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現実世界で「強くてニューゲーム」を繰り返す強者達

私が「強くてニューゲーム」という言葉を知ったのは小学生の時。
当時流行りに流行ったゲーム「クロノ・トリガー」からでした。

当時家も近く仲の良かった同級生がとにかくいろんなゲームをやっていてクリアしていて、学校ではいつもそんな話を共有(自慢?)されたりしていまきた。

そんな彼の話題の中の1つが、「強くてニューゲーム」の話だったのです。

「え、知らねぇの!!?最初からにじを装備してたりシャイニングが使えたりすんだよ!すげえだろ!」
と言ってくるのです。

私の家にあったクロノ・トリガーは(というか他のゲーム全般ですが)とにかくセーブデータが消えやすかったのです。

なので私はロボが仲間になって魔法が使えるようになったあたり以降のストーリーをまったく知りませんでした。

なんでか毎回そこでセーブデータ消えるし…
(脱線しますがDQ5は100回くらいやり直して1回だけ青年期に突入しました。その後すぐ消えました。)

後に知りましたが、兄がイタズラで勝手に私のセーブデータを消したり上書きしていたこともあったようです。いい思い出ですね。

冒頭終わりです。


「今の仕事が落ち着いたら何したいんですか?」

ある日の商談時に私は焦っていました。
とてもたくさん喋られる社長と対峙し、自社の商品を売り込んでいた時です。
最初に金額を聞かれキャンペーン中であることもお伝えでき、どうやら当社の商品を利用していただけそうなことは確認できました。

なのになぜ焦っていたか。
このままでは今回限りのスポット契約で終了してしまうからです。
当時私が売り込んでいた商品は現在流行っているようなサブスクのものではなく、リピートしていただくことで売上数字を構築するものです。

今回の取引はうまくいきそうである。が、このままでは今回限りの利用でこの方とのお取引が終了してしまう。
なんせ会話の中でちょくちょく私の商品に対するディスりが入る。このままではいけないと営業マンの私は焦っていました。

そんな私の心境を知ってか知らずかわかりませんが、目の前の方は「逆に聞きたいことある?」と機会を投げかけてくれたのです。
焦りながらも機会に恵まれた私の質問が見出しのものです。営業センスないなんて言わないで。

「そうだなぁ。誰も俺を知らない場所で…」

完全にやらかした質問が飛び交いましたが社長は平然と回答してくれました。

「そうだなぁ。誰も俺を知らない場所で…」
そうそう、そういうの聞きたかった!色々大変だったからリタイアしてゆっくりするんだろうな。海辺に家でも建てるのかな。

そう妄想しながら聞いていた私への返答は、妄想とはかけ離れていました。

「…今のブランド捨ててもう一回初めから事業やろうかな。」

…えっ?
完全に想定外の答えです。
びっくりしてえっ?しか言えません。向こうもそういうしかありません。なんかちょっと有名なお餅のコピペみたいになっちゃいました。

「まだやるんですか?失礼ですがもう十分、稼がれたのではないですか?満たされたのではないですか?どうせやるにしても、最初からなんて…今のリソースを活用した方がよっぽど効率はいいじゃないですか。」

さっきまでモゴモゴしていた私から自分でも驚くほどに矢継ぎ早にはっきりと質問が飛びます。

完全に営業マンの私は消え去り、質問を投げかけていたのは素の私でした。

社長は教えてくれました。

「もちろん、ある程度任せられるようになったら俺も色々やってみたんだよ。一日中寝てみたり、サーフィンに出かけてみたり、やってみたかったことを思う存分楽しんでみた。」

「でもね、そんなのも飽きるんだよ。ずっとやりたいことをやるっていうのは、俺の中ではある程度の制限があってこそ楽しいものだったんだ。」

「それで今までやってきて楽しくてまたやりたいってのがビジネスなんだよね。それも今のブランドの延長では使えるものが多すぎて面白くないんだ。」

「俺はまだチャレンジしたいんだよ。燃えたいんだ」

そう話す社長の眼はその日の中で1番ギラつき輝き、私は思わず圧倒されました。

おかげで運良くFIRE論争には巻き込まれずに済んだ

巷ではFIREという言葉が大流行し、稼ぎきって早く辞めたい、でも辞めたら速攻でボケてしまう・というか出来ること増えてドンドン楽しくなるなどと定期的に論争が繰り広げられます。

どっちが正しいかはわかりませんし、乱暴な結論づければ合う合わないは人それぞれ。これに尽きると思います。

ただ私は、まだ今ほどFIREという言葉が認知されていなかった頃に戦闘民族超サイヤ人みたいなマッチョ思想をインストールされていたおかげでそもそもこの論争から降りることに成功していました。
わたしが目指すのは後者でした。

「どうせ目指すならこっち」と思えた私の中にも、かけらほどの戦闘民族の血が流れている…かはわかりませんが、未踏の地を目指して今日も明日も生き抜いていこうと思います。


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