です」と答える人もいますが、正しくはトヨタ生産方式の目的は「徹底したムダの排除」であり、これを実現する二本柱が「JIT」と「自働化」、ということである
テクニカルな解説は↓をご参照ください
ちなみに、ジャストインタイムを実現する道具の「カンバン」はアメリカのスーパーマーケットからヒントを得たそうです。他業界からも学ぶ、、この姿勢も今のビジネスマンには必要ですね
✅トヨタ生産方式とフォード・システムとの違いは何か?
下記表にまとめてみました
フォードシステムは売上が順調な時はいいのですが、不況になった時には在庫↑、急激な減産、レイオフという悪循環につながりそうですよね
トヨタ生産方式は大野耐一氏の狙い通り不況や低成長にも耐えられる生産方式であることがわかる
✅この本から学んだこと
大野耐一氏の執念、これに尽きます。豊田喜一郎氏の期待に応えるべく、昭和20年代前半より数十年間も現場で創意工夫を重ね、様々な障害を乗り越え貫いてきた信念が世界に誇れるトヨタ生産方式を生み出したんですね
ものづくりに関わるものとしては、この姿勢を決して忘れないようにしたいと思います