「ん」では終わらぬ、終わらせぬ。
複数人で待ち時間をつぶすのに最も適した行為といえば、『しりとり』だと相場が決まっている。
個人的には、あの国民的ゲーム『ずくだんずんぶんぐんゲーム』も候補に挙げたかったのだが、如何せんルールをわかっていないので泣く泣く落選とした。
ご存じのとおり、しりとりとは、前の番に出た単語の最後の文字から始まる言葉を、己の脳内から引っぱり出し繋げていく、というもの。
至ってシンプルなルールだが、語彙力の高さがものをいう熾烈なワードバトルなのである。
ちなみに、英単語でやると“x”で基本的に詰むので、“box”や“max”をぶつけると良い。
さて、日本語バージョンに話を戻すと、最後の文字に「ん」がついたら負けとなる。
その理由は、「ん」から始まる言葉がないから。
果たしてそうだろうか。
確かに、日本にはないかもしれない。
しかし、グローバルな社会を生きている現代人なのだから、世界に目を向ければ「ん」から始まる言葉の一つくらい見つけられよう。
ましてやインターネットでなんでも調べられてしまう時代である。
「リア充 意味」なんてググる前に、もっと有意義で壮大な物事に時間を割くべきだろう。
というわけで、愛すべきしりとりを少しでも長く続けるために、「ん（ン）」から始まる言葉を探してみた。
すると、いきなりまとめ記事が見つかったので、参考にさせていただく。
まず登場したのは「ンジャメナ」。
これは僕も聞き覚えのある単語だ。
ンジャメナは、チャド共和国の首都。チャド共和国とは、アフリカ大陸の中央部に位置する内陸国である。
ちなみに、オーストラリア出身のお笑いタレントであるチャド・マレーンとは、一切関係ない模様。
続いて、「ングラ・ライ国際空港」。
インドネシアのバリ州にある国際空港で、ガルーダ・インドネシア航空のハブ空港の一つらしい。
あとは、カメルーンの都市「ンガウンデレ」、コモロ連合の首都モロニがある「ンジャジジャ島」、ナイジェリアの都市「ングル」、ルワンダの都市「ンヤルゲンゲ」、エスワティニの町「ンランガーノ」、タンザニア北部の自然保護地域「ンゴロンゴロ保全地域」などだ。
後半の畳みかけでお察しかと思うが、「ンガウンデレ」あたりで心が折れた。コモロ連合ってなんですか。エスワティニってどこですか。
「ンゴロンゴロ保全地域」に関しては、「ゴロンゴロン保全地域」にしか見えない。めっちゃ落石とか多そう。
なにはともあれ、しりとりは「ん」で終わらないことがわかった。
「ん」から始まる言葉を調べたことで教養も身につき、しりとり力も上昇した。
ただ、ここまで書いて気づいた最大の欠点がある。
それは、前の番の人が「ん」で終わる言葉を発した時点でこちらの勝利が確定するので、それを先延ばすことにはまったくメリットがないことだ。
前の番の人をどうしても勝たせたいときなどに使っていただければ、ンジャメナをはじめとする「ん」から始まる言葉一同、諸手を挙げて喜ぶに違いない。
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