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断捨離で知る父の初恋

断捨離の進行がSTOPしている。
天井近く梁の上にひっそりと肖像画が飾られていた。子供の頃より同じ場所にあった記憶がある。父の大事な物だと誰もが長い間話も触れもしなかった。大事にしていた肖像画の謎を訪ねる事もなく、父は30年前に他界した。母がニコニコしながら”父の秘密”を耳打ちしてくれたことを懐かしく思い出している。”あれは、父さんの初恋の思い出の品だよ”、と。そんな肖像画を手にとりと母の言葉を思い出しながら、母は父を慕い、父も母を大切にした両親の一生を思い浮かべている。

父の初恋の宝物

Deanna Durbinの名前が見える。。1930年から1940年代ハリウッドで活躍したカナダ人。2013年パリで92歳の生涯を終えている。彼女は1921年(大正10年)、父は大正11年(1922年)生まれ。同じ世代を戦勝国と敗戦国に分かれて生きた二人だ。父は彼女をどこで知ったのだろう?どういう縁でこの肖像画を手にしたのだろう?。学生時代の憧れだったかも?興味尽きない謎解きだが、お陰で今日の断捨離は一時停車の状態だ。

Deanna Durbin

学徒出陣、敗戦、シベリア抑留、故郷に帰った父は母と結ばれる。老いた両親と6人の姉と妹。みんなで逞しく生き抜いた人生。その大家族が過ごした古民家で祖父や両親が残したものを断捨離している。父の趣味はビデオ撮影と読書。一人残った男子として妹を嫁がせ、両親を見とり、4人の子供を育てた。”大正生まれは明治と昭和の架け橋”といつも言っていた。そんな父の唯一の趣味はビデオ撮影。大きなカメラを抱えて走り回った父のフィルムは保存悪く、再生できそうにない。ビデオには子供の頃のロベルト達がきっと主役として登場しているはずだ。そんな父の姿と子供時代の自分の姿が見れると思うと古いカメラとフィルムを断捨離できない。

祖父と祖母、父と母

ロベルトも一つだけ、こっそりと初恋の思い出を残しておくことにする。絶対内緒だ。初恋だけは父のようにずっと内緒にしておきたい。

一人で食事をする機会がおおくなった。子供たちは子育てに忙しそうだし、ワイフは社交的なのか毎日忙しそうにしている。今年の断捨離は中途半端に終わりそうだ。
2023年もあと少しで終わる、長くなってゆく過去をいとおしみながら、短くなってくる未来を、せめて健康で楽しく過ごしたいものだ。

整理整頓
謹賀新年


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