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第90回皇后杯備忘録[酔狂自己満籠球備忘録#22]


【2次ラウンド雑感】

トップリーグ下位と学生上位の実力が拮抗していて、それが皇后杯を格段に面白くしている要素のひとつになっています。
我がヴィッキーズは筑波大に勝利し、白鷗大に敗れました。
大学バスケは殆ど観ないので知らないけれど、前回大会の結果から考えても関東4位なら格下とは思っていなかったので、僕としては筑波大との試合は嬉しい1勝でした。決して簡単な試合ではなかったけど、選手たちがこの1試合に集中してやり切った結果だと思っています。

そして白鷗大は予想通り強かった。散りました。

なぜ学生に負けてしまうのか。
そりゃ学生が強くてヴィッキーズが弱いからなんだけど。
やはりここ数年で学生のレベルが一段階上がってるということですか。
練習環境も充実してるんだろうし、あとやっぱりベンチ入りを決める段階で競争があるってのは大きな違いかなと思いますね。

ダブドリ編集長の宮本さんのVoicyは完全に共感。是非聴いてほしいので勝手に宣伝します。

羽田は勝ち方を知らない、という痛烈な一言。でもほんとその通りだし、それが一番かなと思いますね。
負けることに慣れてしまうっていうのがどんなスポーツでも怖いことで、勝ち慣れている学生チームに躍動されると経験値の高さも活かせない、というのが現実ですな。

この2次ラウンドでは、岐阜女子高が新潟に、白鷗大が日立ハイテクと東京羽田に、そして秋田銀行がアランマーレに勝利しました。


負けることに慣れてしまう、というのはとても怖いことです。それゆえの、皇后杯2次ラウンドの難しさがWリーグ下位のチームにはある。
そう考えると2部制になる来シーズンは楽しみになりますね。
下位リーグのトップと学生トップが当たったりしたら、勝ち慣れてる同士ガチな勝負です。

さあ準々決勝。


【12.13 準々決勝1️⃣】

🏀シャンソンvsトヨタ自動車

開始5分でトヨタ自動車が11-0のラン。
シャンソンはウチェ機能せず苦しい立ち上がり。
しかし2Q以降ディフェンスを変えて流れを掴み、一進一退の展開に。
FG%は低かったけれどオフェンスリバウンドみんなで頑張ってセカンドチャンスを作り、1Qのビハインドを覆したシャンソンが華麗に勝利。
トヨタ自動車は序盤の優位を活かせず。
実力的に互角とは思ってたけど、リーグ戦ここまで全勝のトヨタ自動車相手に序盤大きなリードを許して、それでも慌てることなくそこから立て直したシャンソンが見事でした。

🏀ENEOSvs白鷗大学

今大会のハイライト。最高の試合でした。
負ければ終わり。失うもののない白鷗がガンガン攻めてくる。やっぱり勝ち方を知ってるというか、自分たちの強みをわかっててそれを存分に活かしてきてる印象。
ENEOSは受けに回って苦しみながらも慌てることなくシンプルな攻めで得点を重ねて徐々にペースを取り戻す。
3ピリ終わりあたりからENEOSが突き放すかな、と思っても白鷗が崩れない!ENEOSも慌てない!の攻防。
最後は10点差。インカレという名の精神と時の部屋で、2次ラウンドより格段に強いチームになった白鷗大。
チームファウルが少なかったというのもあったけど、最終盤に可能性の低いファウルゲームをせず、ENEOSへのリスペクトをしっかり示して終わるところまで最高だった。

インカレ観てなかった勢としては74番の選手がアランマーレに行くのが補強ポイントすぎて楽しみです。

【12.14 準々決勝2️⃣】

さて。
毎年行きたいと思いながら、なかなか多忙な12月。
しかし今年は行きました。
14日なら行けそう!
ENEOSかシャンソンか白鷗見たいな!
と思ってたら見事に真裏だったけど、むしろ完全にフラットな気持ちで楽しむことができましたぜ。

