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日本語は難しい!規制期間・曜日を読み解けるか? (滋賀・途中越)

補助標識の中にはとても複雑な規制の条件を記載しているものがある。中には何行にも渡って条件が記述されているものがあり、所見では判断に迷う場合も多い。この記事では滋賀県と京都府の境、途中越の近くにある規制標識について見てみよう。


4行に渡る対象期間・曜日の記述

この交差点で側道に入る際にある車両通行止め規制は以下の写真のようになっている。「大型等通行止め」のシンボルに補助標識が付いている。

場所: 滋賀県大津市伊香立途中町 国道367号線途中越近くの三叉路付近

補助標識の内容は以下の通り。二枚目の補助標識の内容は4行に渡って記載されている。

路線バス・マイクロを除く
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日曜・休日を除く
7月1日から
8月31日までの
土曜・日曜・休日

対象期間・曜日の一行目はどこに係る?

補助標識が分かれている場合は、お互いの内容は干渉しないで別々に本標識に効いてくる。一枚目の補助標識の内容は対象車種の限定であり明確であるため、二枚目の内容を考えてみる。

二枚目については、一行目の

日曜・休日を除く

の行の扱いをまず考える必要がある。一行目の二行目以降との関係性には以下の可能性があるだろう。

❶は、一行目が二行目以降と独立した文章になっているという解釈だ。条件が独立している場合、通常は黒い横線入るか標識が別になる。この場合の解釈を図示すると以下の通りになる。

1~6月と9~12月は日曜、休日を除いた日 (土曜日含む) といった多くの日で禁止が適用される。
7~8月は土日休日のみ禁止で他は禁止されない、という逆転現象になる。

❷は

7月1日から8月31日までの土曜・日曜・休日

のみが規制対象日となり、他は禁止されない、というだいぶ対象が減る解釈となる。ただし、7月1日が日曜・休日の場合は7月1日は規制対象とならない、というナゾルールとなる。つまり、7月1日は土曜日である場合だけ規制対象日となる。この場合の解釈を図示すると以下の通りになる。

1~6月と9~12月は禁止されない。7~8月は土日休日のみ禁止で、7月1日は土曜日の場合だけ禁止される。

2023年現在の日本に於いては7月1日は休日ではないので、なぜわざわざ「休日」を入れるのかもナゾとなる。

❸の場合はさらにナゾとなり、「日曜・休日を除く~」が「7月1日から8月31日まで」という期間にかかってしまうと、この期間で土曜・日曜・休日を規制しようとしているため矛盾となってしまう。よって、❸の解釈はないだろう。

…ということをこの標識を見て一瞬のうちに考えなければならないのだ。

道路の反対側の規制

この道の規制区間の反対側の入り口の標識を見てみよう。そうすると、冒頭の「日曜・休日を除く」の部分がそもそもない。途中越側の入口の標識も、2013年頃まで遡ると、昔は「日曜・休日を除く」の部分が同じくついていなかったようだ。そうすると、❶と❷の解釈を比べてみると、一行目が加わることで規制対象日が大きく変わってしまう❶の解釈には無理があり、❷が妥当であるということになる。

場所: 滋賀県大津市伊香立途中町

交通規制情報オープンデータによる解釈

検証のため、一般に公開されている交通規制情報オープンデータでこの場所の規制情報を参照してみた。

規制別名称=車両通行止め
規制決定年月日=1988年2月18日
対象期間_開始=701 (7月1日)
対象期間_終了=831 (8月31日)
規制曜日=2 (土曜・日曜・休日)
対象車両=A100000000, B1, C100000000 (特定中型、大型、大特)
除外車両=B100000, B1000000 (マイクロ、路線バス)

このデータからの解釈は、「7月1日から8月31日までの土曜・日曜・休日」が規制対象日であるということになる。7月1日に特化した内容はデータには含まれていなかった。このような例外的な規制をデータ化することには無理があるのだろう。しかし、なぜ7月1日だけ特別扱いするような複雑な規制にしないといけないのかは理解に苦しむ。少なくとも利用者の立場に立った規制にはなっていないだろう。

ちなみに、2023年4月現在の交通規制情報オープンデータによると、滋賀県内で車両通行止め規制のある281区間(又は区域)のうち、規制対象期間を設定しているのは5か所、加えて曜日指定も行っているのは3か所に過ぎない。それだけレアケースということだ。

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