見出し画像

「竜の未来」を任せたい二軍の若手選手〜投手編②

*2019/11/28 中日新聞プラスへの投稿分を転載

皆さん、こんにちは。今回も前回に引き続き

「今季主に二軍でプレーした若手選手」

を紹介したいと思います。

昨日は主に二軍をメインに活躍した若手先発投手について見て行きましたが、今回はリリーフ投手5人を取り上げたいと思います。

6. 伊藤準規

スクリーンショット 2020-05-03 13.39.22

プロ11年目、28歳。
今季は春季キャンプから右肘痛で出遅れ、実戦復帰したのは4月の半ば。
復帰後は前年までと同様リリーフで起用されると、主に試合終盤を任される「クローザー」として無失点投球を続ける。
気づけば6/17に一軍登録されるまでの18試合で失点は僅か1、防御率0.48と圧巻な投球を続け、遂に一軍切符を掴み取った。

ただ伊藤にとってもファンにとっても悪夢だったのは、今季初登板となった6/18西武戦。
6点ビハインドの6回から敗戦処理として登板した伊藤は1イニング目を無失点に抑えたものの、回を跨いだ7回に被安打7、与四球2で8失点を許しながらワンアウトしか取れず、悲劇のKO。
試合は2-16と山賊打線の怖さをまざまざと見せつけられる敗戦となってしまった。

結局伊藤はこの試合を最後に一軍登板機会はなく、二軍では圧倒的な成績を残しながらシーズンを終えてしまった。

スクリーンショット 2019-11-26 23.22.02

最悪な結果となってしまった今シーズンだが、前述の通り二軍成績は圧倒的。
今季は31イニングを投げて5/9の1失点のみでシーズンを完走し、防御率0.29でフィニッシュする無双ぶりを見せつけた。
伊藤が二軍で圧倒的な成績を残せたのは、常時140キロ中盤以上をマークする快速球とフォークボールのコンビネーション。
二軍レベルでは高い奪三振割合を誇るなど、クローザー起用には最適な投球スタイルが持ち味だった。

課題はそのフォークボールが一軍レベルでは見極められる&なかなかいいところに決まらない制球力だろうか。
二軍レベルでも四球割合も低くはなく、一軍ブルペンで信頼を得るには最低限の制球力を身に着ける必要がある。

▼来季展望
既に若手と呼ぶには憚られるキャリア&年齢に差し掛かっており、二軍で燻っている現状だと与えられるチャンスもそう多くはない。
さらに8月には右肘の痛みが再発。
毎年のように慢性的に痛みを抱えていたことから、今オフは右肘のクリーニング手術を行うに至った。

来季は右肘を万全の状態にした上で、春からアピールして一軍ブルペンになんとかしがみつきたい。
地元岐阜出身のドラフト2位で指名されている選手とはいえ、いよいよ来季は正念場か。

7. 浜田智博

スクリーンショット 2020-05-03 13.41.58

プロ5年目、27歳。
今季は先発陣に怪我人が多発した影響で、春先から先発にリリーフにフル回転。
例えば3/15のファーム開幕戦ではワンポイントリリーフとして登板したものの、2日後の3/17には中1日でまさかの先発登板。
その登板では6回1失点のQSピッチでチームの逆転勝利に貢献するなど、台所事情の苦しい二軍投手陣を支えた。

ただ怪我人が続々復帰してくると先発ローテから外れ、ロングリリーフに逆戻り。
さらに5月以降はリリーフとしての登板機会すら限定的になるなど、残念ながら今季のハイライトはシーズン序盤の先発登板だけとなってしまった。

スクリーンショット 2019-11-26 23.49.28

浜田と言えばその代名詞である「バンザイ投法」が有名だが、現在はバンザイというほど左腕を上げてはなく、より打者からその特徴的なテイクバックが見えづらくなるよう工夫した投球フォームに改善されている。

球速は140キロに満たず奪三振も多くはない&四球も少なくはないため成績の見栄えはよくないが、フィールドアウトの多くをゴロアウトで奪っている点は特徴的。

▼来季展望
育成落ちして既に3年が経過したが、来季も引き続き育成選手としての契約が続く。
来季こそは左のリリーバーとして一軍戦力になるところをアピールしたいが、このオフには左足首の靭帯損傷で早速つまづいてしまった。
W浜田の片割れである濱田達郎はと言えば、フェニックスリーグでのアピールが実り支配下復帰を勝ち取っただけに、来季こそは少ないチャンスを生かしたい。

8. 濱田達郎

スクリーンショット 2020-05-03 13.43.58

プロ7年目、25歳。
度重なる怪我に悩まされたかつての高卒BIG3も、今年で育成契約3年目。
今季は昨オフに行った左肘手術の影響で出遅れるものの、3/26の広島戦で259日ぶりの復帰登板を果たすと、白星までゲットし復活の狼煙を上げた。

