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【プロセカ】今更始めたヲタクが「25時、ナイトコードで。」ストーリーを読んで(前編:2020~2021)


はじめに

どうも、今更プロセカ始めてドハマりしました、るるシアです。

前回の記事でも書いたが、流れてくるイラストへの解像度・理解度を高める為に始めたプロセカに見事ハマってしまったため、特に気に入っている『25時、ナイトコードで。』のメインストーリーはもちろん、各キーストーリーを読んだ感想をつらつらと書いていこうと思う。

なお、感想は各ストーリーをひとつひとつ読み終えてから書いているため、前後で印象や解釈などが変わっている可能性もある。
(また、筆者は「えななん」こと「東雲絵名」推しのため、絵名がメインの回だけ感情爆発している可能性があるため、注意いただきたい)

「東雲絵名」という人間を1枚で表せる完璧なカード【最高のアングル:東雲絵名】
これが星3(SR)ってマジ???

1.メインストーリー

始まりの物語。と言っても、ストーリー開始時点で全員面識が無いとはいえグループとしては既に活動しているのだが。

途中、思いがけない流れで初顔合わせからのまふゆの脱退宣言というジェットコースターのような展開もあるが、互いに初めて顔を合わせたことで一丸となってまふゆの思いに応え、活動していく上での目標を掲げることができた本当のユニットに。

勿論、根本の解決をしたわけでもなければ、まふゆが指摘したとおり各々が問題を抱えているようなので、これから徐々に解決していくと思うのだが、これを各イベントストーリーへ繋げていくのだから構成が上手い。
(ダイジェストアニメのクオリティもさることながら、ストーリー構成も非常に上手かった)

改めて思ったのが、まふゆの思いから作られた「誰もいないセカイ」。
”誰もいない”と言いながら何故ミクだけはいたのか
セカイの仕組みは分からないが、まふゆは「消えたい」と思いながらも「誰かに傍にいてほしかった」のではないだろうか。
もしも、まふゆの思いがセカイの住人を形作るなら、ミクが奏たちに助けを求めたのも「仲間に助けてもらいたかった」というまふゆの心の表れだったのではないかと思えた。


2.囚われのマリオネット

初っ端から重すぎる。
「みんなでまふゆが失くした心を取り戻そう!」から一発目のキーストーリーがコレってマジですか…?

図らずも荒療治のようになったが、操り人形であるマリオネットと自分を重ね合わせ、その感情を歌詞として吐き出せたことで、少しではあるが、自分の感情を表に出す事が出来るようになったため、一先ずは一歩前進なのだろうか。

……もっとも、思ったままを口に出すため、容赦のない言葉選びやダメ出しに絵名は日々キレまくりだが。

絵名の「はぁ!?」からしか取れない栄養がある

筆者が考えるに、まふゆの問題って案外誰にでも起こりうる可能性のあるものではないだろうか。

私生活でも仕事でもそうだが、周りに優等生、良い人と思われたいなんて普通のことだし、自分から何か行動を起こすより、誰かの期待に応え続けることほど手っ取り早く信頼を勝ち取れるものはない
筆者は教育関係の仕事のため特に感じるのだが、高校生までって案外受け身でもどうにかなるもんなのだ。
でも、だからこそ、そのままの調子で大学へ進学したり、仕事に就いたり、自分から行動を起こさなければ何も出来ない環境に出ると躓いてしまう

まふゆの場合は、自身を取り囲む環境も特殊だったというのもあるのかもしれないが、そんな、誰でも一歩間違えば同じような問題に陥ってしまう、ある種等身大の高校生のようなまふゆだからこそ、ニーゴの物語を魅力的にしているのかもしれない。


3.満たされないペイルカラー

(絵名推しなのでストーリー読むのめちゃ楽しみにしてました…)

才能という現実的な壁に、どのように立ち向かえば良いのか。
多分だが、泥臭くも立ち向かうか、それとも挑まないかの2択しかないのではないかと思う。
最近、「逃げたら一つ、進めば二つ」という言葉が某アニメで出てきたが、まさにその通りだと感じた。

