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キレイなモノを見ると物悲しくなる理由を考えてみた。

共感してくれる人が何割くらいいるのかわからないけど、綺麗な風景だったり美術品だったりモデルさんだったりを見てると、なんか感動とはまた違う物悲しい気分になることがよくある。

私の場合は高校生の頃に地理の教科書に載っていた、透き通るようなエメラルドグリーンの海岸の写真を見て、そういう気持ちに浸っていたことが何度かあったりした。

綺麗なモデルさんとか見た時には、自分には手の届かないものだから、こういった感情が生まれるのかと思った。

けど、風景だったり美術品だったりを見た時の同一の感情を説明するにはちょっと違う気がしてきた。

だって綺麗な風景なんて、その気になればいつでも見に行けるし、見に行ったこともある。

綺麗なイラストもワンクリックで手元に保存できる。

だったら、なんで物悲しくなるんだろうって考えてたことの結論がちょっと前に出た。

全部、死を連想するからだって。

眼に映る美しい景色は、時間の経過だったり場所の移動だったりで永遠に見続けられるものではない。

でも凄く綺麗で失いたくなくて、永遠として保存していたいから絵画を代表する美術品で存在を残そうとした。

キレイなモノには、失いたくないっていう感情がつきまとうけど、永遠に残せるなんて無理だって理屈でも本能でも私たちは理解してる。

キレイなモノを見てるとモノ悲しくなるのは、そうした喪失の感情が自然と呼び起こされて、最終的に自分の喪失……つまり死を無意識化で感じてしまうから。

美術の教科書に、西洋の彫刻だったり像が載ってると思う。

造形という意味では不完全なものばかり。

だって腕がなかったり足がなかったり、天使様の像の左の翼が折れていたりと。

けど、それらが美しいとされてるのは不完全で失われたという喪失感があって、美術が生まれた本質、そして死を連想させるからだ。

そうした物悲しさは、どこか呆然としたもので、ぽっかりと胸に穴が開いたようだって表現が一番似合うと思う。

キレイなモノは悲しくて、人間の感情を動かす一番の原動力であり、感情を止めてしまう一番の癌だ。

だからキレイを求めるのは、上手くいくとか失敗するとか関係なしにほどほどが良いよねという話……おわり。







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