それ以降は主にリリーフとして徐々に登板イニングを増やしていくが、4月半ばからは遂に先発復帰。
ただ思うような結果が残せなかったことと怪我人の復帰などが重なり、5月半ば以降はリリーフに再転向となった。
浜田智博同様に6月以降は登板機会が限定的で、残りのシーズンは僅か6試合、4回1/3の登板に留まった。

スクリーンショット 2019-11-27 0.28.39

二軍登板機会が少なかったこともあり、二軍成績はお世辞には良いとは言えない。
防御率もさることながら、奪三振数より与四球数が多くなるなど制球も安定しておらず、球速も140キロ前後と全盛期とは程遠い。

ただそれでも今オフに支配下復帰を勝ち取ることができたのは、フェニックスリーグでの投球フォーム修正がハマったからと言える。
今季左のリリーフとして台頭した福のようにクロスステップ気味の投球モーションに変更することで、より左打者から見えづらいフォームを模索したように見える。
左のリリーフは一軍主力レベルでロドリゲス、岡田、福といるがそれに続く投手が皆無だったため、濱田も福に続きBチームから一軍ブルペンに滑り込みたいところだ。

▼来季展望
久しぶりの支配下復帰を果たした濱田だが、まずは二軍レベルで首脳陣の信頼を勝ち取ることが大前提だろうか。
ロドリゲスの去就は不透明だが、岡田・福と一軍レベルの左のリリーフは粒揃いなだけに、まずは二軍で結果を出すことが求められる。
フェニックスリーグでハマった新投球フォームにさらに磨きをかけて、来季は「元BIG3」の面目躍如を期待したい。

9. 石田健人マルク

スクリーンショット 2020-05-03 13.46.01

プロ2年目、24歳。
ルーキーイヤーとなる昨季は二軍戦での登板がゼロに終わったが、今季は開幕から右のリリーフとして定着。
登板機会こそ多くはなかったが、シーズンを通してコンスタントに登板を重ねた。

今季はトータルで18試合、22回2/3を投げて防御率1.99と好成績を残し、来季以降の支配下登録が視界に入ってきた。

スクリーンショット 2019-11-27 0.53.33

石田の特筆すべき点といえば、そのカクカクとした特徴的な投球フォーム。
184センチの長身から145キロ以上を連発するストレートを投げ込み、カーブやフォークとのコンビネーションで多くの三振を奪う。
打者からすると見慣れないフォームのためタイミングが取りづらく、オーバースローから放たれる角度あるボールになかなか対応しづらかったのではないかと推察する。

▼来季展望
悲願の支配下登録に向けては、課題であるアバウトなコントロールの改善と、変化球の精度向上がカギになるだろうか。
ただ仁村新二軍監督もそのストレートの球威に惚れ込み、来季は二軍のクローザー起用を示唆しているだけに、本人が与えられた場所で結果を出すことができれば支配下入りもそう遠くないかもしれない。

10. ブリトー

スクリーンショット 2020-05-03 13.48.00

来日1年目、23歳。
春季キャンプからテスト生として参加すると、150キロ以上を記録する豪速球でアピールし、将来性を買われ育成契約を勝ち取る。

ただファーム開幕後は下記表にも表れているように衝撃的な制球難を露呈し、5月中旬から9月までの約4ヶ月の間は登板機会すら与えられなかった。

スクリーンショット 2019-11-27 1.10.47

ただブリトーの成績で注目して欲しいのは、4ヶ月ものブランクのあと復帰した9月以降の登板では、これまでに見せた壊滅的な制球難が劇的に改善されたことにある。
5月まではワンアウトも取れずに複数個の四球を献上し、バックネットにガンガン投球が突き刺さることも珍しくなかったが、9月以降はある程度制球が落ち着いたように見えた。

彼の制球難がどのように改善されたのかは定かではないが、浅尾コーチを始めとする二軍投手コーチによる指導の賜物であることは間違いないだろう。
150キロを超えるストレートをある程度コントロールすることができれば、第二のライデル・マルティネスとして覚醒することも夢ではないかもしれない。

▼来季展望
ブリトーについて来季の契約は正式に発表されていないが、育成選手保留者名簿にその名前が公示されていることや、秋季キャンプにも参加していることから、来季も育成選手として中日でプレーすることは間違いないと思われる。
豪速球が武器だが比較的細身なだけに、ひと冬越えて体をさらに大きくできれば、さらなる球速アップも期待できそうだ。

ただ彼の場合はまずは制球難の克服が大前提、さらにその先には変化球の精度向上も課題だと考えられるため、来季いっぱいは技術向上に取り組む形になるだろう。
ブリトーの育成はファームのコーチ陣の腕の見せ所とも言えるだけに、荒削りな「ダイヤの原石」をどのように磨くか来季も注目していきたい。

以上、昨日に引き続きファームの若手投手について紹介していきました。
明日以降は若手野手について10選手をピックアップし、引き続き紹介していきたいと思います。


以上、ロバートさんでした。
ありがとうございました!

データ参考:
NPB
nf3 - Baseball Data House -
日刊スポーツ ファーム情報

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?