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ⅲ『おジャ魔女どれみ』全シリーズ一挙放送見て号泣し通した話。 どれみちゃん編 II

『おジャ魔女どれみドッカ~ン! 第51話 ありがとう!また会う日まで』

おジャ魔女どれみTVシリーズ最終話

リアルタイムで妹と母親と見ていた頃、涙をこらえながら見ていたことを思い出した。

簡単にあらすじ
「ドッカ~ン!」シリーズで6年生となったどれみたちは、とうとう卒業式を迎えることとなった。卒業式当日、寂しさをこらえて笑顔で玄関を後にするが、耐えきれずMAHO堂ヘ向かい立てこもってしまう。

そこにクラスのみんなが駆けつけて、なんとか一緒に卒業式に出てもらおうとどれみちゃんに一生懸命声をかける。


小学生だったわたしは戸惑っていた。
いつもみんなのことを励まして、勇気づけて、助けてくれるどれみちゃんが、

「勉強もできないし、いいとこなんて何もない」

と自分を卑下して泣きじゃくりながら、小さく縮こまり体操座りなんかしていたから。

わたしの知っているどれみちゃんじゃない、最後にこんな駄々をこねるなんて!と。衝撃だった。

人を励ましたり称賛ばかりしていると、ふと自分のちっぽけさに悲しくなることがある。人の才能をすごいと尊敬する気持ちは嘘偽りないけれど、それが近しい存在であればあるほど、その感情に嫉妬がないかと聞かれたら断言することは難しい。

だから、自分とレベルが丈はずれで手の届かない人を「あこがれ」としてみる方がよっぽど健全だ。


どれみちゃんは友だちの幸せをいっぱい願っていたから、自分のほんとうの気持ちと向き合ってあげる時間がなかったんだね。と今なら少しは理解してあげられるだろうか。


大好きな友だちの幸せを願っていた心も本当。
でも、奥底ではやっぱりみんなにそばにいてほしかったというのも事実なんだ。

それを彼女は「嘘をついていた」と表現するが、大人になったわたしでも相反する板挟み状態の感情をうまく表すことはできないだろう。

わたしもどれみちゃんと同じ小学6年生の頃、同じようなことを思っていた。とてもいいクラスに恵まれて、楽しい一年を過ごしたおわりに、否応なくやってくる変化に対して、「時間止まってよ」と強く願っていた。



MAHO堂の外では、なんとか出てきてもらおうと、みんなが思い思いに言葉をかける。
ぐっときたのは玉木さんね。

無印シリーズから強烈なキャラクター性を押し出しつつ、目立ちたがりな性格から初めはみんなからめんどくさがられていた彼女だが、シリーズを追うごとに落ち着き、ハナちゃんの相談に乗ったりあいこちゃんのお父さんの危機を救ってくれたこともある、れいかちゃん。

「春風さんには、誰にでも愛されるオーラがありますわ」

あの負けず嫌いのれいかちゃんが、この上なく優しい表情で言うんですよ。
ボロ泣き。


みんなの言葉に心動かされるが、でもやっぱり二の足を踏んでいる。
その気持ちにとどめを刺したのは、ハナちゃんだった。

これ以上、立てこもることを続けるならみんなの前で自分の正体をバラすと、片手振り上げ呪文を唱え始める。

どれみちゃんは目に涙をためながら、なりふり構わず扉の前に積み上げていた家具をおろし、ひもでぐるぐる巻きにした取っ手をもどかしげに解こうとする。しかし、いっこうに解ける兆しが見えずついには力まかせに取り外そうと激しくひっぱる。

ガタッとなんとかふたつの取っ手が外れ、大きな扉が開かれた。

ひかり。
まぶしくひらけたその先に、両手いっぱいに広げたハナちゃんの姿。

抱きしめる。
無音。


「どれみ、つかまえた」
「ばか」


この一連の流れ‼‼‼‼‼

も~~~~~~~う、滂沱の涙よ。
強く抱きしめ合う二人を囲うように、はづきちゃんやあいこちゃん、クラスメイトたちが集まる。

どれみちゃんを含めた全員が無事、卒業。
マジョリカやララ、それぞれの妖精とハナちゃんに「さよなら」は言わず別れ、それぞれの帰路へとつく。

この最終話では特に「ありがとう」が頻発する。


全シリーズ通して、すべてのキャラクターたちが交わす「ありがとう」という言葉から、この作品が届けたいことばを間接的に受け取っているような気がした。

どれみちゃんがマジョリカたちにむける「ありがとう」

ハナちゃんに向ける「ありがとう」

ハナちゃんがどれみちゃんにむける「ありがとう」

行き交う「ありがとう」はいつしかわたしの心にも刻まれて、最近いつ「ありがとう」と口にしたかなと思い返す。

ラスト、画面いっぱいの「ありがとう」という文字はどれみちゃんの声とともに投げかけられ、「最後まで見てくれてありがとう」と言われている気持ちになった。

いやいやいやいや、こちらこそありがとうだよ‼‼‼
と見終わる頃には、ティッシュ片手に鼻をすすっていた。


最高の伏線回収までしてくれて、もう言うことなし。
はなまるあげます(泣)

中学生になったどれみちゃんが、夕暮れの海辺でラブレター片手に

「この手紙、受け取ってください」

と目をキラキラさせながら渡してくれたのだもの。

この一週間で見てきたどれみちゃんの4年間が走馬灯のように駆け巡って、第1話で勇気が出せず告白できなかったシーンが想起された。


よかったね‼‼魔法を使わなくてもちゃんと自分の気持ちを伝えられるようになったんだね‼‼えらい~~~~~‼‼


の気持ちでいっぱいだったさ。

そして一挙放送してくれて本当にありがとう。
子供の頃の思い出、ただの「なつかしい」アニメで終わらせずにしてくれてありがとう。

号泣したその日はぐっすりと寝られた、ような気がした。

高等遊民になりたい………。