🏀富士通vsアイシン

両チームともなかなかシュートが決まらずしょっぱい展開。
富士通はテミトペがオフェンスリバウンドで奮起して序盤優位。
2Qから登場した吉田亜沙美が流れを変えてアイシンが巻き返す。マジですごかった。
後半も富士通が終始リードするもののロースコアで終盤までわからない展開。
4Qにルイさん負傷。
宮澤さん以外なかなか決まってなかった富士通のスリーポイントが最後に決まり、決着。
富士通のディフェンスの勝利。

アイシンは去年の方がより組織的だったように思います。個人的には去年の方が好きなバスケでした。
今シーズンは野口さくら選手が加わって個で打開できるようになったから、すこし変えたのかな、と思っています。
しかしこの試合は点が取れませんでした。
飯島、野口、吉田、山口、この4人は高確率で決めてたけれど点をとったのがこの4人だけ。
それだけ富士通のディフェンスが良かったということですね。終始ビハインドの展開でも粘りましたが、最後まで届きませんでした。

◆吉田 亜沙美

試合前にはこうやって、コート中央でビスマルクみたいにひざまづいて、グッと集中力を高めるのがルーティーン。
この時点で既にオーラが違いました。

僕がバスケ観戦を再開したのは2021年。
吉田亜沙美選手は既に引退していましたので、全盛期のプレーは知らないまま、生で観たのは今回がたぶん初めて。
魅了されるには12分のプレータイムで充分でした。

短い時間で流れを変えられる抜群のセンスすごい。
スリーポイントの決定力も、ドリブルもパスもまだまだ超一流。
インターバルの時いつもベンチから先頭に立って出迎えるのも素敵すぎました。

試合後は誰よりも悔しそう。本気で勝ちにいってた証。

◆町田 瑠唯

顔をしかめて車いすで運ばれる町田瑠唯という貴重なシーンの目撃者となりました。
Wリーグに入ってから殆ど長期離脱のない、怪我に強い選手だということは知っています。
重症でないことを願っていますが、かなり痛そうだったので2月に万全な状態でのプレーは難しいんじゃないかと思いました。

しっかり治して、また素晴らしいプレーを見せてほしいです。
吉田亜沙美と町田瑠唯のマッチアップを生で観た。一生自慢し続けます。

🏀デンソーvsトヨタ紡織

失点を40点台に抑えたデンソーのディフェンス勝ちでした。
デンソーも決して良くないように見えたけどしっかり我慢してたし、紡織になかなか決め手がなかったですね。
オフェンスでは誰でも点が取れるのが強み。
紡織はスリーポイントが1/18。
1Qはアテンプトすらありませんでした。
サイズの小さなチームがここまで抑えられてしまうと苦しいですね。
そして今思えばですが、この試合がデンソーにとっては決勝戦に向けての良いシミュレーションになったような気がします。

紡織、ディフェンスは悪くなかったのかもしれないけどデンソーのディフェンスをなかなか崩せず、得点が伸びませんでした。
4番ポジション問題を抱えるチーム事情の中、この試合では佐坂さんがスタメンで頑張ってました。
ルーカスのバスケはまだ時間がかかるのかなって思うし、来シーズンに向けての動きも含めて、いろいろ注目していきたいチームです。


デンソーは近づいて挨拶してくれるんですね!
このファンサービスは素敵!
髙田さんやエブリンはコート外でもいろんな活動してるし、金髪が多いし、実業団チームだけどプロ意識は高いなって思ってます。

いわゆる「iPhoneの限界」に挑んだにわかデンソーファン。


というわけで、準々決勝の2試合を観戦。
皇后杯独特の、ニュートラルな空気感を味わうことができて、やっぱりおもしろいなって思いました。
また来年も行きたいです。

やっぱり代々木は好き。
永遠に完成しない街、原宿。
メリークリスマス!



