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「竜の未来」を任せたい二軍の若手選手〜野手編②

*2019/11/30 中日新聞プラスへの投稿分を転載

皆さん、こんにちは。今回も前回に引き続き

「今季主に二軍でプレーした若手選手」

を紹介したいと思います。

昨日に引き続き、今回も二軍をメインに活躍した若手野手について紹介していきたいと思います。

6. 石垣雅海

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プロ3年目、21歳。
今季は開幕前から左脇腹を痛めて出遅れ、4月は下位打線を打ちながらの低調なスタート。
4月中旬以降は根尾が離脱時のショート、復帰後はサードとファーストを守りながら徐々に調子を上げていく。

そして石垣にとって転機となったのは6月。
二軍戦全14試合に1番で起用されると、うち半分の7試合で複数安打、ノーヒットの試合が2試合のみという「打ちっぱなし」状態で自身初の月間MVPを獲得した。
この時期は一軍が平田や福田の離脱により得点力不足に喘いでいたこともあり、毎日のようにTwitter上で「石垣を一軍に上げろ!」と絶叫していたことを覚えている。

結局石垣はこの絶好調時も、同じサードのポジションを守る高橋周平が離脱時も一軍に呼ばれることはなく、初昇格は8/21まで「焦らされて」しまった。
一軍では15打席すべて代打で登場し、今季初打席は巨人菅野からプロ初ヒットを記録した。

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今季の石垣について特筆すべき点としては、メインポジションのサードだけでなくファースト、ショートに加え外野まで守る「ポリバレントプレーヤー」としての第一歩を踏み出したところにある。
ビシエド、阿部、高橋周平に京田と内野のレギュラーが固まりつつある状況においては、複数ポジションを守れるようにすることで起用の幅が広がる。
石垣本人にとっても最終的にどのポジションに落ち着くかは置いておいて、まず一軍打席を多く経験するためのポリバレント化はメリットが大きいと思われる。

さらにドラゴンズの場合は広いナゴヤドームで「守り勝つ野球」を長年志向してきたからか野手の守備力向上メソッドには定評があり、石垣も入団以来かなり内野守備は上手くなった。

打撃面では昨年までの荒々しいスイングがより洗練されてきて、二軍レベルでは比較的どんなボールにも対応できる上手さが身についてきたように思う。
7月以降はどの月も物足りない成績に終わったものの、一軍のレベルも経験できたことは来季に向けた糧になるはずだ。

▼来季展望
すでにファームで874打席を経験しているだけに、来季は開幕からアピールすることで一軍の代打枠としてフル帯同することをまずは目標にしたい。
そのためには外野守備をさらに向上させることで、ベンチにとって「使い勝手の良い選手」を目指すべきか。

今オフのドラフト会議では高卒ナンバーワンスラッガー・石川昂弥の獲得に成功したため、来季は彼をサードで重点起用することが予想される。
そうするともはや二軍に石垣の居場所はない (外野での起用は当然考えられるが)ため、とにかく打つ方でアピールして二軍卒業&一軍定着の一年にしてもらいたい。

7. 三ツ俣大樹

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プロ9年目、27歳。
今年は開幕から一軍と二軍を行ったり来たりしながら、主に内野のバックアップとしていぶし銀の働きを見せた。

今季初スタメンとなった4/10巨人戦では初回に流血するも強行出場を続け、ノーヒットに終わるも2度の併殺を完成させるなど守備面でチームに貢献した。
特に併殺奪取時における捕ってから投げるまでの速さは抜群で、荒木内野守備走塁コーチとの猛特訓による成果が窺えた。

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一軍では打率.111に終わるなどあまりアピールできなかった三ツ俣だが、一軍経験を積んだ後の8月以降はファームで毎月3割以上の打率を残した。

守備面では一軍同様に内野のユーティリティとして起用されることが多く、セカンドを中心に内野の全ポジションを守った。

▼来季展望
プロ10年目となる来季は堅実な内野守備に加えて打撃でもアピールすることで、「強打のユーティリティ」として堂上のお株を奪う活躍を期待したい。

今季は内野ならどこでも一定以上のレベルで守れるものの、レギュラーがいずれも好守のためほぼ固定&代打の一番手としてこちらもチームトップレベルの守備力を誇る堂上が控えていたため、ベンチを温めることが多く出場機会は限定的だった。
亀澤が退団したため来季も一軍ベンチ要員としての起用が増えることが予想されるが、打つ方でアピールすることでさらにその確率を高めたい。
三ツ俣本人も契約更改の場で「来季はアッパー気味にスイングを修正することで打撃面での改善を目指している」とコメントしているだけに、春季キャンプ以降その打撃にどのような変化が見られるかは今から楽しみだ。

8. 伊藤康祐

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プロ2年目、19歳。
春先はオープン戦にも帯同するなど首脳陣からの期待は高かったが、開幕は二軍スタート。主に根尾と共に1, 2番コンビを形成した。
打率は1割台と調子は上がってこなかったものの、負けが込んでいた一軍の起爆剤として4月末にプロ入り初の一軍昇格。
4/30の巨人戦には1番レフトでプロ初出場・初スタメンに抜擢されると、現地観戦していた私の目の前で初打席・初ヒットを記録した。
守ってはハッスルプレーで先発・大野雄大のピンチを救い、チームの勝利に貢献。

