(316)駐車禁止の対象車両は地域色豊か!47都道府県について特徴を調べてみた
道路標識の中で車両のドライバーのみならず、その他の人々にとっても最も馴染みがあるもののひとつが「駐車禁止」であろう。その意味は、文字通り車両を規制場所に駐車させてはならないということであり、対象車両の種類、対象時間帯等が設定されている場合がある。また、日本のデザインは国際標準を取り入れているため海外でも同じ標識を目にする。
この駐車禁止の規制であるが、日本では実は都道府県によって対象車両にかなりバリエーションがあるのをご存知だろうか。この記事では全国のバリエーションについて見ていこう。
駐車禁止場所
駐車禁止の規制は、規制標識がある場所に加えてルールが存在する。道路交通法第45条(駐車を禁止する場所)に規定があるのでおさらいしておこう。
この他、道路交通法の以下の条文により、高速自動車国道での駐車、および一方通行路での右側駐車は禁止されている。
第75条の8(第四章の二 高速自動車国道等における自動車の交通方法等の特例、停車及び駐車の禁止)
第47条 (停車又は駐車の方法)
補助標識による対象車両の制限
対象車両の制限は補助標識にて行われる。駐車禁止の本標識に付く補助標識であるが、実は都道府県によって異なる場合がある。補助標識の内容は、各都道府県公安委員会が決定している。場合によっては市区町村単位でも傾向が異なることがある。以下は、Google ストリートビューで都道府県庁所在地や主要都市にある駐車禁止の規制標識を確認して大まかな傾向を調べたものである。
なぜ都道府県によって対象車両が違うのか?
主な違いは、自転車、二輪車、軽車両を制限するかということである。駐車禁止は主に市街地の道路に多く設置されている。特に繁華街では自転車や二輪車の規制を自治体 (公安委員会ではない)が別途行っていたりするため、本来はわざわざ自転車、二輪車、軽車両の制限を外す必要はない。
「自動車 (2輪を除く)」が一部の地域のみに残っている場合、いずれも「区間内」の両方向矢印が付いた古い標識であることが多い。この場合、標識は1992年より前に設置された古いもので、次回標識更新時に制限がないものに更新される可能性が高いだろう。
駐車禁止の規制内容は公安委員会と地元地区の住民との調整の結果決まる。たとえば最近だとタクシー待ちや集荷のための停車を特定の場所で許可するなどの規制緩和も行っている。地区全体にかかる駐車規制の対象車両の違いは昔からの経緯によるものかもしれないが、一方利用者の立場から言うと通常と違うものは混乱のもとになるので、経緯がわかりにくい必要のない細かい違いは統一してほしいものだ。
状況を日本地図にプロットしてみたので掲示する。
二輪車の駐車規制の歴史
二輪車は、四輪車に比べると駐車場の整備が歴史的に遅れており、四輪車は路外駐車場が整備されていない時代には「時間制限駐車区間」の駐車規制による路上駐車が可能であったが、二輪車専用の区画はかなり少なかった。
2006年に駐車場法が改正されるまでは、二輪車が法律の対象になっていなかったことも、日本で二輪車用の駐車場整備が遅れたことに関係する。しかし、二輪車の駐車場整備が法律に組み込まれ、整備促進が各自治体に義務付けられたあとも、二輪車の駐車場整備はそれほど進んでいないのが現状である。
一方、2006年には道路交通法も改正され、二輪車を含む駐車違反取締が強化された。2006年を境に、二輪車の駐車違反取締件数は約4倍となった。2018年、2019年にも、警察庁が自動二輪車の駐車規制見直しを通達し、二輪車の駐車場整備促進や二輪車に配慮した駐車規制の見直しを促したが、今の所大きな効果は出ていないようだ。
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都道府県によって規制の対象車両に違いがあるものとしては、他に一方通行/進入禁止がある。
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