【12.16 準決勝】

🏀シャンソンvs ENEOS

エネオスのウチェ封じ、見事でした。
1ピリは0得点で、たぶんシュートも1本しか打ってない。
ウチェ9点、渡嘉敷31点。この差が決定的でした。
まわりの選手もしっかり点を取れるのがシャンソンの強みでもあるし、実際とってたけど圧倒的にエネオスが上回りました。
2ピリでギヤを上げて、3ピリでトドメを刺す。
チーム全体がしっかり勝負どころでガッと集中できるエネオスの強さ。

個人的にどちらが勝っても嬉しい試合だったんだけど、あわよくば地上波でユノさんを観たかったな。
あと大会ベスト5に佐藤ゆりかさんを選んでくれたら嬉しかったっす。

🏀富士通vsデンソー

インサイドを支配して1ピリで勝負を決めたデンソー。エブリンすごい!
スリーポイント13本。
出てくる選手が次々と決められるのがデンソーの強み。
後半から登場してしっかり結果を残す渡部友里奈さんがかっこよすぎる。
準々決勝もそうだったんだけど、前半全然出てこないから怪我してるのかな、と思ったらハーフタイムで激しめのアップして、「待ちくたびれましたよ」と言いながら後半スタートで出てきて、しっかり攻守でチームを鼓舞できる素敵。

凡人の戦評としては、富士通は準々決勝もディフェンスが好調で、アイシンのスクリーンプレーを上手く消してた印象で、この試合でもそれをやりたかったんだけど、デンソーはシンプルにパスを回したり1対1を仕掛けたりしてきたので、ディフェンスの強みを出せなかったですね。
一方デンソーのディフェンスは、木林さんも言ってたけど高田さんがゴール下に張って富士通のダイブって言うんですか、そういう動きを完全に封じてて、そのへんの攻防は面白かったですね。

2ピリ以降ゾーンディフェンスの時間が長くなってしまったのは残念だけど、どこかに狙いがあったのでしょうね。
じつは試合前は、富士通もワンチャンあるのではないか、と予想していました。
ルイさんは出られないけどもともとディフェンスのチームだし準々決勝もディフェンスは良かった。
デンソー側から考えても、ポイントガードが変わるとやりづらい場合もありますからね。
しかし序盤でディフェンスを崩されて1ピリで14点差。
ディフェンスのチームが追いかける展開になると苦しいですね。
オフェンスに関しても、良い選手揃ってるからルイさんいなくてもしっかりやれるはずだけど、さすがに中1日では準備不足でした。
しかし赤木さんとか安江さんが良いプレーを見せていたのは今後のリーグ戦に向けては光明ですね。ここからの富士通も楽しみです。


【12.17 決勝】

🏀ENEOSvsデンソー

まさかの展開になりました。今シーズン最高のデンソーと、今シーズン最悪だったエネオス。

佐々木クリスさんみたいに戦術的な視点では書けませんが僕なりってことで。
とにかくデンソーのディフェンスが見事にハマって、シュートが異常な高確率で決まって、まず流れを掴む。
ENEOSが流れを覆せなかった要因はいろいろあるけど、やっぱり3番ポジションでのデンソーの優位性が最後まで崩れなかったからかなと思ってます。
後半立ち上がりでデンソーは謎ゾーン。ENEOSがレイアップを外すかたちで結果的にディフェンス成功となったところが決定打になりました。
ゾーンを敷いたのはあの場面だけでしたね。

11連覇の重圧は計り知れないけど、何度もそれを乗り越えてきた ENEOSがまさかこんな一方的な展開で負けてしまうとは、ちょっと信じられない光景でした。
一発勝負のトーナメントだと、本来の実力以上にスコアが大きく開いてしまうことって、でもときどきありますね。
これが皇后杯の醍醐味。
ハマってしまうと抜け出せなくなってしまうのがバスケの怖さだし、面白さでもあります。

