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浦和レッズvsFC東京~これが完成度の差だ~[Jリーグ第21節]

3連戦の締めくくりはアウェイでの浦和レッズ戦。

浦和はここ14試合でわずか1敗。と言えば聞こえはいいがその内10試合が引き分けと負けないけど勝ち切れない試合が続く。引き分け11はもちろん最多。

FC東京は前節コンサドーレ札幌に勝ち、ようやく代表ウィーク明け初勝利。今季の挑戦から1度目を背けた戦い方でしっかりと勝ち切った。今節から戦い方を戻してくるのかは1つ注目する部分。

前回対戦は第8節、0-0の引き分け。今思えばこの試合から3試合連続0-0が続き、どんどん調子が崩れてきている。

詳しい試合内容はこちらから ↓

試合概要

メンバー

・浦和レッズ
前節京都戦からの変更は2枚。関根と明本に代わり大畑と小泉。京都戦は交代枠2枚しか使ってないけど。真夏の連戦なのに。

・FC東京
引き続き怪我人続出のFC東京はさらにアダイウトンも離脱。変更は永井とアダイウトンに代わり渡邊とディエゴ。というか中盤より後ろが代える選手がいない。危機的です。

試合全体から言うとビルドアップで大きく完成度の差が出た試合。ということで両チームのビルドアップを詳しく振り返りましょ。

(1)臨機応変なビルドアップ

まずは浦和レッズのビルドアップから。

浦和のビルドアップ時には2CHの岩尾がアンカー、伊藤が少し高めの右IH、トップ下の小泉が左にずれて左IHを取る4-1-2-3のような配置となる。この可変で左サイドでは大畑、大久保、小泉、右サイドでは酒井、モーベルグ、伊藤で三角形を形成して上手く立ち位置を入れ替えながらサイドを攻略していく。

対してFC東京は4-4-1-1の守備ブロック。この形は今季初じめて。たぶん。
トップ下のレアンドロがアンカー役の岩尾をマーク。あとは4-4のラインで構えて守る。

このFC東京の守備に対して浦和はCFのディエゴの横からCBが運ぶドリブルで前進する。特に左CBのショルツが運ぶ場面が多く、FC東京はこちらのサイドから崩されることが多かった。

FC東京のSHは内側の立ち位置を取り、ブロックの中に通されないように守る。そのため、CBからサイドに張る選手へのパスコースは切られていない状態。

右SHの渡邊も内側の立ち位置を取る。そのため、ディエゴの横からドリブルで運ぶショルツからサイドに張る大畑へのパスコースはいられていない状態。SHの立ち位置は浦和を外に誘導するものとなっているが、大畑にパスが通った時、長友が出てくるのではなく渡邊が戻って対応する。そのため、大畑はサイドで前向きを作ることができた。

ここで1つの場面。20分20秒。
ドリブルで運ぶショルツに対して渡邊はブロック内へのコースを消してサイドに誘導する立ち位置。そのため、ショルツはサイドに張る大畑へ。サイドに誘導したものの、大畑に対して長友は出てこない(大久保が積極的に背後を狙っていたので出て来れなかったとも言える)。渡邊が下がりながらの対応になるため大畑は前向きを作ることができ、ここから小泉、大久保との連携でサイドを攻略できた。

右サイドの方は松木が内側の立ち位置を取り、サイドに張るモーベルグに通ったところで佳史扶がしっかり前に出てきていた。その分、酒井や松尾に佳史扶の裏を狙われる場面があったが、そこは松木や森重がカバーできていた。

浦和の両サイドの違いとしては小泉と伊藤の立ち位置の高さ。高い位置を取っていた小泉に対して伊藤は少し低めの立ち位置。岩尾がレアンドロにマークにつかれていたため、少し下がって中盤でパスを引き出す狙いだっただろう。その分、FC東京の左サイドは右よりも守りやすさはあったかもしれない。岩波がショルツくらい運ぶドリブルが上手ければ高い位置をキープできたか。

浦和は飲水タイム後辺りからビルドアップの形を変更した。酒井が高い位置を取らずにショルツ、岩波と後ろ3枚。岩尾と伊藤が2CH、左SBの大畑が高い位置を取る3-2-5の形となった。ここで変えてきたということはFC東京の4-4-1-1は浦和にとって恐らく想定外。4-1-2-3のビルドアップは4-3-3のFC東京に対して4バックで数的優位を取りつつ、アンカー脇を小泉と伊藤で狙おうといった感じだったのだろう。

3-2-5にしたことでディエゴとレアンドロの後ろに岩尾、伊藤の2CHが並ぶ。これにより東と梶浦の2CHの注意を前に引きつつ、小泉と大久保が脇のスペースを狙ってきた。

