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[試合分析]スペインvsフランス~柔vs剛[UEFAネーションズリーグ]

最近投稿頻度落ちてる。

試合概要

メンバー

スペイン 1-2 フランス
【得点者】
スペイン
 64'オヤルサバル(1ー0)

フランス
 66'ベンゼマ(1ー1)
 80'エンバペ(1ー2)

(1)マンツーマンを攻略したスペイン

フランスの守備戦術はマンツーマンを採用。時にはオールコートマンツーマンになることもありました。これを採用したのには2つの狙いが考えられます。1つはフランスの選手1人1人の質の高さを最大限に活かすこと。もう1つはスペインのゼロトップ対策です。スペインはCFが前線に張らずに下がるゼロトップを使い、中盤を3+1の4枚にしてきます。フランスの中盤は3枚(グリーズマン、ポグバ、チュアメニ)なのでこのままでは数的不利となってしまいます。そこでオールコートマンツーマンを採用して、CBが下がっていくCFについて行くことで、スペインに中盤で優位性を持たせない狙いがあったと推測できます。

しかし、前半のフランスの守備は完全に機能していたとは言えませんでした。ここからはスペインがマンツーマン守備を攻略した2つの場面を解説します。

まず、1つ目はGKからのビルドアップの場面です。GKがボールを持った時、フランスはマンツーマンで前線から人についてきます。スペインがこのマンツーマンを剥がせたのには2つの理由があります。1つはフランスの2トップがGKまでプレスに来たことです。GKのウナイシモンがボールを時、フランスは担当する選手にマークについてセットした後に2トップの1枚がGKにプレスに行きました。しかし、スペインはこのプレスを待っていました。GKが一度ブスケツに当ててから、フランスがプレスに来たことで空いたCBに落としてフリーでボールを持たせました。

2つ目はSBの低めの立ち位置です。右SBのアスピリクエタはGKがボールを持った時に高い位置を取らず、CBやGKと同じラインまで下がります。SBのマークを担当するのはWBですが、ここまで立ち位置を下げたSBには出て来なかったためフリーの状態を作ることができました。

オールコートマンツーマンの場合、一度マークがズレるとそれに連鎖してマークをズラしていくことになります。スペインはこの2つの形で最初のズレを作り出し、そこからボールを運ぶことができました。


2つ目は自陣から敵陣にかけての場面です。ここではスペインの両SB、特に右のアスピリクエタがフリーでボールを運んで敵陣へ侵入するプレーが多く見られました。これには右WGのFトーレスのポジショニングが関係しています。この試合のFトーレスはサイドに張ってポジションを取っていました。ここのマークを担当する左CBのキンペンベは自分ではサイドにマークに出て行かずにTエルナンデスに受け渡しました。その結果、TエルナンデスはFトーレスにピン留めされる形となりアスピリクエタにプレスに出て行けなくなりました。

(2)スペインの左サイドの役割

このようにフランスのマンツーマン守備を上手く攻略していたスペインですが、全てが完璧だったとは言えず、左サイドでは少し問題が起きていました。

この試合のスペインは両WGがサイドに張ってIHがハーフスペース、両SBは低めの位置を取る役割が基本となっていました。後ろに4バックを残すのはフランスのカウンター対策が狙いだと考えられます。スペインのCBはスピードや対人に優れているとは言えないため、後ろの枚数を増やして対応したかったのだと思います。この4バックを後ろに残す形はEUROでもやっていました。

右はサイドのFトーレス、ハーフスペースのガビにアスピリクエタが絡むといった感じでそれぞれ得意な役割となっていました。しかし、左はロドリがハーフスペースを取る役割になってしまいます。これはロドリの得意な役割とは言えません。そのため、サイドに張ったサラビアが右CBのクンデを引きつけてできたスペースに走り込めなかったり、ニアゾーンを取っても相手に簡単に抑えられることが目立ちました。左IHがメリーノであれば攻撃はよりスムーズになったと思います。ただ守備のことを考えればロドリの左IHのなしとは言えないですかね。

前半はスペインフランスともに上手くいかない部分、相手に上回られている部分がありましたが、後半からは両チームともしっかりと修正してきました。フランスはWBがより高い位置を取ってSBにまで出て行くようになりました。また、スペインの左サイドはMアロンソが前半よりも高い位置を取る場面が増えました。

(3)フランスの誤算

ここからはこの試合を見ての自分の考察を書いていきます。あくまで考察なのでその可能性もあるなくらいで読んで頂ければと思います。

この試合ではフランスに1つの誤算があったと思います。それはスペインが両WGを張らせる形を採用してきたことです。準決勝のイタリア戦ではスペインの3トップは全員内側でプレーしていました。この形ならばフランスの3CBがそのままマークにつけます。しかし、決勝では両WGがサイドにいるため、ここにそのままCBが出て行くと真ん中がスカスカになります。そうなるとスペインの得点シーンのような裏への抜け出しがしやすくなります。なのでCBとWBでマークを受け渡しながら守らなければならなくなりました。それでも守り切れるフランスの選手の質の高さと選手の質の差を組織で埋めるスペインといった最高レベルの試合だったと思います。


最後までご覧いただきありがとうございました。ネーションズリーグ面白い試合ばかりでした。
フランスおめでとう!🎉🇫🇷🎉

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