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僕がいま一番熱心に読んでいるコンテンツ

僕がいま一番熱心に読んでいるコンテンツ。それはちいかわだ。

ちいかわは、いい。現在連載されている漫画の中では最高のものだろう。この作品の最大の長所は、優れたストーリーテリングで漫画の伝統的なテーマに挑んでいるところだ。

その伝統的テーマとは、男の主人公と同性の親友の関係性である。それも、なにかの苦難に立ち向かっていく共闘関係にあるようなペアの関係性だ。ちいかわの場合は、ちいかわとハチワレが相当する。

これは、たとえば過去の漫画ではデビルマンやベルセルク、あるいはナルトやハンターハンターなどでくりかえし描かれてきた。チェンソーマンもそうだろう。ハンターハンターを除くと、すべての作品でこの種のペアは友情とも愛情とも言えない運命的な一体感を体験した後、袂を分かち、対立している。

無論、だからと言ってちいかわでも同じことが起きるとは限らない。限らないが、このようなお決まりの展開に対して、ちいかわ独自のなんらかの回答は用意されるだろうと僕は思っている。それを見る日が今から楽しみだ。

ちいかわという漫画は物語を語るのが上手い。それはセイレーン編ではっきりと示された。このエピソードで示されたのは、言わばちいかわとハチワレのペアの、別世界ではあり得たかもしれない別の可能性である。頭に葉っぱを生やした、不死の存在になった二人がそれだ。

僕の解釈では、この不死のペアの間には不均衡や緊張がなさすぎる。あまりに融和的にすぎるのである。それが最終的に不穏な結末を呼び込んでしまう。こうした物語の構図は小説「フランケンシュタイン」やモーパッサンの「オルラ」などでも見られる。物語においてお決まりの展開と言えよう。

逆に言えば、ちいかわとハチワレはそうはならないということである。彼らの間には不均衡がある。住んでいる環境にも差異があるし、見た目も違うし、討伐クエストに対する姿勢も異なる。だから不死の二人とは違う結末に向かうことであろう。僕はワクワクしてそれを目撃する日を待っている。