筆者はクリエイターではないので、その世界で生きる方の挫折や苦労を理解できる、などと軽々しく言う事はできない。
だが、そんな厳しい世界で才能という壁に立ち向かいながらも努力を続ける人は、とてもカッコいいと思えるし、尊敬する。だから心の底から応援しようと思える。
そんな思いがあるからこそ、筆者は、才能という壁に泥臭くも挑戦し続ける「クリエイター:東雲絵名」に、努力家な彼女に惹かれるのかもしれない。
テーマ曲となっている『限りなく灰色へ』の歌詞にある「まだ人生終わっていないから、諦めんなって誰かの声」のとおり、応援してくれている人は必ず居るはずだ。


4.シークレット・ディスタンス

スランプになった奏を心霊スポットに連れ回す話。
『囚われのマリオネット』の時でも思ったがこのユニット、瑞希が言い出さないと皆で出掛けたり遊んだりとかしなさそうなんで多分瑞希が最後の良心だ…。

…と思いきや、恐らくこのユニットの中で一番大きな問題を抱えているのは他でもない「瑞希」だと感じた。
読んでいればなんとなく瑞希の抱える秘密は分かるが、他のメンバーと違い、誰かに言って解決するような話ではない。むしろ、一度言ってしまえば、ようやく「ニーゴ」としてひとつとなってきたこの関係を終わらせてしまうかもしれない

いつも皆のことを気にかけ、人一倍明るい瑞希だが、筆者はどうしても瑞希が皆のことを考える時「奏まふゆ絵名+自分」と、自分と皆との間に壁を作って一歩離れているように感じてしまう。
そんな瑞希が自分の気持ちに折り合いをつけ、これからも皆と一緒にいたいと心から思える日が来ることを祈るばかりだ。


5.お悩み聞かせて!わくわくピクニック

めっちゃポップなイベントタイトルなのに終始「ちょっと強引じゃない?心配なのは分かるけどいきなりそんな踏み込んじゃって大丈夫?」と胃がキリキリしっぱなしの内容で全然ポップじゃなかった…。

メンバーに異変があればいち早く察知・手を差し伸べるのが瑞希
なら、その瑞希に異変があった時、いったい誰が気付いてあげられるのか
このアンサーが、「他人に評価されたい」、「自分を見てほしい」という承認欲求に囚われていた絵名が「誰かを気に掛ける」という役割となったところに、絵名の成長具合が窺える。
他人の目を気にする=人一倍周りを見ている、と筆者は思うので、心の余裕さえあれば元々絵名は面倒見の良い性格なのかもしれない。
(弟の彰人にはめっちゃ傍若無人だが)

「悩んでいる友達を助けたい」という思いは、友人として正しい行いだと思う。しかし、元来のストレートな性格も災いし、本人も自覚していたとおり、これが「余計なお世話」なのか。それとも、瑞希にとっての「救いの手」となるのかは、これからの瑞希の心の変化を見守るしかない
少なくとも、絵名の「瑞希を助けたいという気持ち」は、瑞希に届いたはずだ。

関係無いが、絵名が愛莉たちと交友関係があったりなど、ユニットの垣根を越えて交流があるのも本作品の魅力の一つだと、このストーリーを読んでひしひしと感じた。


6.カーネーション・リコレクション

またまた活躍する瑞希。
いい子すぎる。貴方は絶対幸せになりなさい。

まふゆを始め「たくさんの人を救える曲を作る」ということがモチベーションになっている奏だが、同時に彼女を縛り付ける呪いのようになっていた。
当のお父さんは奏の才能を見込んで、これからの成長に願いを込めた一言だったのかもしれないが……。

最終的に、「たくさんの人を救える曲を作る」という漠然的な考えから、「聴いてくれる相手にどう感じてもらいたいのか」という次のステップに成長できた奏。
今回の物語を通して、誰かの為にあろうと自分を勘定に入れず、自らを省みない破滅的とも言える奏の姿勢は、ある種瑞希と似てるのかもしれないと感じた。自分ではない誰かを幸せにしたい、という気持ちは立派だ。だが、そんな優しい奏と瑞樹だからこそ、いつかは自分達自身も救われてほしいと思う。

