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持続化補助金【賃金引上げ枠】の採択事例から学ぶ計画書の書き方⑤

 計画を立てるということは、先々を見通すこととも言えます。行き当たりばったりで事業を行うよりも、数年後を見通して事業を行うことは、目の前の事象に振り回されずに先回りをした手を打つことが可能になりますから、業績が拡大する可能性は高まると言えるでしょう。

 事実、中小企業庁がまとめた2016年小規模企業白書によると、売上高が増加した小規模事業者のうち、計画の作成経験がない事業者が占める割合よりも、それがある事業者の割合の方が多くなっています。

 今回見ていく<経営計画>「4.経営方針・目標と今後のプラン」は、まさしく今後の計画を記載する欄ですが、当記事では、当補助金の賃金引上げ枠に採択された専門サービスを展開する企業が、当欄をどのように記載して採択を手にしたのかをご紹介していきます。

1. 持続化補助金【賃金引上げ枠】の採択事例から学ぶ計画書の書き方[経営方針・目標と今後のプラン]編

持続化補助金【賃金引上げ枠】の採択事例から学ぶ計画書の書き方[経営方針・目標と今後のプラン]のポイント(1)経営理念を記載する

 弊社では、経営理念は「自社は何のために存在しているのか」という問いに対する答えであり、自社の存在意義を示すものと考えています。何のために存在しているかわからないということは、日々の事業活動に意味を見出せないことになります。よって、経営理念があるということは、事業の力強さを感じさせるものです。

 この経営理念は、自社の事業運営におけるあらゆる意思決定の基準になるものであり、当然、経営方針も経営理念に則する必要があります。そこで、同社は当欄に経営理念と経営方針を述べ、経営方針は経営理念に則したものであることが分かるようにしていましたが、この点も同社が採択を引き寄せたポイントと考えられます。

 なお、同社が述べた経営方針は「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」で述べた、ある強みを活用することを示しており「強みの活用」という中小企業における戦略の鉄則を守っていたことも付け加えておきます。

持続化補助金【賃金引上げ枠】の採択事例から学ぶ計画書の書き方[経営方針・目標と今後のプラン]のポイント(2)目標を数値で示す

 同社は、直近期の売上高と税引後利益を示すとともに、目標値として3年後の売上高と税引後利益も示しました。これは、とても有効な考え方であることは以下の理由によります。

  • 達成できたか否かが測定できるため

  • 測定するべき時期が分かるため

  • 目標の大きさが分かるため

  • 伸び率が分かるため

 このように、現状と目標を数値で述べ、達成するべき時期も示すことは、目標の考え方として有効と解釈でき、同社が採択を引き寄せたポイントと考えられます。

持続化補助金【賃金引上げ枠】の採択事例から学ぶ計画書の書き方[経営方針・目標と今後のプラン]のポイント(3)数値計画を盛り込む

 同社は、当欄に今後のプランとして、いつ何を実施するのかという行動計画を盛り込んでいましたが、さらに直近期、1年後、2年後、3年後の予想損益計算書を数値計画として盛り込んでいました。

 数値で計画を示すことは、いつどの程度の売上・費用・利益を見込んでいるのかが分かり、具体性が高まることから、計画自体の説得力向上が期待でき、この点も同社が採択を引き寄せたポイントと考えられます。

 今回の記事では、持続化補助金【賃金引上げ枠】に採択された事業者の計画書を参考に、採択を引き寄せる<経営計画>「4.経営方針・目標と今後のプラン」のポイントとして(1)経営理念を記載する、(2)目標を数値で示す、(3)数値計画を盛り込む、を挙げました。次回は<補助事業計画>「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」を見ていきます。

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