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店長が茶髪のアルバイトスタッフに対応する際の3つの留意点

 「髪を黒く染めるんだったら辞めます」
 このように言って辞める茶髪スタッフは少数で、ほとんどの場合は何も言わずに職場に来なくなりました。

 私は21年間ガソリンスタンド運営会社に勤務し、そのうち13年間は現場で店長を担っていました。現場には茶髪のスタッフもいたわけですが、きっちり仕事をしてくれればいいと思っていましたので、当時店長だった私は髪の色に目くじらを立てることはありませんでした。

 そんなある日、本社の経営陣が茶髪スタッフを徹底的に取り締まる方針を打ち出し、店長は現場から茶髪スタッフを一掃するように指示されました。そこで私は茶髪スタッフと個別面談を行い、黒髪にしてもらえるように話しましたが、多くのスタッフは冒頭で示したように退職という道を選びました。結果として、深刻な人員不足となった私の店は業績を落とすことになったのです。

 これに対して、本社は業績を落とした私の評価を下げました。なんとも納得のいかなかった私はその後、今回ご紹介する取組みを独自に行い、人材を定着させ、業績を回復させました。

 今回の記事では、このような茶髪スタッフの扱いに悩む店長向けに、私が店長としてどのような対応をとったのかを見ていきます。

1.店長が茶髪のアルバイトスタッフに対応する際の3つの留意点

店長が茶髪のアルバイトスタッフに対応する際の留意点(1)容認できる色の範囲を明らかにする

 一口に茶髪と言っても、金色に近い茶髪もあれば、黒色に近い茶髪もあります。それらをすべて禁止にするというのは、若いアルバイトスタッフにとっては抵抗があるはずです。

 古いデータではありますが、デジタルマーケティングを専門に事業展開をする株式会社タイムカレントが2012年に、首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)在住、20代~40代のビジネスマン・ビジネスウーマンを対象とした調査によると「男性にモテると思う髪の色」を「暗めの茶色」と回答した方が52.2%と最多を占めました。

 このように、多くの若い方は髪色を黒以外にすることに意義を感じているわけで、これを頭ごなしに否定するような職場に、若手スタッフは定着しないでしょう。かといって真っキンキンの髪色で接客されて、びっくりする顧客もいるかもしれません。

 写真は「レベルスケール」と呼ばれるもので、美容室などで髪染めをしていただく場合に、顧客と美容師の色の認識を共有するために使われ、一般の方が購入することも可能です。

 これを用いて、例えば「10番まではOKだがそれより明るい色はNG」と自店のルールを決めれば、顧客に不快感を与えない範囲でスタッフは髪の色を染めることができます。このことは白髪に悩む店長など管理職や年配スタッフが、白髪をお洒落にぼかすことも可能になることを意味します。

店長が茶髪のアルバイトスタッフに対応する際の留意点(2)茶髪の理由に耳を傾ける

 茶髪を巡り校則のあり方について大きな話題を呼んだのは、大阪府立懐風館(かいふうかん)高校の元女子生徒が府に損害賠償を求めた訴訟です。

 同校には「パーマ・染色・脱色・エクステは禁止する」との校則があり、教諭らは生徒に対し、頭髪を黒く染めるように繰り返し指導をしました。ですが、「黒染めが不十分だ」として授業への出席や修学旅行への参加を認めないこともあり、それらによって生徒は不登校になってしまいました。

 元女子生徒は地毛が茶色であるにもかかわらず、このような指導を受けたことに納得できず、訴訟に踏み切ったわけですが、このような生まれつきの体質の他にも病気や趣味のサーフィンで髪が茶色になってしまう場合もあります。

 そのような場合に、一律的に黒染めを強要してしまうとこのような訴訟に発展してしまうリスクもあります。まずは、店長が茶髪スタッフに、なぜその髪色なのかをしっかりヒアリングし、個別の事情に応じた対応を行うことが重要と言えるのではないでしょうか。

店長が茶髪のアルバイトスタッフに対応する際の留意点(3)個人として茶髪を認める

 私は、冒頭の深刻な人不足に陥った経験から、茶髪に関しては個人と店長の人格を切り分けることにしました。つまり、私個人は茶髪を認めますが、店長としては認めないことにしたということです。

 その後、あるアルバイトスタッフがもともとの黒髪を茶髪にして出社してきたことがあります。以前の私であれば頭ごなしに「黒く染めてこい」と言い放ったかもしれません。ですが、私は人格を切り分けたことで以下のような発言をしました。

 「君が今回チョイスした髪の色、似合っていると思う。だが、当社のルール上、その色で働くことが困難なのは君も知っているはずだ。かといってせっかく染めてきたその髪を黒色に戻せと言うのも忍びない。だから、その髪の色で活躍できる新たなバイト先を探すことをお勧めしたい。」

 翌日、彼は髪の毛を黒く染め直してきました。聞くとアルバイトする時だけは黒色にするということでしたが、茶髪を頭ごなしに否定せず、個人として認めてくれたので、辞めないことにしたと言っていました。

 今回は、店長が茶髪のアルバイトスタッフに対応する際の留意点として、(1)容認できる色の範囲を明らかにする、(2)茶髪の理由に耳を傾ける、(3)個人として茶髪を認める、を述べました。当記事により、お洒落も仕事も楽しめる人が増えることを祈念しています。

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