余談だが、カーネーションの花言葉、特に劇中で登場している白の場合は「純潔の愛」や「尊敬」、「あなたへの愛情は生きている」といった意味があるらしい。
また、一方では「亡き母を偲ぶ花」という意味もあるらしく、タイトルの「リコレクション(思い出)」とも相まって奏の過去と優しさの一端に触れることの出来たストーリーとなっていた。


7.灯のミラージュ

☆☆☆☆【あたたかい愛情の記憶:朝比奈まふゆ】

えぇ~~~~~~~小さい頃のまふゆ可愛すぎ^~

ウサギのぬいぐるみ抱いてリンゴまでウサギの形に切ってもらってウサギ大好きなのかな~~~~~♡♡♡








特訓したらこれだもんマジで笑えん

『カーネーション・リコレクション』で完成した曲を聴いて、自分の心の変化に戸惑うまふゆ。
最終的に自分の気持ちを歌詞として吐き出せたようだが、どうしてそんな表現となるのか、「理屈までは理解できていない」様子。

恐らくだが、今の自分、心を失くしてしまった要因が母にあるのでは、と薄々感づいてきているのではないだろうか。
それ故に、家族との思い出を込めて作られた奏の曲を聴いた際に、「”優等生のまふゆ”ではない、”母のたった一人の娘”として自分を見て、愛してくれていた頃の母との記憶」が、まふゆにとっての「あたたかさ」を感じた何かを探る上で思い出されたのではないだろうか。

だが、幼かった頃の母との記憶がまふゆにとっての「あたたかさ」として思い出されるあたり、恐らくまふゆは母を否定することも、嫌いになれることもないだろう
心のどこかでそれを理解しているからこそ、失くしてしまった心を取り戻すことが一層難しくなる要因となっているのではないだろうか。


8.ボクのあしあと

「シークレット・ディスタンス」、「わくわくピクニック」に続く瑞希の心の問題に迫る物語。

元々一定の知名度があったニーゴだが、新曲が好評ならユニットとしても個人としても成長している証だ。
恐らく、少し前までの瑞希なら、「みんなが成長して良かった」として俯瞰して終わりだったのかもしれないが、「シークレット・ディスタンス」以降の瑞希は、これからもみんなと一緒に居たい、と望むようになっている。
人一倍優しい瑞希だ、「自分だけが成長しないままでいいのか」、「隠し事をしたままの自分が仲間でいいのか」、「いつかバレてしまう前に自分から話さなくては」と焦り思い悩むのは当然である。

実際、ニーゴの面々といる際に外で知り合いに声をかけられた際は、普段とは想像もつかないような声色で焦っていた。
「自分の秘密を知っている人間」が「自分の秘密を知らない仲間たち」と同じ空間で一緒になるのだ。気にするな、なんて無茶な話だし、そんな地獄とも言えるような場面を一度でも経験してしまえば、より一層の焦りが生じるのは当然だ。

ココ読んでて生きた心地がしなかった

ニーゴは、ある種”変わり者”が集まったユニットだが、まふゆの問題にも「少しずつ一緒に解決していこう」と言えるような、優しい子たちが揃ったユニットだ。
もちろん、これはまふゆに限った話ではなく、誰の問題にでも「一緒に、優しく寄り添ってくれる」し、恐らく、瑞希の秘密も例外ではない。
全てを話すことはできなくても、相談すれば分かってくれる、待ってくれる、そんな心優しい仲間たちなのだ。
普段から一歩離れ、俯瞰して見ているからこそ見えるものも勿論あると思うが、自分はみんなとは違うと自ら線を引いてしまっていたからこそ、そんな身近な当たり前に気付けなかったのではないだろうか。

無論、これで解決とはなっていないが、「焦らなくとも、自分を待ってていてくれる友達がいることに気付けた」今回の1件は、”停滞していた”瑞希にとって大きな救いとなったはずだ。


9.いつか、絶望の底から

過去編という名の「25時、ナイトコードで。」結成秘話になる物語。
ユニットとして成長し、心が一つになってきたこの段階で回想を持ってくるの、アツい。

奏は「家事代行サービス(穂波)」、「”雪”という謎の人物」に、まふゆは「”K”という投稿者の音楽」にと、奇しくも2人は「誰かに頼る」ということをきっかけに運命が変わった。
結果論ではあるが、誰もが怖いと足踏みをしてしまうような”新しい一歩”を踏み出せたことで、後に絵名、瑞希とも出会えたため、2人にとってはまさに人生の分岐点となったのではないだろうか。
・誘いを受けてよかったのとこ
ちなみに、入学や就職など、人生の節目に腕時計をプレゼントすることは、「勤勉に頑張ってほしい」という意味が込められているらしい。

