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どうしようもなくずぼら


お気に入りのマグカップでひと息つきながら、
数ヶ月前のことを思い出しています





仕事の研修で知り合った、2人の同期と食事に行きました
新卒1年目が多く集まる研修の中で、
社会人経験があって落ち着いた雰囲気の2人とよく話すようになっていました
その夜はピザを食べ、初めて聞いた品種のワインを飲みました
2人とも良い人達で良かった、わたしも溶けこめていたらいいなと思いながら、
他愛もない会話でゆったりとしたひとときが過ぎていきました


2軒目はカフェに入り、
暮らしについての話題になりました
「家事って…面倒ですよね」
「ああ、わかります」
「アイロンとかかけます?わたし恥ずかしながら滅多にかけないんです」
「わかります」
「わかる?!食器洗うのとかも面倒。その日のうちに洗ったら相当偉いですよね」
「シンクいっぱいになるまで溜めちゃいます」
「そもそも、洗い物減るようにフライパンから直にいってるけど結局それすら洗わないんですよね」
「わかります、だから最近コップの着色汚れが気になってて。あれどうしたらいいんですかね」
「わたし色付きの食器使うようにしてる!色目立たないからおすすめ」
「ハイターとかで漬ければいいんだろうけどね、無理だよね」
「そうそう」
「家事もだけど、お風呂も。もう仕事で疲れて無理。だからメイクだけ落とそうって思って、帰ると速攻クレンジング」
「えらい」
「でも、丁寧な暮らしには憧れてて」
「めっちゃわかる」


共感に継ぐ共感でした
明らかに全員が早口になり、
1軒目とは別人同士のような盛りあがりを見せました


「わたし洗濯が嫌で。次の洗濯物回すまでずっと干してる」
「わかるわかる、わたし雨降っても取りこまない。そのまま干しておけばいつか乾くから」
「それはないよ」
「この前洗濯物溜めすぎて、明日仕事に着ていく服ないってなって。でも仕事してるときに気付けたから服買って帰った」
「買うんだ!急いで洗濯するんじゃなくて」
「まあ総じて優勝だね」

不名誉な優勝をわたしに告げた彼女は、
だらしない生活がバレるといけないからという理由で、同棲する前に婚姻届を出したそうです


誰にでも欠点はあるけれど、
くすっと笑ってもらえるものなら上等だと思っています
こうしてまた今日も明日も、
掃除をさぼった自分を許し、
溜まった食器を洗った自分をべた褒めします



コーヒーを飲み終えて随分経ってしまいました
重い重い腰を上げて、
ブラウンのマグカップを
シンクへ置きに向かいます

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