私へ、嫌になったらここに来い

母は言う。「あんたの演奏ってそつなく吹いてて上手なんやけど、色がないっていうか、特徴がないっていうか。個性がなくて何したいのか分からない」
「あんたってできるはずなのに自分のことすごく下に見て、低く評価するよね」

図星である。よく私のこと見てるなあと感心したが、自分のやりたいことが自分自身よく分かっていないし、上には上がいて自分の実力や経歴では鼻で笑われて終わりかもしれないという恐怖があるから挑戦できないこともたくさんある。
楽譜を見ても「ここはこんな風に歌いたい」「ここはこういう情景で、こういう気持ちで」とかいうアイディアが無いし、昔は少しでも自分より上手い人を見ては絶対超えてやると思って練習したのに、大人になるにつれ上手い人を見ると「私のこれまでは屑のようなもん」と思うようになった。

よくよく考えれば、昔から控えめで影みたいなのに「目立ちたい」とは一丁前に思う人間だった。クラスでも目立つわけではなくおとなしいグループにいたが、「カーストの最下層は嫌だ」なんて思ったりして1人で賑やかなグループに混ざりに行ったりする、よく分からない変なやつだった。(結局何か違うくて疲れるやつ)
部活ではいろいろやらかして先輩に怒られた。いや、同期3人の仲を引っ掻き回して泥沼化させたのは自分なので怒られても仕方ないのだが、「いい子でいたい、そうじゃないと価値がない」と思っていた私は怒られるたび「あんたは悪い子だ」と言われているような気分だった。
ある日マーチングのステップで飛んだり跳ねたりするのを「こんなのできるわけないじゃん」と発言した、と言った覚えのないことでマーチング係の先輩方に呼び出されて怒られた。怒られながら「なんで私だけ怒られるの」が「私が何も言わなければ、私さえ黙っていればみんな平和やし私は怒られないんだ」という思考にプツッと切り替わったのを覚えている。その時はじめて、私は自分の中の自分を殺したのだと思う。それが大人になる事だと思って。

高校では入学して2ヶ月ちょっとでいじめにあった。女子校のいじめは結構エグくて、中学でも勝手に私の悪口を広めらて避けられたり、質問しても「他の子に聞いて」とたらい回しにされたことがあったが、高校では異性の目が無い分もっとレベルアップして精神にくる感じだった。
結局放課後私と、私をいじめた人たち一人一人と先生で話し合って謝罪の言葉をもらって終わったのだが、あんたの振る舞いが嫌だった発言が嫌だったもう二度と口を聞きたくない…
「普通に過ごしていただけなのに、何をしても私が悪いと責められるし不利で惨めな思いをさせられる」
私がなにかアクションを起こせば悪い結果が返ってくる。ぜーんぶ私が悪いのか。もう一度自分を殺して、次の日からすごーーーく丁寧に振舞った。人のことを信用するとかもう無理である。その時以来、常に誰かと行動していた私はどこに行くのも、何をするのも一人の一匹狼になった。このあたりから「今までなんなく分かっていたことが分からなくなる」ということも起き始めた。


そして、気づけば、なにもかもを押し込める人間になっていた。
怒られるから、変な目で見られるからとやめたことはどれだけあっただろうか。どれだけ分かりもしない正しさを追い求めただろうか。人の嫌な面に突っかかって突っかかられて傷ついて。そういえば傷ついた時に「傷ついたからやめてほしい」とか、謝罪の言葉もらうとか、ちゃんと嫌だという反応を見せたことがあっただろうか。そもそもちゃんと自分の人生の主人公として歩めているのだろうか。


もう、やめたら?

人に自分の人生歩ませるのもさ、人の人生に浮気しようとするのもさ。
自分のいうことを聞かないと怒るやつ。
自分の方がすごい!それに比べてあんたってかわいそう~ってマウント取ってくるやつ。
あなたはこうだからって決めつけてくるやつ。

ほっとけ。いうこと聞く聞かないを選ぶ権利は私にある。そいつが怒るかどうかなんて私の問題じゃない。

てきとーに褒めとけ。最後に「こうでもしないと気持ちよくなれないなんてかわいそう~!」って笑っとけ。しつこいなら「オナニーは一人でどうぞ!」って言っとけ。

知らんがな。自分でもまだまだ自分の知らない一面があるのになんでお前が知ってるねん訳が分からん。


人の成功を羨んだり、実技の点数高い人見て「この人らには勝てへん」と思ったり、人が演奏会開いたりオケトラとかの仕事してるの聞いて「私は見向きもされてないしなんならどんどん消えて行ってる…?」と思ったりしてた過去の自分へ、

うまくいってる人を羨んだり妬んだりしても足すら引っ張れないし時間の無駄なので、自分が人生をどう楽しめるかを考えなさい。受け身は自分がしんどいだけや。

消えてません。ただ存在を知られてないだけです。売名行為頑張れ。自分のこと知ってもらうために話せ。控えめになるな壁を作るなインパクトを残せ。話しかけて迷惑がられてもそれはタイミングとか向こう側の勝手な決めつけであって私の問題ではないです。

正しいかどうかじゃない。楽しいか、悲しいか、腹が立つか、感動するのか、虚しいか、切ないか。どんな時に思ったことが近いか。技術や正しさはそのあとついてくる。

うまくできなくていい、うまくやろうとしなくていい。優等生にならなくていい。もともと優等生でうまくいくタイプじゃないんやから。

小さくていい、毎日1分、10秒でもいい。発信しろ。自分の人生に色をつけろ。やる前から無い自信を無くすな。自分の人生で目立っていいのは自分だけだ。殺していいわけない、死なせていいわけない。過去を捨てろとは言わない、でも執着するな。自分で自分に足枷つけることになる。


大丈夫、朝一人で起きられるしトイレもいけるしお箸も持てるし立てるし椅子に座れるし筋トレだってできるし勉強も少し頑張るだけで思っていた以上の結果が返ってきたことだってあるんだ。ホルン吹ける人間だって限られてるんだぞ?大丈夫、やった分できる人間だから。楽しくない時はすこーしだけ頑張って休めばいい。

これから先は最高でしかないぞ。そう決まってるから、がんばれ私!


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