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企業経営に重要なリスクを眠らせる与信管理とは?

はじめまして。
企業を格付する会社に勤めている佐々木正人と申します。

新型コロナウイルスが日本に入って1年以上が経ち、少しずつですがwithコロナの世の中に順応している企業が多いと思います。
「日経平均3万円超え」「米国の長期金利の上昇」「日銀のETF買い入れ」等と景気は良いのか悪いのかが誰もが確信を持てない2021年ですよね。

ただし、1つ言える事は、コロナによって業績が「厳しくなった企業」「良くなっている企業」がいる事です。

与信管理(よしんかんり)に携わる者として
・今後伸びる業界
・リスク管理が更に必要になるであろう業界
・業界ごとの債権保証(保全)

などのお役立て情報を発信したいと思いブログを始めます!

私は、企業の審査(分析)業務を行っている会社に勤めております。

企業審査だけに関わらず、数多くのアンケート調査も実施しており、
その結果が度々テレビなどのメディアでご活用いただいております!

皆様の日々の生活や業務に少しでもお役立ていただければと思いますので、是非一読ください!


長い前置きはこのくらいにして、記念すべき初投稿は、
そもそも「与信管理って何?」「与信管理ってなぜ必要なの?」というテーマにしました。

「与信管理」という言葉に馴染みのない方にもわかりやすく説明いたします!

ーーー 与信管理って何? ---

そもそも与信とは、文字通り取引相手に「信用を供与すること」です。

この場合の信用とは、返済能力があるという意味になります。
皆さんがお使いのクレジットカードも、利用者個人に対して与信・与信限度を設定されています。(私もクレジットカードを何枚か持っていますが・・・)

先に代金を受け取る前受取引(まえうけとりひき)や、納品と同時に現金を受け取る現金取引のみで取引を行えば、 債権が焦げ付くことはありません。しかし、企業間における取引は、取引が頻繁かつ継続的に発生するので、都度現金を受け取るのは効率的でない場合が多くあります。

そのため、商品や製品を納品した後に、またはサービスを提供した後に代金を受領する「与信取引」を行う事が一般的です。

与信取引を行うと、将来、販売代金を現金で回収できるかどうかは確実ではなく、取引先が代金を払えず回収できないかもしれないという「不確実性(リスク)」を常に伴うこととなります。

したがって、リスクを継続的に管理することで回避・低減させる必要があります。 取引先の情報を収集・分析することにより、取引先の信用力やその動向を予測・分析しながら、取引額を調整し、損失を抑えながら販売代金を回収できるよう管理すること=「与信管理 」が必要となるのです。

与信管理のプロセス

与信管理とは、倒産する可能性が低く安全な会社に対しては、与信を大きく行い取引を拡大していく一方で、倒産しそうな危ない会社に対しては、与信を絞って取引を小さくしていく管理をし、与信リスクを回避・低減することをいいます。

ーーー 与信管理ってなぜ大切なの? ---

取引先から代金を回収できないことを「焦げ付き」または「貸し倒れ」などといいます。

回収できなかった場合を想定してリスクを回避・軽減できるように管理する必要が出てきます。取引先の情報を収集し、信用力や支払い能力などを分析や予測して取引額の調整を行ったり、損失を最低限に抑えて回収できるように管理したりすることが重要になります。

焦げ付きが発生すると次のような影響が出ます。

1. 損益面への影響
それまでの企業努力でせっかく稼いできた利益が一気に失われます。

仮に利益率が10%の取引において10百万円焦げ付いたとすると、その損失を取り戻すにはいくらの売上が必要でしょうか。
10百万円を同じ利益率10%で取り戻そうとすると、

10百万円 ÷ 10% = 100百万円(1億円)

と、実に1億円もの売上を新たに作り出すことが必要になります。その営業努力は大きな負荷となります。いかに焦げ付き発生を回避することが重要であるかが分かると思います。

短期的には、損失を計上することになり、自社の決算にマイナスの影響をおよぼします。それだけでなく 、長期的には販売先の一つを失うことによって、自社の業績が悪化する原因にもなるのです。

2. 資金面への影響
多くの企業では販売先から入金された資金で、仕入先へ支払ったり、経費を支払ったりするという資金繰りを行っています。

10百万円の焦げ付きが生じた場合、回収するはずであった10百万円が入ってこなくなりますので、
その資金の不足分10百万円を別のところから調達する必要が出てきます。

資金繰りの計画が狂うと、最悪の場合、仕入先などに支払いができなくなり、自社も倒産してしまう「連鎖倒産」という事態に陥る危険性すらあります。

3. 業績・財務面だけでない悪影響
焦げ付きの発生は、単に企業の業績・財務内容を悪化させるだけでなく、
「取引先の管理ができない会社は、業績が安定せず信用できない」と周囲から評価され、管理面の甘さから対外的な信用も低下させることになります。

参考:人生の達人に聞く〜あなたにとって信用とは? -大分県別府市編その4-

そうなると、安定的に安価で原材料を仕入れることができなくなり、確実に自社の財務体力を蝕むことになります。

支払えなくなった先から回収を行う業務は、自社の売上・利益を伸ばしていく業務ではありません。したがって、焦げ付きが発生すると、そのような後ろ向きな業務に充てなければならなくなり、目に見えない負担として重くのしかかります。

さらには、従業員が動揺したり、損失発生でやる気を失ったりといったことも悪い影響として考える必要があるでしょう。

本日の内容は以上です!
今回は、本当に基礎中の基礎的な内容でしたが、次回以降は培ったノウハウを生かした専門的な内容を発信していきます。

明日の投稿も是非一読ください、では!

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