ビジャレアルvsバルセロナ~生まれ変わったバルサ、チャビがもたらした変化~[ラリーガ第15節]
試合概要
【スタメン】
【得点】
ビジャレアル
76'(1ー1) チュクウェゼ
バルセロナ
48'(0ー1) F.デ・ヨング
88'(1ー2) メンフィス
90+4'(1ー3) コウチーニョ
【交代】
ビジャレアル
65’ ピノ→チュクウェゼ
65’ ペドラザ→エストゥピニャン
84’ トリゲロス→ラバ
バルセロナ
66' アブデ→デンベレ
71' J.アルバ→ミンゲサ
80' ニコ→コウチーニョ
(1)マークの受け渡し
ビジャレアルとバルセロナ共に守備は前から人につく形でした。(1)(2)では両チームのボール保持と人につく守備を解説していきます。
ビジャレアルはボールの位置によってマークを受け渡しながらバルセロナのボール保持に対応しました。バルセロナの左サイドでピケやJアルバがボールを持っているときにはトリゲロスがピケ、パレホがブスケツ、モイゴメスはEガルシアのマークを捨てて内側に絞りFデヨングのマークにつきます。
ここからバルセロナの右サイド、アラウホやEガルシアまでボールが渡ってきたらモイゴメスはEガルシアへ、パレホがFデヨングへ、トリゲロスがブスケツへそれぞれスライドして対応します。このように遠いサイドは捨てて近いサイドの選手にマークについて抑える守り方でした。
試合の立ち上がりからモイゴメスは周りの選手とFデヨングのマークを頻繁に確認しながら上手く全体でバルセロナの前進を抑えていました。しかし、この守備を攻略したのがFデヨングの動きでした。前半15分過ぎからバルセロナの左サイドでのボール保持時にFデヨングが右サイドから左サイドまでポジションを移す動きが見られるようになりました。マークについていたモイゴメスも逆サイドまではついて行けなかったため左サイドで局地的に数的優位が作り出されます。この動きから繋がったのが18分のメンフィスのGKとの1対1の場面です。
Fデヨング(21)が左サイドまで流れたことでモイゴメス(23)はついて行けずにマークが外れます。そしてキャプー(6)に対してニコ(28)とFデヨング(21)で局地的に2対1を作りビジャレアルの中盤を突破してメンフィスがDFの背後を取りました。図だと分かりづらいのでぜひ映像で見てみてください。この記事の最後に動画のURLを載せておきます。1分29秒からです。
あと前半に限らずビジャレアルの守備で問題だったのはアブデの縦突破に対するペドラサの対応でした。アブデがサイドでボールを持った時、モイゴメスも戻ってカットインのコースを消していました。なのでペドラサとしては横よりも縦には絶対に突破されないように守るべきだったかと思います。ですがアブデの中へのフェイントにもかなり引っかかり、縦に突破されまくってしまいました。先制点の場面なんかもそうです。ここの守備の連係を最後まで取ることができませんでした。
(2)見る価値があるビルドアップ
次にビジャレアルのボール保持に対するバルセロナの守備です。マークのつき方は文章よりも図の方が分かりやすいと思うので下の図を見てください。
ビジャレアルと同様にマンマークで人について行く形、ピケが余り気味でメンフィスがCB間のコースを切ります。バルセロナが対応しきれなかったのがこのビジャレアルの2CB+GKのビルドアップです。ビジャレアルは2CBがペナ幅くらい広がりGKも高めの位置を取って平べったい3角形を作ります。これによってメンフィスはCB間を切っているもののCB→GK→CBといった感じで簡単にサイドを変えられてしまい、またCB間の距離も広いためプレッシャーもかけられず守備者としてほとんど機能していませんでした。
パウトーレスに自由にボールを持たせてしまうと前線に精度の高いフィードを蹴ってきます。実際に前半のビジャレアルは左サイドで何度も相手の背後を取っていました。この左サイドの攻撃で鍵となっていたのがモイゴメスのスペースを作る動きです。左SHのモイゴメスはサイドに張らずに中央に絞ったり下がってくる動きをします。この動きに右SBのEガルシアはピッタリとついてきます。これによって左サイドにはスペースができ、そこにCFのダンジュマが流れたり、SBのペドラサが駆け上がってきます。バルセロナの右WGのアブデの背後の守り方に問題があったため、特にペドラサの積極性が光る前半となりました。
(3)チャビの修正
前半の内容を受けてチャビはハーフタイムにマークのつき方を修正します。下の図を見てください。
前半はメンフィス1人で2CBを見ていたのを、後半から左IHのニコを1列あげてメンフィスと2トップのような形に修正しました。これによってビジャレアルの2CBは前半のように自由にボールを持てなくなり、ディフェンスラインの背後への効果的なフィードも蹴れなくなりました。
CBからのフィードで一気に背後を取れなくなったビジャレアルの攻撃で違いを作り出すのはSTのトリゲロスでした。トリゲロスのマークを担当していたピケは下がっていく動きに対してハーフウェーラインを数メートル超えた辺りまでしかついてきません。そこでトリゲロスは2トップの位置からボランチの横あたりまで下がりボールを引き出してビルドアップの出口となりました。また、下がる動きでピケを引き出してその背後のスペースに右SHのピノが斜めに走りこむなど攻撃の中心となっていました。
下の画像はビジャレアルの前後半のボールタッチエリアです。このデータからも前半は左サイド、後半は右サイドが中心になっていることが分かりますね。
この試合のハイライトはこちらから↓
最後までご覧いただきありがとうございました!クーマン時代ではなかったバルセロナが見られそうです。
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