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ディズニーシーとアラビア語

こんにちは!

先日(といってもだいぶ前ですが)、東京ディズニーシーに行く機会がありました。ディズニーシーはいくつかのテーマポート(エリア)に分かれており、それぞれのテーマポートに合わせたアトラクションやレストランがあることが魅力ですね。

今回はディズニーシーのテーマポートの1つ、アラビアンコーストについてアラビア語学習者の目線から書いていきます。

アラビアンコースト

アラビア語を学び始めてからディズニーシーに行くのは初めてなので、いままでは比較的注目して見ることがなかった(センターオブジアースとか激しいアトラクションばかり乗っていました、、、)テーマポートですが、よく見るとアラビアンな要素が散りばめてあって魅力的なエリアです!全体としては映画『アラジン』に沿ったテーマという印象です。

カスバ・フードコート

ナンとライスが付いたカレーを出しているレストランです。この記事のヘッダーにしていますが、エキゾチックな内装で席数もかなりあります。名前の「カスバ」ですが、アラビア語(北アフリカだけ?)ではقصبة(qaṣaba, カサバ)と書いて「要塞、要塞都市」を意味します。アルジェリアの首都アルジェには「アルジェのカスバ」という世界遺産もあるようです(英語のtheにあたる定冠詞الを付けてالقصبةというと、この世界遺産を指すそうです)。壁にはアラビア語っぽいカリグラフィーもあったのですが、写真を撮ってくるのを忘れました、、、(次に行ったときに探します)。

サルタンズ・オアシス

シンドバッドのアトラクションの近くにあるレストランで、同アトラクションにも出てくる「チャンドゥ」のチキンカリーまんなどを出していたと思います。「サルタン」は『アラジン』に出てくるジャスミンの父王の名前ですが、「権力者」を意味するアラビア語سلطان(sulṭān, スルターン)の英語読みだと思います。世界史を学んだ方は、セルジューク朝のあたりでスルタンの称号が出てきたかもしれません。現在も、中東のオマーンと東南アジアのブルネイ(とんでもない富豪でも有名なボルキア国王)には国家元首としてスルターンがいるようです。

オープンセサミ

日本語でいうところの「開けゴマ」ですね。一見アラビア語は関係なさそうですが、『千夜一夜物語(アラビアンナイト)』の「アリババと40人の盗賊」に登場する呪文です。元のアラビア語はافتح يا سمسم(iftaḥ yā simsim, イフタフ ヤー シムシム)で直訳すると「ゴマよ、開け」になります。私が大学でアラビア語を習い始めた直後に、担当の先生からこの話を聞いたのを覚えています。どうやら、日本語や英語に限らず様々な言語で直訳に相当するフレーズが使われているようです。なお、ゴマを意味するسمسمと英語のsesameはウィクショナリーで語源をたどるとイラクあたりの古代メソポタミアのアッカド語が由来。その後同地域で支配的になったアラム語で分岐したようで、少し似ているの納得です。

アブーズ・バザール

アラビアンコーストにあるショップです(何を売ってるかまでは覚えてないです)。アブーは『アラジン』に出てくるアラジンの相棒の猿ですね。「バザール」というと中東の市場がイメージされますが、この語自体はアラビア語ではなくペルシャ語で「市場」を意味するبازار(bāzār, バーザール)が由来です。アラビア語で「市場」を意味するのはسوق(sūq, スーク)という単語で、ドバイのゴールドスーク、سوق الذهب(sūq adh-dhahab, スーク・アッザハブ)にも見られます。アラビアンコーストなのにここだけペルシアンですが、そもそも『アラジン』の舞台はインド~中東の要素がミックスされており、ペルシャもここに当てはまるのでOKなんでしょう。日本国内ではバザールのほうがよく目にする語ですが、千葉の海浜幕張駅前の商業施設sú:k(スーク)はおそらくこの語が由来だと思います。

というわけで、今回は「アラビア語学習者が見るアラビアンコースト」としてレストラン・ショップの名前について書いてみました。これ以外にも、テーマポート内には建物なども含めていろいろなところにアラビアンな要素があるので、東京ディズニーシーに行かれた際は是非こういうところにも注目してみてください!(追加でなにか気づいたらまた書いてみます)

それでは!

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