その後も一軍帯同は続いたものの、6月頭に左脚を痛め登録抹消。
以後一軍復帰は叶わなかった。

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伊藤康の今季二軍打撃成績を振り返ると、印象的なのは右方向への打球が多い点だ。
他の選手の打球傾向を見ても分かる通り、打者の左右を問わず引っ張り方向への打球が多くなるが、伊藤康の場合は広角に打球を飛ばしていることがよく分かる。
一軍では比較的引っ張り方向の凡打が多かったように見受けられたが、それを意識してコースに逆らわず、フィールド全体に打球を飛ばす意識を持ったのだとしたら素晴らしいことである。

また今季二軍戦でのホームランはわずか2本だけだったものの、276打席でツーベース17本、スリーベース4本を放っているのも好印象だ。
再来年からホームランテラスの設置が検討されているものの、振り切ったスイングで外野の間を抜き、俊足を生かした長打を増やしていくことは単打を積み重ねることよりもチームの得点力向上に寄与できるはずである。

▼来季展望
個人的に伊藤康祐には「センター大島の後継者」として期待しているため、来季まではファームの核弾頭として打撃の精度をより高めてほしいと思っている。
今季キャリアハイとなる成績で自身初の最多安打のタイトルを獲得した大島から来季いきなりポジションを奪うのは至難の業だ。
まだプロ3年目と一軍昇格を焦る時期ではないのは間違い無いので、一軍昇格は打率.233に終わった今季成績を超える「見栄えの良い成績」を残してからでも遅くはない。

ただ先日の契約更改時には、出場機会増を目的に内野守備にも取り組むよう通達されたとの報道があった。
根尾の外野挑戦にも見られるように、首脳陣は私が考えているよりも早く一軍出場機会を与えて成長を促したい考えがあるのかもしれない。

9. 渡辺勝

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プロ4年目、26歳。
昨オフに支配下登録されると、春季キャンプからアピールを続け開幕一軍のチャンスを掴み取る。
一軍での役割は代打がメインとなりスタメン出場は5/1巨人戦の一度しかなく、また打撃成績も低迷し一度も打率2割を超えることなく一軍の壁にぶち当たった。

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一軍では大いに苦しんだ渡辺勝だが、二軍ではかなりの好成績を残した。
打席数こそ201打席に留まったが、打率、出塁率、長打率、OPSのいずれもリーグトップの成績を残した石川駿と遜色ない成績をマーク。

さらに特筆すべきはその選球眼の高さである。
チームトップレベルの四球割合10%をマークし、二軍レベルではほとんどボール球に手を出すことがなかった。
またゾーン内に来たボールは痛烈な当たりでライト方向へ弾き返すプルヒッターでもある。

打撃面では打席内でのアプローチも含め二軍レベルは既に卒業すべき内容・成績のように思うので、来季は1試合でも多く一軍でのプレーを見たい選手である。

▼来季展望
来季は外野の控えとして今季その立ち位置を固めた遠藤、井領を蹴落とすことが現実的な目標になるだろう。
カギとなるのは二軍レベルで発揮した打棒を、一軍でも見せられるかどうかのみ。
前述の通り卓越した選球眼は一軍でもある程度機能していたように思うが、一軍レベルのボールをバットに当てることができずに空振り・凡打が目立っていた点をどのように修正していくかが課題である。

フェニックスリーグでは代名詞である「一本足打法」がややマイルドな形になり、代わりにバットの位置を胸の前まで下ろしてタイミングを取る形に変えるなど新しい打撃フォームを模索している様子が窺えた。
来春のキャンプやオープン戦を通して、最適な打撃フォームを見つけていく感じになりそうか。

10. 滝野要

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プロ1年目、23歳。
春季キャンプは一軍メンバー入りを果たすも、オープン戦を前に読谷行き。
開幕を二軍で迎えると、主に9番打者としてスタメン出場を続けた。
ただ4月中旬には左膝の靭帯損傷で約2ヶ月の離脱。
6月に復帰以降も体調不良などで何度か戦線離脱するなど、1年目は体力面での不安が露呈した形となった。

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滝野と言えば、怪我から復帰後の打撃フォームが巨人丸を真似たような形になっていることが話題になった。
空振りが少ないコンタクトヒッターであるが故に前半戦は長打がわずか一本のみだったからか、より長打が生み出せる打撃フォームを模索していたのかもしれない。

守備面では主に両翼を守ることが多かった。
開幕直後はセンターを守ることもあったが、練習での身のこなしや実戦でのプレーを見るに、将来像は俊足巧打のセンターというよりは打撃を磨いて両翼のレギュラーを獲得する姿の方がイメージしやすい。
今後は如何に打力を伸ばし長打を量産できるかどうかがカギになるだろう。

▼来季展望
大卒2年目となる来季は一軍でのプレーを視野に入れたいが、今オフの最大のテーマは「体づくり」になるだろう。
前述の通り怪我がちだったのもその理由だが、185センチ76キロの体格は周りの選手と比較してもかなり細く見え、大いにビルドアップの余地があるように思える。
将来像は打撃特化型の選手でもあるので、まずはプロで戦える体力・肉体を作り上げることがこのオフには求められそうだ。

「体づくり」という大前提をクリアした上で、来季はまず二軍の中軸打者として結果を残して欲しい。

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以上、4日間に渡って若手選手20人を紹介していきました。
来季はこの中から一人でも多くの選手が一軍戦力として羽ばたいていくことを心から願っております。
来年も中日ドラゴンズの若手選手からは目が離せませんね!


以上、ロバートさんでした。
ありがとうございました!

データ参考:
NPB
nf3 - Baseball Data House -
日刊スポーツ ファーム情報


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