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空撮:姉川下流と高時川の濁水(2024年2月)

姉川の河口をドローンで空撮してみたら、驚くような光景が広がっていた。川がコーヒー牛乳のように濁っていて、水に絵の具を溶いた時のように琵琶湖の中に流れ込んでいたからだ。
この日は確かに曇り空で時々霧雨も混じるようなぐずついた天候ではあったけど、これほどの濁水が出るような大雨ではなかったし、不思議だった。
本来は琵琶湖に突き出たカスプ状三角州の形状を空撮しに来たのに、一気に別のところに関心を持って行かれてしまった。
帰ってから調べてみると、この濁水は姉川の支流の高時川から来ていて、2022年8月の水害以来こうした状態が続いているとのこと。既に鮎の産卵にも影響が出て問題になっているようだ。これは酷い状態だ。

河口の南側(写真右手)は濁水に含まれる粒子が拡散した状態だろうか、琵琶湖の水面が緑色になっている。

姉川の下流や高時川がこんな状態になっているというのは、今回空撮して初めて知ったのだが、そう言えば去年(2023年)5月に飛行機から見た時はどうだっただろう?これだけ派手に濁っていたらその時に気付かなかったのかな…と思って見返してみたが、この時は姉川河口の濁水は目立っていない。
むしろ、田川の河口など、他のところから盛んに濁水が琵琶湖に流れ込んでいる。

写真は琵琶湖面の様子がよくわかるように色調を加工してある

田川の河口などから見られる琵琶湖への濁水の流入は、撮影時期が5月ということから、水田の代掻き期の排水によるものだろう。
姉川や高時川は山地から流れ下って土砂を堆積させるために平野では天井川となって、水田よりも高い位置を流れている。そのため姉川の左岸の水田では姉川から取水して、右岸では高時川から取水(余呉川および余呉湖からの導水や、琵琶湖から一度余呉湖に揚水した水も含まれる)して灌漑用としているくらいで、水田からの排水は入り込まない。
一方で、田川などの平野部内を流れている川は水田よりも低く、排水が入り込んでそのまま琵琶湖まで流れ込んでいるのだ。
水田排水の濁水は、それはそれで問題となっていて、この地域の水田地帯を回っているといたる所で「濁水禁止」の呼びかけがなされているのを見ることができる。
ともあれ、姉川や高時川が天井川として高い位置を流れていて、そこから農業用水を得て、平野内の小河川に排水するという木之本平野での水循環が一目でわかる空撮写真にはなっている。

2023年5月時点では高時川からの濁水があまり見られなかったことだが、これには高時川の水量の不安定さがかかわっているかもしれない。
下の写真は8月に撮影した高時川の様子だが、完全に水が涸れていて、「瀬切れ」の状態になっている。高時川は天井川のため水が地下に潜伏しやすく、こうした瀬切れ状態まで起こしてしまうような川だ。
ちょうど代搔き期で農業用水の取水量が増えていて、高時川の水量が減っていたのかもしれない。

高時川の濁りの原因は、最上流にある廃スキー場の跡地が土砂崩れを起こしてその土砂が流れ込んでいるのが一因ということだが、それにしても2022年8月から続いているというのは異常だ。実際に漁業被害も出ているということであれば、早急に対応が必要だろう。
ドローンを一回飛ばせばこれだけショッキングな写真が撮れるのに、地元紙はあまり問題視していないのかな。

滋賀県長浜市

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