とにかくデンソー強かった。
昨シーズンまでは絶対的な安定感がありながら殻を突き破れない印象でした。
偉そうな言い方すれば強いけど怖くない。
そこにエブリンという強烈な個性が加わったので、今シーズンはひょっとしたら、とは思っていました。
どこのポジションでも点が取れる強みを最大限に活かせた、素晴らしい優勝でした。

◆馬瓜 エブリン

1年休んで戻ってくるという前例を作ってくれたことを、何者でもない者だけど本当に感謝したいです。
こういう選手が増えて、いろんな選択ができるようになるといいなって思います。
しかもパワーアップして戻ってきたブランニューエブリン。
体も強いし、どの距離でもシュート決めるし、ファウルのもらい方は天才的に上手い。

◆木村 亜美

日本女子バスケが生み出してきた数多くの名ポイントガードの系譜に、またひとり名前が刻み込まれた試合になりました。
しっかりとボールをキープできるし、オフェンスをコントロールできるし、自分でシュートも決められるし、かわいい。
PGは ENEOSに分があるかな、と思ってた僕の予想は未熟でした。

◆髙田 真希

16年間待ち望んでいたはずの優勝だけど、冷静に淡々と語るスピーチがカッコ良すぎるぜ。

このインタビューはいろんな人に届いたと思います。続けることは難しいし、それだけで価値がある。

そしてチームスポーツだと巡り合わせもあるよな、と思いました。
デンソー優勝の歓喜の中で、プレータイムをあんまりもらえずに悔しい思いをしている選手もいるし、そういう選手を思えるバスケファンでありたいな、といつも思っています。
いろんな選手がいろんな境遇で頑張るWリーグであってほしい。

◆ENEOSサンフラワーズ

何度優勝してもずっと挑戦し続けてきたチーム。
決勝はちょっと受けに回ってしまいましたかね。
このプレーが決定的だった、というのはないけれど、デンソーの策がことごとく上手くいってどんどん点差が離れていったので、あれ、おかしいな、と思い始めたところから立て直すことができませんでした。
ENEOSほどのチームが逆境を跳ね返せなかったのは、これはほんと一言でまとめちゃいけないとは思うけど、連覇の重圧なんだろうなって思うんです。
そしてそれがやっぱり一発勝負の怖さなんだよな。

さてデンソーとENEOSは今シーズン初めての対戦でした。
3番ポジションのミスマッチははじめからわかっていたことで、おそらく ENEOSからすると予想以上にそこの差が大きかったと思うんですね。
そこをリーグ戦でどう修正してくるかってとこも注目していきたいですな。



皇后杯について その他

レギュレーションとしては現行のままがちょうどいいな、と思ってます。
お正月集中開催だと日程が過密すぎる。
男子みたいな長丁場だとプレシーズンマッチの様相が出てしまうし。
こんなこと言ったら怒る人もいそうだけど、男子はBリーグの試合が多すぎるから天皇杯がただのカップ戦の様相を呈してしまってるよね。
だいたい2回勝ったら優勝ってそりゃないぜ。
やっぱりリーグ戦と違う一発勝負の面白さ、それは怖さでもあるけど、別のものとしてこれからも楽しんでいきたいです。

皇后杯はおもしろいです。
神々しいですね。皇后杯だけに。

とにかく現地観戦できたってのが今大会の喜び。
吉田亜沙美を自分の歴史に刻み込みましたぜ。
代々木やっぱりいいですよね。観やすいし。
丹下健三マジリスペクトっす。
リーグ戦の代々木開催も少なくなってると思うので、そういうものとして、そこで差別化するのも独特の雰囲気出て良いと思います。


今日もありがとうございます。

それでは、試合後に良い感じで会場で流れてたこの曲をお聴きください。

木村カエラ『BANZAI』



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