〖詩〗結婚報告
母の骨ばった手から
私のカサついた手へ
わたった南瓜
「今朝、とれたのよ」
もうすっかり秋なのに
薄緑の南瓜
不安な南瓜
「雪化粧っていってね
季節遅れで色白の
そういう種類なのよ」
ヘタは立派だな
小さくもそびえている
初夏には
青く脈打っていた
柔らかな茎が
まるで骨のように
美しく固まって
「またお正月、ね
二人で、ね」
帰りの電車で
隣の肩に
頭を預けている
家の前
いつまでも手を振っていた母に
南瓜を返しに
駆けたい気持ちで
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