Dolby Atmosに対応した音響ハウスのスタジオ見学会に行ってきたのに、ただただ自分語りするnote
本日、アシスタント・エンジニア、若手エンジニアを対象とした「スタジオ見学会~音響ハウス~」に参加してまいりました。おじさんですが。
恵まれたことに、私も若い時分(←いつも過去形の昔話ばかりですみません)は、レコーディングで音響ハウスを使わせていただく機会が度々ありましたが、録音の現場を離れ長くご無沙汰でビルの前に着くと懐かしい思いがしました。それでもポツポツとライブ配信の会場として、音響ハウスから音楽ライブを配信したことがありました。
さて最近、Dolby Atmosに対応し、メディアで華々しく取り上げられている #音響ハウス の次世代イマーシブ・スタジオ。なんと既に360 Reality Audioにも対応し、足元にもスピーカーが設置されていました。
本日は音響ハウスの歴史などもご紹介いただきながら、同じ楽曲をステレオ(2ch)、5.1ch、そしてDolby Atmosさらに360 Reality Audioと、音響ハウスのスタジオを3室はしごしながら聴き比べができる会ということで、またとない体験をさせていただきました。
Dolby Atmosスタジオに何を見るか
昨年よりDolby Atmosに興味を持ち、人づてに何箇所かドルビーアトモススタジオを見学させていただき、天井からも音が鳴るサラウンドシステムの環境に少し耐性ができできたところです。
本来レコーディングスタジオというのは、それぞれのスタジオが独自の特色を出して、それを精鋭させていけばいいわけですが、ことDolby Atmos対応という面においては、商業スタジオであるなら国際基準であるDolby Atmosスタジオ認証ガイドラインを満たしていく必要があります。それを満たして初めて公式なDolby Atmosコンテンツの納品物を作ることができるからです。
そういう意味では、スピーカーの設置角度や音量バランスなどといった、どのスタジオでも守られている規定があり、たとえ海外からドルビーの仕事をしているエンジニアが来ても、すぐにその場で作業ができるようになっているわけです。その結果、Dolby Atmos対応スタジオで作った作品は、他のDolby Atmosスタジオで鳴らしても、世界中の映画館、ホームシアターそして、AirPodsの中でも同じ音のバランスを保ち続けることになるわけです。
それでも、建物や内装、使用機材や調整、そしてスタジオ作りをする人たちの意思によって、スタジオごとの音の個性というのはかなりあります。レギュレーションを満たした上で、さらに溢れ出るエッセンスということになりますので、一流スタジオの醸し出す雰囲気というものは、スポーツ競技などでトップクラスの選手の美しさをを見るような、そんな気持ちにさせられます。
僕がDolby Atmosスタジオを見に行く理由
僕がDolby Atmosスタジオを見に行く理由はだいたい3つくらいあって、ひとつ目はレギュレーションで守られた世界を体感して感覚としてそれを知ること、ふたつ目はまだ見ぬ世界・景色を見たいという欲求、そして3つ目はプロ仕様のスタジオと自分の作業環境とをすり合わせて「ここまでの範囲は大丈夫だ」という体感・ものさしを得るためです。
3つ目の目的はややスパイのようですが、それはやった自分だけが得られる物で、他人に奪われるものではありません。
Dolby Atmosは規格なので、ヘッドフォンではどこでも同じものが聞けるはずです。一流スタジオを知り、自宅スタジオを知り、そしてヘッドフォンの中の音を知る。自分の頭の中に基準となるようなものさしを作れれば、もうしばらくDolby Atmos音楽制作を楽しめるはずです。
本日、音響ハウスのスタジオで聞けた音はどれも素晴らしいもので、ただただ感動でした。台詞や効果音のある映像作品は、思わぬところから音が飛んでくる“驚かし系”に耳が行きがちですが、音楽作品ということでは、音場の中で調和を取っていくということですので、音響ハウスの方のミックスは本当に聴き応えがありました。
今日ご一緒した方々はスタジオ関係者でしたが、「やってみたい」「作ってみたい」という音楽家の方がどんどん出てきて、「いつかは音響ハウスでミックスしたい」というのが夢になってくのではないでしょうか。
スタジオは長い年月をかけて育つもの
スタジオの方から「壁や床や天井は何十年もの時間をかけてエージングされていくもの」という話がありましたが、どのスタジオもブースも、非常に心地良い響きでした。私なんぞが何言ってんだという話ですが。
途中、3stのナレーションブースに立ち入らせてもらったのですが、ルームアコースティックがとても気に入りました。あんな部屋が作りたい。
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