(2)背伸びしすぎてはいないか

守備時は4-4-1-1のFC東京だったが、攻撃時には4-1-2-3となり、いつも通りの2CB+アンカーでのビルドアップ。これに対して浦和は松尾と小泉がアンカーの東へのパスコースを切りながらCBの森重と木本へプレス。FC東京のパス回しをサイドへと誘導しSBにはSH、IHにはCHがあたり前向きに潰していく。1失点目もまさに梶浦へ誘導されて岩尾に潰されたところからだった。

また、ゴールキックなどのリスタート時には岩尾が後ろ、伊藤が前と2CHが縦関係になる。そして前に出た伊藤がボールサイドのIHを消し、残りのIHは逆のSHが消していく。後ろに残った岩尾はディフェンスラインの前を埋めつつ、降りてくるレアンドロを消す感じ。

(3)見せつけられた完成度

ハーフタイムにFC東京は梶浦と紺野を交代し渡邊がIH。守備時のフォーメーションも4-3-3となる。これを見て浦和は再びビルドアップを試合最初の時の4バックに変更する。この辺りの相手に合わせて自由に形を変えられるのは完成度が高いなと言ったところ。

対してFC東京は渡邊がアンカー役の岩尾のマークにつきつつ、3トップでプレスをかけていく。しかし、3トップに対して浦和の4バックで数的優位を取られているが故プレスがハマらない。WGの紺野とレアンドロは積極的にCBまでプレスに出ていたが、SBへの外のパスコースを切り切れていない場面が多く、WG裏を取られてしまう。見ていてどうしても闇雲にプレスに行っている印象。

おわりに

まあ完敗です。5-0で負けた鳥栖戦の時も書いたけど、後半立ち上がりに追加点を許してそのまま無抵抗に負けるのはサポーターとしてもイライラが高まるところなのかなと。

FC東京は今季ずっと2CBとアンカーでのビルドアップに挑戦している。ただこのビルドアップは今のFC東京にはレベルが高いと感じる。まだ早い。その段階ではない。

そもそも2CB+アンカーのビルドアップではGKが参加できないと厳しいだろう。スウォビィクも開幕時に比べればビルドアップ面も向上しているように思う。特に中長距離のキックは精度が上がっている。

しかし、繋ぐか蹴るかの判断であったりショートパスの精度はまだ怖い。あと逆サイドに展開できないのが厳しい。2CBとアンカーのビルドアップではサイドで詰まったら一度GKに戻して逆サイドへ、と言う展開が使えないとどうしても今のFC東京のようになってしまう。

あとは自分のレビューで何度も出てきているアンカー周辺のスペース使えない問題。FC東京のビルドアップではアンカーはあまり動かない役割となっている。その狙いはアンカーを固定することで基準を作り、相手のプレスに合わせてその周りでSBが内側に絞ったり、IHが降りてきてビルドアップをサポートしようというもの。しかし、今のFC東京はアンカーの周りでサポートを作ることが出来ていない。そのため、アンカーがただ捕まりやすいだけになっている。

そもそもこの2CBとアンカーのビルドアップは難易度が高い。そう考えるとやはりまずは後ろ3枚と中盤2枚とかが良いと自分は思う。この試合の浦和と同じ3+2の形だ。

後ろ3枚の作り方としてはアンカーを一列落とす形もある。ただ、それでは中盤はIHを2枚とも降ろすか、SBを絞らせることになる。今のFC東京のSBで中盤に絞る偽SBに向いていそう選手は正直いない。長友はできそうだが。IHを2枚とも降ろすのも微妙。松木や安部などFC東京のIHは高い位置で勝負させたいのでどちらも降ろすのは個人的にはないかな。

となると後ろ3枚は2CB+SBで作るのがいいと自分は思う。片方のSBを後ろに残してもう片方に高い位置を取らせる。SBを残した方のWGにはサイドに張らせる。ちょうどFC東京はアダイウトンと紺野というサイドに張るタイプのWGを両サイドに持っているし、佳史扶と長友、中村という高い位置を取れるSBも両サイドにいる。

後ろに残すSBとしては岡崎を見てみたいなと。この試合では短い時間でいいプレーを見せていた。守備時のサイドの1対1の部分は少し不安がある気もするが、ビルドアップでは貢献できるだろう。

今のFC東京は基礎をすっ飛ばして応用をずっとやっている状態。学生時代にそんな勉強の仕方をしていた人はいないだろう。いたとすれば基礎をやる必要のない天才か、またはただの頭の悪い人だ。

FC東京は天才ではないので後者。残念ながらただの頭の悪いチームになってしまっている。言い方キツイけど。3-2-5のビルドアップをしっかりとマスターできてから今の2CB+アンカーに取り組むのが良いだろう。

自分たちのレベルに合った問題から取り組む。それは勉強でもサッカーでも同じ。

アルベルさん頼みます。自分はどこまでもついていくので。

試合結果
2022.7.10
浦和レッズ 3-0 FC東京
埼玉スタジアム2002

【得点者】
浦和レッズ
 31' モーベルグ
 50' 伊藤 敦樹
 70' 大久保 智明

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