異性に贈る時などは「貴方の時間を拘束したい、同じ時を刻みたい」など、意味は変わるようだが、今回は上記の意味合いとなるだろう。
もっとも、母の思いとは裏腹に、この頃のまふゆにとっては自分の心が更に閉ざされてしまう要因の一つとなってしまっていたようだが…。


考察的なの

『誰もいないセカイ』について

メインストーリーの項目でも書いた、「思いがセカイの住人を形作る」という話だが、各ストーリーを読み進めていく内にあながち間違っていないのではないかと思えてきた。
ニーゴのストーリーは、「まふゆの失った心を取り戻す」が大きな目標となっており、まふゆは悲劇のヒロインのような扱われ方をしているが、決してそうではないと筆者は考えた。

なにも感じないまふゆだが、あくまで「自分」を見失っているだけであり、「この気持ちを知りたい」「友達を助けたい」といった「欲求」は残っていると感じた。というか、この部分まで欠如してしまっていたら、「Kの曲を聴いた時の心を理解したい」などとは思わないし、優等生という仮面はおろか、人間として破綻してしまうと思う。
また、『いつか、絶望の底から』でもさり気なく描写されていたが、仮にも優等生、他人から見られる自分を人一倍気にしているまふゆなので、「空気の変化」には敏感なのもかしれない。

それ故、セカイの持ち主であるまふゆの「仲間を助けたい、手伝いたい」という思いからセカイの住人が生まれているのではと考えた。

・誰もいないセカイ
まふゆの思いが作ったセカイ。
何も感じない、何もいらない、消えたいという思いから何も無い殺風景なセカイとなっている。
自分の境遇を認識した際にマリオネットが置かれるようになったりなど、まふゆの心の変化に応じてセカイの風景も変わるようだ。

・ミク
「誰もいないセカイ」と言いながらも最初からセカイにいた住人。
まふゆの「誰かに傍にいてほしい」、「助けてほしい」という思いから生まれた?本家ミクと比べて”色”が薄かったり感情の起伏が無かったりと、どこかまふゆらしい雰囲気。物語が進むにつれて感情表現が出来るようになっており、まふゆの生き写しのような存在なのかもしれない。

・リン
『満たされないペイルカラー』から登場。
素直じゃない、theツンデレ、でも面倒見は良い、といったこれ以上ないくらい絵名そのものみたいなリン。まふゆから見た「東雲絵名」が形作られたのかもしれないが、あまりにも解像度が高すぎる…。
絵名の心が折れかけた際に初登場するといったことから、絵名を助けたいという気持ちから生まれたのかもしれない。
リンの衣装(リボン)がくたびれているところも、まふゆなりに絵名の努力や苦労などを理解していて、それが反映されているのではないだろうか。

・MEIKO
『シークレット・ディスタンス』から登場。
瑞希が自分の秘密に向き合い始めた辺りからセカイに合流した。
恐らく「瑞希の抱える秘密までは分からないが、何かに悩んでいる」と気付いたまふゆから生まれたと思われる。
「自分はいないものとして扱ってほしい」、「みんなと距離を取って見守る」と、あえて距離を取ったスタンスでいる。
まふゆから見た「普段からの瑞希の立ち位置、立ち回りの違和感」に薄々気付いていたからこそ、このような性格として反映されたのかもしれない。

・ルカ
『カーネーション・リコレクション』から登場。
奏が自分の作る曲の方向性に迷った際に表れ、成長するきっかけとなった。
他の住人と比べて優しい雰囲気だが、「停滞を揺さぶり、壊すことが大事」など、自分の意思を貫く強い一面もあり、奏の心の奥にある強い意思とどこか似ている。
奏の「自分のエゴで曲を作り続ける」という一言は勿論、曲を通して奏という人間性を理解しているからこそ、優しさと強さを併せ持った一種のカリスマ性を備えた性格のルカになったのではないだろうか。


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