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ブランデッドエンターテイメントを読んで広告について考えたこと

ブランデッドエンターテイメントという本を読んだ。

もともと興味があったわけでなく、直近で久しぶりに広告に関わる業務が増えるので何かインプットしようと思って本屋でたまたま目に入った本だった。この本の帯にこんな記載がある。

「顧客はお金を払って広告を避ける権利を手に入れた今、お金を払ってでも見たい広告とは?」

本当そうなのである。自分の生活を考えてみても、NetflixやAmazonプライムで好きなタイミングで映像を見て、Apple Musicで音楽を聴き、ほとんど広告に接触しない。YouTubeだってpremium利用で広告に接触していない人は多いと思う。パッと思いつくのはSNS利用時の広告接触くらい。以前であれば通勤時に街頭広告や中吊り広告も見ていたが、リモートワークが当たり前になってほとんど接触しなくなった。(これはちょっと寂しい)

そんな時代にポシティブに受け止められる広告ってなんだ?と広告主側としては非常に興味が惹かれる帯だった。結論、これから広告に携わっていく今のタイミングで読めて非常に参考になる一冊だった。それと同時に、さあどうしようかなと頭を悩ませることも多くなった。社内文書的にクローズドな場所で書いても良かったのだが、別に読まれて困る話ではないし、オープンに書いておいた方が色々と情報が集まってきたり、議論しやすそうなのであえてnoteに書くことにする。

弊社(GMOペパボ)が運用しているのはWEBサービスなので必然的にWEB広告が一番効率的だ。どのくらい露出したか、どのくらいクリックされたか、獲得単価はいくらだったか、その獲得の経路のチャネルはここからだった、みたいな情報がちゃんと取得できる。これは投資する上では予算の無駄使いの防止になるし、改善のためのポイントもある意味で明確になる。ただ一方であまりにもわかりやすくレポーティングされるので数字に振り回されてしまうのも事実だ。例えば目標CPAやROASに固執しすぎると予算のボリュームを下げて帳尻を合わせてしまうなんて運用もしてしまいがちだ。(予算も消化しきれない)

もちろんあまりにも目標に乖離しすぎる場合は問題ありだが、どちらかというと予算のボリュームを上げてもCPAをある程度安定させるためにはどうしたらいいのか、はたまた競合が途方もないボリュームで出稿している場合など、単純に物理的なボリュームで張り合うべきなのかどうなのか。こういうところに(最終的にサービスが成長しなければ意味はないという前提において)広告担当としては本当は頭を使っていくべきだと考えている。

そんなことを考えているなかでブランデッドエンターテイメントを読み、そういえばこれまで配信の設計の話(いわゆるアドテクの仕組みとか)や配信媒体の選定だったりとかは随分たくさん議論してきた気がするけど、そこで配信するコンテンツに関しての議論はあんまり見てこなかったなと感じた。僕が関わった中で獲得をメイン指標に置かずに作ったコンテンツはminneのハンドメイドストーリーくらいだ。

この動画の制作背景は以下のnoteにまとめてある。

この本を読んで真っ先に思い出した国内事例は「北欧、暮らしの道具店」のWEBドラマシリーズだ。

この第一回目には「北欧、暮らしの道具店」で購入可能なアイテムが散りばめられているわけではない(らしい)。だけど、北欧さんのファンの方が大好きな世界観が詰め込められている。結果はみなさんご存知の通りで映像作品としてのクオリティの高さはもちろん、北欧さんのブランドもさらに強固なものになったと感じられるし、エンターテイメントという新しい事業モデルにまで発展している。


そしてこの本の中で紹介されているコンテンツも本当に素晴らしいものばかりだ。(すぐに見れる事例2つを参考までに貼っておく)

だからと言ってブランデッドコンテンツ作ってみたい!みたいな単純な話ではない。手法としてこういったアプローチが消費者に求められている、それについて知っておくことが必要だし、知らなければ例えば莫大な広告予算を任されたとして、全部配信面の確保に使ってしまうかもしれない。(それは極端な例だけど)ただ、ブランデッドエンターテイメントについては個人的には非常に魅力を感じるし、どこかのタイミングでチャレンジしてみたい。

ちょっと前にこんなことを呟いたのだけど、だったら自分が動いたらいいじゃんということでペパボの経営合宿で提案をして、この下半期から広告について色々と動いていくことになった。アドテクは数ヶ月単位で変わっていくし、新しい手法もどんどん出てくる。だからこそしっかりインプットを増やして、それをすかさず試す。そうやってペパボ全体に広告というナレッジが貯めていけるようにやっていかねばという決意を表明しておく。

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