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「ユニクロ公式オンラインストア」のファーストビューだけで15分語れる

川手@RKawtr です。

これまで様々な EC サイトの広告運用に携わらせて頂きましたが、「いかにコンバージョンを増やすか」といった点に重点を置き、優れたECサイトの事例やデータをベースに、Webサイトの改善・改良を数多く提案してきました。そしてその際によく「優れた EC サイトの実例」として取り上げる機会が多かったのが、「ユニクロ公式オンラインストア」です。

「ユニクロ公式オンラインストア」の優れている点

皆さんはユニクロの公式サイト(アプリを含む)の利用者数をご存知でしょうか。正確な数値は定かではありませんが、現在アプリを含め月間1,400万人〜2,000万人程度が利用していると言われています。

これはGAP・ZARAなどの10倍近い数値です。おそらく ZOZOTOWN と同じぐらいの規模ではないかと思われます。

しかしながら、同規模のWeb サイトは他にもたくさん存在します。「ユニクロ公式オンラインストア」の優れている点は「利用者数が多い」という点ではなく、その膨大な利用者データを分析して、日々黙々と Web サイトの改善を行なっているという点にあります。

以下は、ユニクロのECにおける売り上げの推移です。2012年〜2014年にかけては売上の伸びが鈍化していますが、2019年には全体の売り上げの10パーセント近くを EC が占めるまでに成長しています。

ユニクロの製品がもともと優れていて、それが EC ・スマホの普及ととても良い相乗効果を生み出し、結果的に売り上げを伸ばしている...という風にも見ることもできると思います。

しかし、製品だけが優れているだけ、Webサイトだけが優れているだけでは、コンバージョン数は伸びません。売上も上がりません。

下記動画の中で、ユニクロに精通しているMBさん@MBKnowerMag が近年のユニクロの並々ならぬ製品へのこだわりについて多面的に言及されています。自分はそのこだわりが製品だけにとどまらず、EC にもあったからこそ、ECの成果が劇的に伸びたのではないかと考えています。

「ユニクロ公式オンラインストア」の優れている点は非常に数多くありますが、本日は特にファーストビューに絞ってお話できればと思います。

ファーストビューは"Webページにおいて、ユーザーが最初に訪れたときに目に入る部分"を示します。"ページを読み込んで、最初に表示される画面に映る箇所"という認識で相違ありません。

ファーストビューについての基本

数年前に「人は見た目が9割」という本が出版され話題となりましたが、自分は、Webサイトはファーストビューが9割だと考えています。なぜなら、ユーザーは3秒でWebコンテンツを判断すると言われているからです。

つまり、ファーストビューをみて3秒で、「なんかよくわからないな」と思われれば、離脱されてしまい終了です。非常に厳しい世界です。

理想的なファーストビューとは

理想的なファーストビューについて、自分は以下のように定義しています。

99%の人が興味を持つ情報を表示しつつ、今ユーザーに伝えたいことを違和感なく、必然的な形で伝えるられているファーストビュー

「ユニクロ公式オンラインストア」は2020年5月2日現在、上記したような理想的なファーストビューとなっています。

以下が「ユニクロ公式オンラインストア」のファーストビューです。

ファーストビュー(PC)

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ファーストビュー(スマホ) 

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前述した通り、Webサイトは見た目が9割です。しかも全てが3秒で判断されます。些細な違和感、思考のノイズとなるような要素は即離脱の原因になります。

しかし、今現在の「ユニクロ公式オンラインストア」のファーストビューは一切の違和感なく、自社の伝えたいことと、ユーザーが興味を持つ情報をマッチングさせて成立しています。

ファーストビューで使用されている画像について

ファーストビューの画像についても解説していきたいと思います。まず、PCとスマホの違いについて言及していきたいと思います。例えばPCとスマホの大きな違いとして、子供モデルを用いた画像・テキストの有無という違いがあります。(ちなみにスマホだとファーストビュー下部、セカンドビューには存在しています)

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例えば下記のような仮説が考えられます。

顧客が主婦の場合、自分の服だけでなく、家族全員分の服を決済する可能性が考えられます。その場合、家族と画面を一緒に見ながら注文する可能性が高く、スマホよりも、例えば家族共有のタブレット・ PC などから EC にアクセスし、購入するシーンがあることが想定されます。

上記は自分の考えたテキトーな仮説ですが、実際にそれを裏付けるデータが取れた場合、下記のような判断をした可能性が考えられるのではないでしょうか。

PC には子供服に関するコンテンツが必須だが、スマホには非必須
(セカンドビューに入れれば良い)

今回ファーストビューの大部分をしめているのは画像です。「ユニクロ公式オンラインストア」の優れている点は、「なんとなく」で画像をチョイスしたり、「なんとなく」で情報を追加するといったことが、ファーストビューでは一切なされていないところです。全てにおいてこのような、「理由」と「狙い」が垣間見えるのです。

また男女の服装、モデル、背景シーンから連想し得る人柄についても言及しておきたいと思います。

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特に女性の服装、モデル、背景シーンは非常に際立っています。赤枠内の女性モデルは、以下のように見えるのではないでしょうか。

・学生にも、OLにも、女性経営者にも見える
・勉強中にも、仕事中にも、オフのようにも見える
・都内在住にも、地方在住にも見える
・4月にも、5月にも、6月にも、7月にも見える

このように「○○のようにも、○○のようにも見える」が何重にもなっています。おそらくこれはユーザー側からの「これは...私だ!!」を引き出すための仕掛けの1つだと思うのですが、そのような撮影は極限まで顧客理解をしている人が現場にいて、初めて成立するのではないかと思います。構図から背景の小物に至るまで、非常に的確です。

ファーストビューで使用されているコピーについて

ファーストビューで使用されている「ユニクロとはじめる おうちスタイル」という一文からも、苦戦の末に生み出されたフレーズであるということが見て取れます。これは想像の範囲内だけの話になってしまうので多くは語りませんが、例えば「おうち」というキーワードを使うこと自体、「リスク」とみる意見もあったでしょう。

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そのための対策として「今日も変わらず、必要な服をお届けできるように」というバナーを挿入していたりする訳です、おそらく。

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あとこの"必要な服"という言い方がいいですね...。ここも結構時間かかってるかも...。

最後に

今回取り上げたファーストビューについてですが、ファーストビューは EC における重要なポイントですが、全体から見ると占めている割合は、ほんの一部でしかありません。

今回取り上げた内容は、下記記事で言うところの「ファーストビューには、99%の人が興味を持つ情報を載せる」に該当します。他にも色々と「かなめ」となるポイントは複数存在するので、ぜひ興味がある方はそちらも合わせてご参照ください。

@RKawtr

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